外天楼 (KCデラックス)

著者 :
  • 講談社
4.17
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本棚登録 : 2223
感想 : 260
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784063761597

感想・レビュー・書評

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  • エロ本を手に入れるため
    四苦八苦する少年たちを描いた
    「リサイクル」

    宇宙刑事と悪の組織が対決中に死んだ
    身元不明の女性の謎…
    「宇宙刑事vs.ディテクト」

    旧式のロボットに不満を感じた少女は
    新しいロボットを買うため
    旧ロボをコッソリ廃棄しようとするが…
    「罪悪」

    雑居アパート“外天楼”で起きた
    変死事件を推理する
    刑事・桜場冴子の活躍を描いた
    「面倒な館」

    観賞用の人工生命体“フェアリー”の是非をめぐる殺人事件に
    桜場冴子の推理がさえる(笑)
    「フェアリー殺人事件」


    そしてここから
    本格SFミステリーへと
    物語は変貌を遂げていくのです。



    香港の九龍城を彷彿とさせる
    外天楼と呼ばれる
    増築に増築を重ねたアパートにまつわる
    様々な人々の
    様々なストーリー。


    一見バラバラの短編に思えた話が
    やがて終局に向かうにつれて
    繋がっていき、
    やがて驚愕の真実が浮かび上がる
    不思議系ミステリー。



    いやぁ〜
    文句ナシの傑作!


    ユーモアとシリアスさの
    絶妙な塩梅。

    一話一話楽しませてくれる
    トリックの妙と
    張り巡らされた伏線。

    終局に向かうにつれて切なさを増す
    シュールで
    ダークな世界観と、

    人間とは
    命とはを考えさせられる
    見事な構成に
    読後しばらくは
    呆然としてしまいましたよ(>_<)


    何を言ってもネタバレになるので
    詳しくは書けないんやけど(汗)、
    大のミステリー好きだと言う
    石黒正数氏だけに

    とにかく伏線の散りばめ方が見事だし
    すべてを回収し尽くすその手腕には
    ホンマ恐れ入りました。
    (無関係だと思っていた話が一つに繋がる様は
    震えがくるほど)


    胸を締め付ける
    哀切溢れるラストは
    やりきれなさいっぱいだけど、
    あまりに見事な構成に
    何度となく読み返したくなる
    傑作ミステリー漫画です。

    全1巻なので
    気になった方
    是非とも読んでみて!

    • kwosaさん
      円軌道の外さん!

      >そしてここから
      本格SFミステリーへと
      物語は変貌を遂げていくのです。

      以前、ここまで読ませて頂いて、あわててブラウ...
      円軌道の外さん!

      >そしてここから
      本格SFミステリーへと
      物語は変貌を遂げていくのです。

      以前、ここまで読ませて頂いて、あわててブラウザバック。
      自分には珍しく、そのままAmazonで注文しました(そのあと円軌道の外さんからコメントでお勧めいただいたのです)。

      そして本日、読了。
      いやぁ、面白かったです。それ以上に凄かった。圧倒されました。

      「九龍城」思いますよねぇ。
      すみません、感想またかぶっちゃいました。
      本当にパクった訳ではないんです!!

      それはそうと、この物語はもともと読み切りの予定だったのでしょうか。
      全体の構想はあったのでしょうか。
      とっても気になります。
      エロ本の話、読み返してみて「あー、アイス食ってるなー」なんて思いながら。
      2013/04/27
    • 円軌道の外さん

      おおーっ!!
      kwosaさん、
      仕事が早い!(笑)

      もう読んでくれたんですか〜(泣)(≧∇≦)

      自分も経緯はわかんな...

      おおーっ!!
      kwosaさん、
      仕事が早い!(笑)

      もう読んでくれたんですか〜(泣)(≧∇≦)

      自分も経緯はわかんないんやけど、
      最初は読み切りやったらしいし
      個人的にはあとから
      上手くストーリーを繋げたのかな〜って思います(笑)

      今手元に本がないんでアレやけど(笑)
      アイス以外にも
      結構探すと
      あっここにもって
      伏線が隠れてて
      上手いなぁ〜って
      ホンマ感心しましたよ(^_^)

      ラストの締め方がまた…

      この人
      かなり映画も好きなんやろなぁ〜って思いました(笑)


      作者は大のミステリー好きとのことなので
      他の作品も近々読んでみるつもりです♪ (自分は知らなかったけど、かなりの人気漫画家のようですね汗)


      2013/05/02
  • ほんとに完成度が高い一冊。著者のミステリ・SFの知識を集約して、一見関係ない物語のオムニバス形式を装いつつ、最後の最後でそれらの話がすべてひとつに集約されていくシナリオは見事。適度に笑いも織り交ぜつつ、最後はきっちりシリアスに締めて終わらせるのも気持ちがいい。個人的に絵柄も好みで、ちょっとシュールなギャグも好み。石黒正数のほかの作品と比べても、現時点では圧倒的に好きな作品。

  • 素晴らしい!!

