ふりむけばそこにいる 奇譚蒐集家 小泉八雲 (講談社タイガ)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062941112

作品紹介・あらすじ

19世紀英国。隻眼の異端者・小泉八雲。(ラフカディオ・ハーン)と孤独な少年が見つけた、怪異と友情――。

19世紀英国。父母を亡くし、一族から疎まれて北イングランドの神学校に送られたオーランドは、この世の怪を蒐集する奇妙な少年と出会う。生者を道連れに誘う幽霊列車、夜の寄宿舎を彷徨う砂男と聖母マリアの顕現、哀切に歌う人魚の木乃伊の正体とは。怪異が、孤独な少年たちの友情を育んでゆく。のちに『怪談』を著したラフカディオ・ハーン――小泉八雲の青春を綴る奇譚集。

感想・レビュー・書評

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  • 「境界の少年」
    ロンドンのキングス・クロス駅から5時間。
    神学校である聖カスバート校に入学する少年が、もう一人の少年に出会いきいた話。
    境界でみた白昼夢。
    奇しくもその日は以前もう一人の少年が列車内で亡くなった日でした。
    出会った同じ寄宿舎の少年の名はパトリキオス・レフカディオス・ハーン。

    「眠れる子らのみる夢は」
    オーランド・レディントンとパトリキオス・レフカディオ・ハーン(パトリック・ハーン)は学寮の2人部屋で同室になります。
    学寮内では夜になると眼を奪いに来る砂男がいるという噂がたちます。
    果たして砂男とは何者か?
    又、聖母マリアの顕現や家で飼っていた仔犬をみたという新入生が現れます。
    パトリック・ハーンは鮮やかに謎を解きますが。
    ヒントはタイトルの「眠れる子らのみる夢は」です。

    「忘れじのセイレーン」
    ファーガソン夫妻の家にあった日本製の人魚の木乃伊を預かることになったお話。
    木乃伊を預かってからオーランドは女性の歌声が聴こえるようになり、眠れなくなってしまいます。
    パトリックは木乃伊は何かを訴えていると言い出しますが。そしてパトリックは木乃伊のとある秘密を探り出します。そこには木乃伊を日本から持ってきたラムゼイ氏のとある過去がからんでいます。

    「誰がために鐘は」
    ハロウィンの頃、オーランドはパトリックに墓地に行こうと誘われます。そこで出会った墓守の老トマス。
    みつけた三体の人形。
    夫を亡くしたばかりのウェアリング夫人。
    血染めの服の切れ端。
    ダラム大学の遊び人の学生エヴァンズがウェアリング夫人に近づいたことがわかり、パトリックとオーランドは夫人の家を訪ねます。「非力な女性だからといって、男ひとりを殺せないことはないからね」果たしてウェアリング夫人は息子は今留守だと言って二人を迎え入れます。


    不思議な話であり、微笑ましい話、心あたたまる話、狂気をおびた話もありました。
    バラエティに富んだ事件をパトリックこと隻眼の異端者である小泉八雲が謎を解き明かします。
    英国の幻想的な雰囲気が醸し出され、独特の趣と推理のシャープな切れ味がありました。

    • まことさん
      nejidonさん♪こんばんは!
      とんでもないです。
      私も1度ありました。
      機械の不具合でしょうかね。
      再フォローありがとうございま...
      nejidonさん♪こんばんは!
      とんでもないです。
      私も1度ありました。
      機械の不具合でしょうかね。
      再フォローありがとうございます(*^^*)

      ところで、先日のnejidonさんの『本の本』が気になっていたのですが、残念なことに図書館に置いてないのです。
      買うと結構お高いみたいで、全部読み通せるなら、買うのですが、ちょっと長さが半端ないみたいなので自信がなく、どうしようかな~と思っています。ちょうど、同じ著者の『妊娠小説』を読了したばかりで、ちょっと考え中です。
      2020/02/03
    • nejidonさん
      まことさん、こんばんは(^^♪
      「本の本」については何ともお返事が難しいです。本当に長いからです。
      私は自宅で仕事をしていますので、その...
      まことさん、こんばんは(^^♪
      「本の本」については何ともお返事が難しいです。本当に長いからです。
      私は自宅で仕事をしていますので、その合間を縫って読みました。
      一気に読んだら体調を崩したかもしれません・笑
      なので、「いつか読もう」という棚に置いてみてはいかがでしょう?
      別にお急ぎにならずとも、本はチャンスを待っててくれますよ♪
      2020/02/03
    • まことさん
      nejidonさん♪おはようございます。
      お返事ありがとうございます。
      そうですね。
      私は長編が本当に苦手で、積んでいる本が結構あるの...
      nejidonさん♪おはようございます。
      お返事ありがとうございます。
      そうですね。
      私は長編が本当に苦手で、積んでいる本が結構あるので、順番に、そちらがちゃんと読めてからにしたほうが無難ですね。
      nejidonさんでも、体調を崩されそうになるなんて、一体、どんな本なんでしょうかね(*^^*)
      2020/02/04
  • ふりむけばそこにいる 奇譚蒐集家 小泉八雲/著:久賀理世|一般小説作品詳細|NOVEL DAYS
    https://novel.daysneo.com/sp/works/d623da5d0105951f01f8558f2eaa3e28.html

