神戸在住(7) (アフタヌーンKC)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (196ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784063211672

感想・レビュー・書評

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  • 死、見送りのこと

  • すこし、心の準備が必要な7巻。まだ大学生の主人公・桂には辛すぎる出来事を描きます。でも彼女には友達がいて、家族がいる。じぶんを支えてくれる人達について、考えさせられました。

  • 阪神大震災から20年が経つ。「20年かぁ」と思う。20年て、これくらいの距離感かぁと思う。同居人は自分が生まれる20年前のニュースを検索していた。

    1月17日の晩には、神戸の地元局・サンテレビが制作した「神戸在住」のドラマ放映があった。ふだんはテレビをほとんど全く見ないが、事前に放映情報を入手していたし(劇場版の映画もあって、こちらのチラシも入手していた)、木村紺の原作マンガを同居人が読みこんでいることもあって、録画して、続けて2度見た。
    http://www.sun-tv.co.jp/kobe-zaiju

    原作マンガは震災後に神戸へ越してきた大学生を主人公に、周囲の関西人の震災話もところどころに出てくる話だが、ドラマは、震災後に生まれた「今の大学生」が主人公になっていた。

    私も原作マンガの『神戸在住』は途中まで読んでいたが、私よりずっと読みこんでいる(今は電子書籍で全巻もっている)同居人が、ドラマの中に出てくるエピソードやそれぞれの人物像がマンガでどう描かれているかを合間に解説してくれる。

    ドラマを見たら、原作マンガを読みなおしたくなって、数年前に同居人の持ちものを寄贈した図書室から1~8巻を借りてきた(電子書籍を10巻も読むのはしんどそうなので)。寄贈した時点で8巻までしか揃っていなかったが図書室の蔵書は増えるわけもなく、またこんど寄贈してもいいしと9巻と10巻を注文して買った(このたび復刊されたそうだ)。

    3日かけて、1巻から順にじーっと読む。ああ、ドラマにはこのエピソードが使われていたんやなーなどと思いながら。8巻までは同居人がもっていたので読んだ記憶があったが、9巻と10巻はやはり読んでいなかった。

    主人公の辰木桂[たつきかつら]は、父の仕事の都合で、家族で東京から神戸へ越してきた、おとなしい大学生。一家が住むのは、震災から半年後にできたマンション。桂は、神戸の山手にある大学の美術科に通う。親しくなった周囲の学生から震災の経験を聞く、というかたちで、マンガにはたびたび震災のことや、その爪痕が描かれる。

    阪神大震災のとき、大阪ではもっとも被害が大きかった豊中(服部在住)で、震災のときに家がつぶれてがれきの中から引っ張りだされたという鈴木さんが同じ美術科の学生として登場。神戸の避難所の話も、そこでボランティアに関わった学生の語りとして描かれ、20年経つとはいえ、3.11を挟んだこともあり、読んでいて、うっとくるものがある。

    桂が本好きで、話のあちこちに本ネタが出てくる。同じ大学で授業が週に一度同じという伏っちゃんと本の貸し借りをする場面もあり、高校や大学の頃に私もしょっちゅう本の貸し借りをしていたので、なつかしさをおぼえた。ある研究室が溜まり場のようになっていて、そこでみんながしょっちゅうコーヒーを飲んでいるので、マンガを読んでるとむしょうにコーヒーが飲みたくなった。私が大学のときに溜まっていた研究室も、先生がコーヒーいれるのが好きで、よくコーヒーを飲みながら本の話をした。

    今回読みなおして、日和[ひなた]さんが透析をしていることや、ろう(難聴?)の早坂さんのこと、日和さんの友人のリチャードさんがALSを患っていたり、喫茶店のマスターがゲイだったり… 読みなおすまでこうしたことは忘れていた。こんなに本の話があったんやなーとも思った。

    そして、神戸、姫路、大阪と絶妙に書き分けられる関西弁や、ボケツッコミの描き具合。関西のマンガやな~と思った。

    描かれるのは、桂が大学に入ってから卒業するまでの4年間。高校時代や子ども時代の話が差し挟まれたりもするが、それも大学生の桂が回想するかたちだ。その4年間をぐっと感じたのは、桂一家のお隣に住む木下さんちのいつこちゃんの成長。お腹のなかにいた子が最終巻では3歳になる。

    震災から20年、あのころ生まれた子たちが成人するというだけの時間を、マンガを読みながらじーっと感じた。

    (1/19-22了)

  • これは泣く、ここまで人の内面を描かれたら泣くよ
    人が巣立ってゆく、成長していく、そこにある切なさ

  • 一般的な「物語」、って、日常的な鑑賞者の体温を一時的に上昇させるもの・・・というか、ほんの短い間でも、その人を熱にうかすような、そういうものだと思っている。で、この「神戸在住」という漫画は、たとえるなら「ずっと平熱」とも言うべき作品で、僕らが普段日常生活を過ごしている間の「平熱」が、ずっとそのまま作中でも流れているという意味で、すごくて、だからこそ僕らが普段の生活の中で、突然起こりうる「平熱」の変化が、より生生しく作中でも見事に再現されている。「震災篇」も傑作だったけれど、7巻で描かれる、かつらちゃん(かわいい!!)の「平熱の変化」は、それこそ彼女の世界のすべてを激変させてしまう、猛烈なもので、同時にそれを癒すことは、ドラマチックなことでもなくて、ただ時間と仲間と自分自身がすこしづつ解決させていくしかないことも説得力をもって示されていて・・・。うあー、書いてて分からなくなってしまったけれど、とにかく、どんな人にも人生の「かけがえの無い出会いと別れ」が一度はあるのだとしたら、僕らはこれを読んで、まさにそれを追体験できる。映画でも、アニメでも、(ある意味)漫画でもなしえない、ものすごい境地へと踏み込まれた、傑作。傑作の上にある傑作。圧倒的にお薦めします。今年ナンバーワンの漫画かも・・・。

  • 何度読んでも、読む度に印象が変わる。
    郷愁とともに思い出す、過去。
    丁寧に味わい、感じる食。
    繊細に汲み取られる感情の波・・・

    何回だって読み直すのに、この巻だけは読み返せない。
    泣いちゃうから。
    ただ涙が溢れちゃうから。

    恋人でも家族でもないけど、
    自分にとって「大切な人」はいる。
    その人との死と向かう瞬間が
    あまりにも静かに残酷に訪れる。
    逃げようのない人生の時間をヒシヒシ感じます。
    だから
    それに耐えられるだけの状況じゃなきゃ
    読めないです。

  • 別離。胸が締め付けられるような喪失感。ひよこの絵。桂3回生の冬。
    「私は こんなに笑っているのに 心にはいつも 冴えざえとした 冷たい空洞を抱えている」

  • (2008年3月19日読了)

  • 【メモ】日和さんとの日々・洋子ちゃんの旅立ち・この巻は必読かな?(この巻だけ読むとよく分からないと思うけど)

  • 元町高架下でお店をやってた作家さんと主人公との交流、作家さんが亡くなった話。
    この巻だけはちょっと…

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著者プロフィール

1997年、投稿作品『神戸在住』にてアフタヌーン四季賞を受賞。同作品は2006年まで続く連載作となった。2002年には第31回日本漫画家協会賞新人賞も受賞している。その他の連載作品には、京都の女子高を舞台にした柔道漫画『からん』、ボクシングを題材にした『マイボーイ』がある。
現在は月刊good!アフタヌーン誌上で焼き鳥チェーン店を舞台にしたコメディ『巨娘』を連載中。

「2018年 『巨娘(5)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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