    一話目を読んで「なんだこんなものか…」と思っていたら、二話目で話の複雑さに感動、最後まで読んでホロッと来る感じが最高でした。
    ここまで登場人物のことを丁寧に考えている漫画もないと思います。

    脱帽。

  • ギャグかと思って読んでたらとんでもない展開!終盤から怒涛の畳み掛け!
    ラストへの持って行き方が不自然じゃなくてすごくうまかった。

    登場人物全員があますことなく線でつながってて、お見事です!としか言いようがない。

    この人は人物の描き分けもきちんとしてるから、わかりやすいし、絶対読む価値あり!

  • 「メフィスト」という雑誌(?)で連載されていた作品。
     季刊誌だったのか数年越しの単行本化。

     雑誌がおそらくミステリー系の物なのだろう、本作もテイストとしては推理とか謎とか、そういう点に重きを置いて作られている。
     もちろんいつも通り、石黒正数の持ち味である軽妙なユーモアも織り交ぜられている。

     大友克洋的な、やや退廃的な近未来(勝手なイメージです)、ロボットが普及した世界を舞台にしている。
     全9話から成っていて、最後まで読むと一応全部繋がっているということがわかる。
     しかしこれ、本当に最初から一連の流れを想定して作っていたのだろうか?
     最初の数話は手探りで作っていたような感がある。
     途中まで一話完結のそれなりの作品、と言う印象だったのだけど、途中から劇的に話の流れが変わる。それまでのユーモアを含めたやや軽薄な内容からあまりにも変わるので、ちょっと面食らってしまった。

     石黒正数さんはその作品全般にPOPさが溢れていて読みやすいのだけど、他方でややブラックな一面(作風)も持ち合わせている。
     この作品は読者層などの影響があるのだろうか、彼のそう言った面が他作品に比べて色濃い。
     エロとかグロとか、性とか倫理とか、人の汚い部分とか、そう言った面がテーマとして強いのだ。
     ある種、人間の欲望を素直に描いていて、ロボットや人工生命に限らず何でも誕生する背景にはそう言った個人的な欲求や好奇心があるのだと思う。それに対する社会の反応もありがちで面白い。

     最後には何というか(適切な表現かはわからないけれど)韓国映画のようなもの悲しい終わり方をする。あの収束の仕方、構図は圧巻だった。

     とにかく前半と後半であまりにも違うという印象があって評価に悩む面もあるが、心に強く訴える物はあるし、見た後印象に残ることは間違いないと思う。
     あとは好みの問題ではないだろうか。

  • 冒頭のエロ本から予想できないラスト。
    頭が追いつかない場面が何度も。
    紙の本で読み返したい。

  • 石黒先生の短編系の中では最強です。
    短編というか、この一冊で一つのテーマを扱います。

    石黒先生らしさが大変でてます。
    名作かよ。

  • 途中まで短編集と思っていたのに、実はシリーズになっていて、最後の数話で一気に引き込まれた。設定がすごく上手。結末が悲しいだけにより面白い。

  • ギャグとしても見事な話から怒涛の如く続く急展開。
    しかも伏線を回収している大傑作。

  • 不思議なマンション「外天楼」にまつわる連作短編オムニバス作品。
    さすが独特でキレキレのギャグセンス、しかしそれだけじゃない。
    後半のストーリー展開には泣かされた。
    オチがもう一押しほしかったところだが、作者の引き出しの多さには感嘆。
    まごう事なき名作!

著者プロフィール

1977年生まれ、福井県出身。
2000年、『ヒーロー』でアフタヌーン四季賞秋の四季賞を受賞しデビュー。
2005年から『それでも町は廻っている』の連載開始、2010年にテレビアニメ化、2013年に第17回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞。『木曜日のフルット』『外天楼』『ネムルバカ』など、幅広いジャンルを手掛ける。『天国大魔境』が「このマンガがすごい! 2019」オトコ編第1位にランクイン、2023年4月よりテレビアニメも放送された。

「2023年 『天国大魔境(9)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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