BUTTER!!!(6)<完> (アフタヌーンKC)

  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784063878875

作品紹介・あらすじ

青春の息苦しさとまばゆさを描く社交ダンス部群像劇、いよいよ完結!社交ダンス部に入部した、元気女子・夏とネクラ男子・端場。ソリが合わない2人だが、ペアでしか味わえない楽しさを知っていく!  新入生歓迎公演に向けて練習を始めた夏たち。ある日、夏はネット上に文化祭公演の動画がアップされているのを発見。そこには嘲笑の言葉が書き込まれていた…。悪意を跳ね返して、今度こそ本気の踊りを披露できるのか!?

感想・レビュー・書評

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  • 最終巻……でした!


    唐突に終わってしまったような気がして、あとがきで目ん玉飛び出ましたが、最終巻です。
    タイム・トゥー・ゴー。最終話、英語なんてわからないけど、夏とか端場くん、げっつに掛井くん、引退しちゃったけど二宮先輩と高岡先輩がはじめてくれた明彗学院高等学校のダンス部の幕開け。
    物語はこれからも続くんだろうなあと思わせる終わり方でした。
    一巻一巻の題材がそれぞれあまりにも些細なリアルさと訴えかける鋭さをもった最終話みたいな深い話だったから、驚いてしまったけれど、あの卑屈系男子の端場君があんなにかっこよくなって、同じ卑屈系としては大変腹立たしくて悔しいところでした。なんだよ!お前成長したな!かっけーよイケメンだなちくしょう!って感じです。

    戯言はさておき。
    ヤマシタさん初めての続刊連載ということもあって、もう終わっちゃったのかと少し寂しい気持ちでしたが、胸の奥のずくずく響いた素敵な作品でした。
    夏の晴れやかなまでにあけすけな言動と気持ちだとか、げっつの自尊心塗れの震える勇気とか、掛井君のどうにもならないことへの苛立ちとか優しさじゃない遠慮だとか、端場くんの劣等感と情けない自分への吹っ切れだとか、書きたいけど書ききれないくらいその他脇役の人もきらきら光っている群像劇でした。

    二宮先輩の頑張る・頑張らないの話もそうだけど、最後のシーンの新歓ステージで「楽しく!」って夏と端場くんが言い合っていたことも、結局楽しいことなんて一瞬で、それのためだけに頑張れるんだよなあと考えさせられました。
    なりたい理想の自分に成るためでもなく、誰かに指図されて他の人がそう言っているからでもなく、自分がやりたいとかそれで楽しいって思える気持ちが頑張れるっていう原動力になるのかもしれない。

    実際社会人の方からすれば仕事だとかも楽しくなんかないって思う方もいらっしゃるかもしれないけれど、結局その楽しいを見つけたり、自分が当たり前にただこなしていた仕事でも「よくできた」「良かった」って思えることを見つけていくからこそ、必死になったり、気持ちぶつけたりできる。
    二宮先輩みたいに必死になる・努力することは報われない可能性があることは怖いし無駄になったりそれを否定されたらとても傷つくのは当たり前で、でも誰かの悪い評価とかもあるからといって、それが今まで必死になったり努力したりした自分の否定ではない。
    それでこそBUTTERになるほど蕩けて溶けてしまいそうな自分の肌で感じた感動はそんなもので差し引きできるものじゃない。
    最近勝手な言い分ですがそう思います。思っていることを形にするために言葉や口があるけれど、それにしないからって形にならなくて無駄っていうものあまりにも味気ないし、その気持ちや想いや思考が存在しないとは絶対に言い切れない。

    上手くまとまりません。ここまで徒然書いていると、また信者かよ、だとか、腐女子乙とか思われるかもしれないけれど、そんな偏見なしに見てほしい作品です。もったいない。
    脱線しますが、個人的な意見としては、腐女子だからっていうわけじゃないけど、そういう人が描く女ってすごく醜いけど最高に素敵だったり、男は情けなかったりどんな人でもイケメンにしちゃえるからすごいと思うし大好きです。ヤマシタさんの作品ならHERはリアルな女性の本音を切り取ったあの作品は有名ですしね。

    三巻の帯にもあった「青春はうまくできない。だから、とびきりいとおしい」っていうは本当に秀逸だと思います。誰が考えたんだこれ天才だろ、と世界の隅っこで感動してました。
    とびっきりの、いとおしい青春、きっとヤマシタさんも憧れたのかなあとか思ったり、誰もが憧れてるよなあと思ったり、もちろん私だってこんな青春送りたかったなあとか思ったり。
    いつだって青い春への羨望は人間の心に棲みつくものですね。未成熟だからなおのことあけっぴろげの感情と態度や、ままならないながらももがく若々しさとか。きっと自分にも少なからずあったはずなのに、隣の青い芝のように遠くから見ると眩さがよく見える。

