ペガサスの解は虚栄か? Did Pegasus Answer the Vanity? (講談社タイガ)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062940900

作品紹介・あらすじ

クローン。法律により禁じられている無性生殖による複製人間。
 研究者のハギリは、ペガサスというスーパ・コンピュータから
パリの万国博覧会から逃亡したウォーカロンには、クローンを産
む擬似受胎機能が搭載されていたのではないかという情報を得た。
 彼らを捜してインドへ赴いたハギリは、自分の三人目の子供に
ついて不審を抱く富豪と出会う。知性が喝破する虚構の物語。

感想・レビュー・書評

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  • クローン。法律により禁じられている無性生殖による複製人間。
    研究者のハギリは、ペガサスというスーパ・コンピュータからパリの万国博覧会から逃亡したウォーカロンには、クローンを産む擬似受胎機能が搭載されていたのではないかという情報を得た。
    彼らを捜してインドへ赴いたハギリは、自分の三人目の子供について不審を抱く富豪と出会う。知性が喝破する虚構の物語。
    「講談社タイガ 内容紹介」より

    人間とウォーカロンの違いがますますわからなくなる.合理的でない情動からくる行動をとるのは人間と思うけれども.

  • だんだん複雑になってきた印象がある。

  • 寿命や血縁に対する意識が薄くなった本作の人類から見て、家族への愛やそのための自己犠牲がどう映るのか、そんな試みを一本の物語で綴ったように感じた。

    それにしても前作に引き続き、人工知能オーロラの所作がお美しい。

  • 220620*読了
    新しい人工知能、ペガサスの登場。
    今回の舞台はインド。
    ハギリ博士は本当にいろんなところに飛んでいくなぁ。

    フランスの博覧会から脱走したウォーカロンの一部が、インドの富豪の家にいる、しかも子どもを産めるウォーカロンらしい、ということで訪れた一行。
    地下室にいるウォーカロンとその子ども、そしてケルネィ氏の娘。
    ウォーカロンと、ロボットの暴走。
    展開がどんどん変わって、夢中で読みました。
    プライベートモードのウグイとの場面がよかった。可愛らしい?一面を持っているんじゃないの。

    そして、ツェリン博士の死はショックだった。でも、子どもを想う親の気持ちとしてのその行動はよく分かる。
    死が遠ざかった世界だからこそ、無に帰すことの意味が大きい。

    タイトルになっている、ペガサスの解は…虚栄でした。妄想でした。
    人工知能でさえも、自分をよく見せようとしてしまうなんて、なんとまぁ人間らしい。
    人工知能もウォーカロンも人間も、その差は大きいようで小さいのかもしれない。

  • 死ぬということはどういうことだろうか。
    その人の未来が失われるということ。
    その人と係わることが出来る自分の未来を失うということ。
    腑に落ちる答え

    ウグイが出てきてくれて嬉しかった。

  • ペガサスという新登場の(だよね?)人口頭脳とのやり取りから子供を産めるウォーカロンがいるかもしれないという情報を得て、ハギリ博士はアネバネと新護衛キガタを連れてインドの要人の館を訪れる。キガタが学習していく過程とか要人の娘の秘密とかデボラやオーロラの進化っぷりとか見ていると人との差が本当に曖昧になってきている。でも永遠に近い命を持てるようになっても未来を繋ぐ存在の子供を求めるのは「死」の概念を持つ人間特有なのか。今回事件が起こりその犯人が指摘されるというミステリ要素が軸になっていたのが意外。ウグイ前作で退場かー、と思っていたら後半から関わってきてなんか人間らしくなっていて嬉しい。

  • 明らかに,小説の形を取った生命の定義と未来の可能性を明文化した書で,重い.小説という虚構は,虚構であるからこそ小説たり得るので,今は小説だがそのうち小説ではなくなるのだろうな,と予感させる."vanity(虚栄)"という言葉選びにも納得する.

  • あーもう、相変わらず森作品はタイトルが秀逸ですね。
    「虚栄」・・・色々な虚栄が、なんというか、
    パットした光の元では見えず、
    しかし、心の奥底に抱えている、そんな気がしました。

  • 人間、ウォーカロン、クローンの区別がいよいよ曖昧になっている前提で、遺伝子情報のパーセンテージをヒントに、誰が誰と誰の子だけど、一方は子供ができないという条件を提示し、その矛盾を読者に解かせる、いわいるミステリーの一分野なんだけど、ちょっともう登場人物が多くて理解が追いつきませんでした。

    あと、ペガサスという人工知能が出てきたけど、彼が打ち明けた話でうまくミスリードさせられました。

    しかし、最近の人工知能の機械学習の進歩を見てると、本書の中の、「AIは演算速度は速くて深いけど、ふとした盲点を人間が見つける」というパートナー関係も成立しなくなりそうで末恐ろしい。

  • このシリーズを最初の作品から読んでるのに、ウォーカロンとは何か?のそもそもの定義をすぐ忘れてしまい毎回検索する羽目にw
    今回解りやすく触れられていて少し有難い感。
    もうオーロラもデボラもペガサスも普通の人間な感じする。

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著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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