    『ふりむけばそこにいる 奇譚蒐集家 小泉八雲』(久賀 理世):講談社タイガ|講談社BOOK倶楽部
    https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000213002

    --------------
    八雲が主人公と聞いたから、少し気になってます、、、

  • 舞台は19世紀の英国。

    あちらとこちら側のものがすれ違ったり交錯したりする境界に焦点を当て、二人の少年が怪異を解き明かしていくというちょっとしたミステリ。

    とても好みの作品だった。
    二人の少年の一人が、若き頃の小泉八雲という設定も面白い。
    一話目の幻想的な列車のシーン、雰囲気に呑み込まれそうになる感覚、一体今どちら側にいるのか惑わされる時間に酔いしれた。
    小泉八雲少年の怪異に対する捉え方といい、とにかく言葉一つ一つが印象的。
    実際、こんな少年だったのかしら…想いを馳せるのも面白い。

    • まことさん
      くるたんさん。こんにちは!

      ご紹介ありがとうございました!
      この本は図書館になかったけど、読みたかったので買ったのですよ(*^^*)...
      くるたんさん。こんにちは!

      ご紹介ありがとうございました!
      この本は図書館になかったけど、読みたかったので買ったのですよ(*^^*)
      そしたら半年近くも積まれてしまいました。
      読むものがない時のために大切にとっておいたんです(^^;
      小泉八雲に魅かれて読んだのですが、イギリスって霊とかがたくさんいる国らしいですよね♪幻想的で日常からワープした感じがよかったです♡
      でも推理はシャープに決まっていて…どのお話も面白かったです♬
      特に好きだったのは1話と4話かな♡
      2020/02/02
    • くるたんさん
      まことさん♪こんにちは♪
      読まれたんですね♪私も手持ち本でした!
      うんうん、ライトノベルっぽい表紙だったけれどなかなかの推理もので良かったで...
      まことさん♪こんにちは♪
      読まれたんですね♪私も手持ち本でした!
      うんうん、ライトノベルっぽい表紙だったけれどなかなかの推理もので良かったですね♪
      幻想的な一話、私も一番好みで良かったです♪
      どれもせつなさもありましたね♪
      続編もあるんですが、まだ読めてません(´•ᴗ•⸝⸝ก )
      2020/02/02
  • 母を亡くした少年オーランドは顔も知らなかった親族に北イングランドの神学校に送り込まれる。
    “音楽”と“家族”と“住みなれた場所”を失ったオーランドは、寄宿舎で怪異に親しむレフカディオス・ハーンと出会い行動を共にするようになる。
    19世紀イギリスの怪異ミステリー譚。
    若かりしラフカディオ・ハーン!

    「境界の少年」
    オーランドはコパートメントで、同じ年頃の生年に声をかけられる。幽霊列車の怪談をはじめた彼の話にいやいや耳をかたむけるが…
    …列車と異界は鉄板でいいですね!密室なとことか、何処かへ連れられていく雰囲気とか

    「眠れぬ子らのみる夢は」
    新入生たちの間に“砂男”の目撃談が広がる。その男に砂を投げつけられた生徒は目が真っ赤になるのだ。同じころ聖母マリアを見たという相談を受ける。
    …かわいらしい怪異でした。

    「忘れじのセイレーン」
    日本からきた人魚の木乃伊を後輩の家で見せられる。その日からオーランドの体調が日に日に悪くなっていく。
    …恋情。舞姫。

    「誰がために鐘は」
    ハロウィンが近づき、墓守の老トマスには心配ごとが。柵に引っかけられていく人形の秘密をさぐる。
    …裏墓地を訪れるもの。悪い子にはお仕置きを。


    〇小泉八雲が主人公!エッセイがとても好きでした。
    お話ごとの事件だけでなく、話が進むにつれ二人が少しずつ相手に自分の背景を語り、傷を癒していく様子がいいなと思った。
    巻末の参考文献リストを見ても、物語の“厚さ”も、丁寧に世界が作り込まれていることを。
    現世と怪異のあわい。

  • 小泉八雲の若かりし頃の話です。
    思わず、Wikipediaで調べてしまいました。

    19世紀の英国が舞台ですが、怪異について考えている時間が多いため、あまり神学校の厳しさや英国特有の雰囲気という訳ではなく、海外に詳しくなくてもすんなり読めてよかったです。