    続刊連載は終わってしまいましたが、久しぶりによい青春モノに出会えた気がします。次の作品も楽しみにしたいな。

  • 夏ちゃんの涙でスイッチはいる端場くんの男らしさにきゅんとした。一巻から、彼の革命を見届けてきた者としては、「大きくなって……!」という親のような気分。新歓のシーンは、ふるえるような喜びと、それと同じくらいの切なさがたくさんの大ゴマからびしびし伝わってきた。あと端場くんの目から見た夏ちゃんがすっごいきらきら。恋だね!! かわいいなあ!!

  • 2013 5/29読了。Amazonで購入。
    ヤマシタトモコのアフタヌーン連載、完結。
    なんかやりたい×それがどう見られるのかが気になる・・・とか、いろいろ含めてヤマシタトモコっぽいしアフタヌーンっぽい話だったなあとか思う。

  •  自分が何を思い、何をしたいか。思春期真っ盛りの高校生たち、部活青春マンガ完結。

     世界を楽しむために。最終巻では1巻に立ち戻った描写が多くありました。序盤のなにも事情を知らなかった頃に言えた夏の端場を変えた気軽な一言。しかし、夏は頑張っている今の端場を知っているわけです。今回の騒動でそんな端場を否定するような言葉を発することに夏は恐怖し、端場は自分を変えてくれた夏にそんな遠慮をさせてしまったことに怒りを覚えました。2巻でこのコンビは持ちつ持たれつのフラットな関係になったようで、まだ根強く溝があったのがなんとも現実的な人間関係を表していて良かった。完全に凸凹が埋まるわけがないのが人間関係ですが、それでも自分達が一体感で感じた楽しいをもっとずっと楽しいままでいさせるように頑張った姿が見れたのは胸がすく思いでした。世界を楽しむために楽しいを感じる、いい青春マンガだったと思います。

     今作品はリアルに抱えてしまいガチな悩みをしっかり描ききっていた作品でした。大人になってもクソみたいに陥ってしまう悩みはたくさんあるもので、そういった悩みを解決したいときにこういった作品を見ると自分の悩みの原点に戻れるようでとても助かりました。自分も世界を楽しめるようにもっとなにかをやってみたくなる熱さを持ちたくなる面白い作品でした。

  • ダンス・ダンス・ブルーピリオド。
    学生たちの成長物語。
    素敵だ。

  • ラストページに痺れた。いままで自分はヤマシタトモコ作品を全く読めていなかったのだなあ。こんなに優しい作家いるかよ。

  • 2013-7-17

  • ヤマシタトモコの、男女間のビミョ〜な感覚の違いとか捉えるのがうまいなあって思うんです。
    男の子たちの気持ちもわかるし、女の子たちの気持ちもわかるし‥!!

    主人公たちの、話すときどもったり、どうやってうまく伝えよう‥って考えていることがセリフ1つとっても感じられて、ハタから見てると違う違う!この子はそういうこと言いたいんじゃないよね?って思ったりして、結局いざこざになって、でも和解してよかったねえ‥と思う。

    こんなに真面目に向き合ってくれる人がいることってどれだけ素敵なことなんでしょう。
    大人になって読んでみて初めて思いました。
    社交ダンスに関しては、まったく知識はないですが、熱血スポ根モノでもないし、六巻で終わるし、読みやすくて好きです◎
    そんでもって掛井くんがめちゃくちゃタイプです。

  • 大事なものが詰まっている。必死でやれば、しんどい。でも、一瞬楽しい。それでいいじゃない。みっともないから頑張らないなんてない。カッコつけたい。ダサくても、自分が納得いかない自分のままではいられない。評価するのは、大事なのは、自分。

  • そして未来へ。最後までよかった! それにしてもムカつくわ村谷。どっかの段階でとんでもない目に遭っててほしい(笑)。

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著者プロフィール

1981年5月9日生まれ。 2005年のデビュー後、すぐに「ねこぜの夜明け前」で講談社「アフタヌーン」主催の四季賞、夏・四季賞を受賞。 19年には「違国日記」がマンガ大賞4位に入賞する。主な作品に『BUTTER !!! 』『ひばりの朝』『さんかく窓の外側は夜』(本書原作コミック)『花井沢町公民館便り』などがあり、幅広い層の支持を得ている。

「2020年 『さんかく窓の外側は夜  映画版ノベライズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ヤマシタ・トモコの作品

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