  • とても面白かったです。

    舞台は旧い英国、田舎の神学校。入学したオーランドは、ルームメイトのパトリックに巻き込まれ、怪異の数々に立ち会うことに。
    幽霊列車、砂男&マリアの顕現、人魚のミイラに、墓地に吊るされる子供の人形――
    背筋が間違いなくヒンヤリする、というだけで嬉しくなってしまうというもの。しかしそこに留まらず、あちらがわとこちらがわをクロスする真相は切なくて、読後感はあたたかさに満ちています。青春小説の一面も良い雰囲気を出しています。力技ではなく細部も繊細に作り込まれているが故の、読み応えがありました。

    どの収録作品も素晴らしいのですが、あえて挙げるならセイレーンかなあ……あれとあれがこんな風に結びついて織りなした物語の美しさに、溜息。
    第二弾も出ているので遠からず読もうと思います。

  • 小泉八雲の青春を綴る奇譚集という言葉にひかれて手に取ってみた。親族から神学校に送られたオーランドが出会った風変りな少年パトリック(ラフカディオ・ハーン)――オーランドの体質といい、出会うべくして出会った2人といった感じで、その2人が怪異の謎に触れ、解き明かしていく展開はなかなか読みごたえがあった。人魚の木乃伊と言えばこれだよねというものも登場し、ちょっと嬉しくなったり。とりあえず、2巻も読もう。

  • 【内容】若かりし小泉八雲が寄宿舎で出合う怪異たちの正体は?
    【感想】小泉八雲である必要はあまりない感じもするが。イメージする八雲よりクールな感じ。作品自体は暇つぶしに向いている。精霊のようなものが存在しつつ、謎はわりとリアルに解く。

    ▼小泉八雲に関する簡単なメモ
    【ウィリアム・ファーガソン】一学年下の学生。熊のぬいぐるみのようにのんびりした感じ。パトリックと親しい。愛称はウィル。
    【オーランド・レディントン】語り手。編入生。チェロをたしなむ。母に育てられるが亡くなったので合ったこともない父に引き取られるも寄宿学校に放り込まれる。寝起きが悪い。
    【コンラート】砂男に追われてる学生?
    【砂男】ドイツ出身の妖魔。子どもの目に砂をかけて眠らせる。
    【聖カスバート校】イギリスにある厳しさだけが一流のカトリック系寄宿校。
    【パトリキオス・レフカディオス・ハーン】寄宿舎でオーランドと同室になった小柄な学生。愛称はパトリック。怪異譚が好き。ロバート兄さんを通じてあちらの世界にいろいろな友だちがいるらしい。
    【ライナス・トンプソン】ウィルの友人。
    【ロバート兄さん】鴉のような黒い鳥の姿をした死者の魂?見える人には見える。パトリックを見守っているらしい。愛称はロビン。

  • 複雑な家庭環境の中で神学校に送られたオーランドが、不思議なモノが見えるという設定の小泉八雲と知り合い不思議に遭遇していく。
    西洋東洋の伝承の中の存在・謎解き・19世紀のイギリス・寄宿舎と盛りだくさんの設定だが、それらが上手く混ざり合って青春小説にもなっている。
    オーランドとパトリック(八雲)のやり取りも軽快で、どんどんバディっぽくなっていくのも面白い。
    いろいろなものを詰め込んでごちゃごちゃしているようにも思えるが、今後の話の方向性を紹介しているようにも思える。
    続編も出ているようなので読んでみたい。

  • 小泉八雲の若き頃の話。
    「あっち」「こちら」「境界」この言葉がよく出て来る。
    読んでいて何故か京極堂のセリフは多々思い出してしまった。
    1番に浮かび上がったのは「この世に不思議な事など何も無いのだよ、関口くん」だった。
    パトリック(小泉八雲)のセリフ「人はいつだって自分の視たいようにしかみないものさ」とある様に自分の理解出来ないもの・理解しようとしないものに関して人間は「不思議」という言葉で片づけてしまう。
    「怪奇」とされるエピソードもその奥。隠された事実に目を向ければ「怪奇」若しくはただ「ホラー」として片づけられないものが浮かび上がってくる。最後の話はサスペンス風なのも絡んでいて面白かった。

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著者プロフィール

東京都出身。東京音楽大学器楽科ピアノ演奏家コース卒業。『始まりの日は空へ落ちる』で集英社ノベル大賞受賞。本書は大英帝国を舞台に若き日の小泉八雲の活躍を描いたホラーミステリー『奇譚蒐集家 小泉八雲 白衣の女』(講談社文庫)の続編にあたる。他の著作に、本シリーズの前日譚「ふりむけばそこにいる」シリーズ(講談社タイガ)、「王女の遺言」「倫敦千夜一夜物語」シリーズ(ともに集英社オレンジ文庫)、「英国マザーグース物語」シリーズ(集英社コバルト文庫)などがある。


「2022年 『奇譚蒐集家 小泉八雲 終わりなき夜に』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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