- Amazon.co.jp ・マンガ (160ページ)
- / ISBN・EAN: 9784063882346
作品紹介・あらすじ
好きな子ができた。同じ職場の女の子。それも誰もが認める「いい人」キャラ。しかし僕は、彼女のとんでもない“頭の中”を知ってしまう!(『月面と眼窩』) 月刊『アフタヌーン』でデビューを飾った2017年最注目の新鋭、熊倉献(くまくら・こん)待望の初コミックス。さえない男子たちが予想外のドラマをつむぐ、4編の恋愛譚を収録。
感想・レビュー・書評
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何だろうな、この漫画は・・・
笑える訳でもない、泣けるわけでもない、イライラさせられる訳でもない、シュールやチープでもない
でも、不思議と印象に残る
あくまで、私個人の印象だけど、『アフタヌーン』らしい漫画だな、と思った
漫画読みの「受け取る」能力を計られているような気はした、もちろん、気のせいに過ぎないんだろうけど
面白いか、つまらないか、って評価は下せないけど、私は好きだな、うん。でなきゃ、レビューは書かない
正直なトコをバラすと、てっきり、人間の男と人じゃないヒロインの恋愛モノだと思って買った、この『春と盆暗』は。恐らく、その勘違いがあったから、予想が裏切られた事で、より強く印象に残るんだろう
ありふれた日常を、ちょっとズレた視点から、しっかり描いているな、熊倉先生
恋愛のように思えるし、男と女の友情のようにも感じる、いうなれば、シャボン玉に反射する光のような作品だ
うわー、久しぶりに、自分でも「拙い」と恥ずかしくなるレビューを書いちまった。これ、熊倉先生の目に留まりでもしたら、切腹もんだわ
けど、誰かに「気になるな」と思わせて、書店で買って貰えれば、感想書きとしちゃ嬉しい限りだし、熊倉先生にも顔向けできるかねぇ
どの話も予想外の方向から衝撃が来るものばかりだが、個人的にオススメしたいのは、|第4話|甘党たちの荒野、だ
ホシノの「早送り」衝動は、何となく理解できる。命も物も全てが滅亡し、更地になった世界に、自分だけがポツンと独りだけ、って想像は誰でもしたことがあるだろう。楽しい、とかではなく、心の安らぎにはなる、凄ぇ寂しいけど
そんな現実逃避に終止符を打つのではなく、新たな変化を齎したのは、一人の女性との出会いと、お菓子作り
ストレートではなく、カーブ、いや、シュート気味なラブコメだった
この台詞を引用に選んだのは、熊倉献って漫画家を感じ取ったので。しみじみ、キャラってのは漫画家の分身、台詞は魂の叫びだな、と思った。モヤモヤした時の解消法は人それぞれ。標識を月面にブン投げるのもアリだし、自転車でぶっ倒れるほどキツい坂を3連続で登るのも、漫画を一気に読むのもアリ。ナシなのは、モヤモヤを他人へぶつけて傷つける事だけだ詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
揶揄する文脈で使われがちな、「ビレバンにおかれてそう」というセンテンスを最大限の賛辞として送りたくなるような漫画。突拍子もつかない発想を、アイデアでもって成立させる手際が鮮やか。早送り↔️巻き戻しの概念の作劇的な誇張によって展開する話にしびれる。お菓子作り、少年マンガ、SF、モチーフの抽出と様々な要素がごったになりながら渋滞しない整理され抑制された作劇の鮮烈さは、センスの一言でもってしか形容できない。それでいて超実力派作家だとも思わされる。
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恋愛の話なんだか哲学的なんだか与田話なんだか、とにかく不思議で癖のある話が4編とおまけ。どのお話にも変わった考えを持った人がいて、その人の話を聞いてるだけでも面白い。そこから恋愛に結びつきそうなとこは単に偏屈にならずポップになっていて読みやすかったです。かと思えば深い意味があるのか、特に意味はないのかはわからないけど、その曖昧な感じというか間をとっているようなとこはシュールだし、何だか変わった恋愛漫画な印象で面白かった。変な人の頭の中を覗けてるようで好き。
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いやー。
この短編集もとても良かった。
どのストーリーも最&高!だったのですが・・・特に第1話”月面と眼窩”と第4話”甘党たちの荒野”が大好き。
このじっくりと心に沁み込むような恋模様がなんだかLove Itなんだよなー。
明日、また読み返して読んでみよう。 -
とてもよい。なんか、端的に良い。
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もやもやすると想像の中で月面に道路標識を思い切り投げつける子。時折水面から顔を出して呼吸する魚のように息苦しく感じ、目の前に水中都市を現前させる、中央線の駅名を偽名に使う子。美味しいお菓子の解明に血道をあげ、嬉しくなると相手の肩を殴る子。サボテンとコーヒーが好きで、少年たちに空想を吹きこんで楽しむ子。ちょっと不思議な子たちに心惹かれて、片思いする少年・青年たちを描く短編集。一読、ちょっと飛躍多くて、どういうことだろう…と気になり、造形も突飛で、心に引っ掛かり、二読、三読してしまった。少しずつ、距離が縮まり行く過程もまた見てて愉しい。
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これを読んだのは大学院時代で、今では思い出せないけれどひどく落込んでいた日だった。なんとなく書店をぶらついて、なんとなく目について手に取った。読んだ時に、「いいな…」って思った。春という季節は元々そんなに好きじゃなかった。それでも、春に、自分が好きなのか好きじゃ無いのか。付き合っている人はいるのか、いないのか。そうやって気になったり自己嫌悪しながら、そわそわほわほわしながら過ごしたい。と思った。今更できるかは知らないけれども。
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少し変な女の子と盆暗な男の子。
帯に「ぼんくら男子と不思議女子」って書いてあったけど、十分男の子も不思議系だったと思う
4編とも全員が、ちょっと変わってて可愛くて素敵な世界観だなって思った。
リアルが前提の世界線で、自分と相手にしかわからない共通の世界があるってワクワクするよね
恋愛漫画ではあるんだけど、恋人とかそーゆーのじゃなくて、「ちょっと変な気になるあの子」っていう距離感が良かったと思う
答えを求められない、何も考えずに気軽に読めるお話
第4話『甘党たちの荒野』が特に好き -
短編4つ+おまけの後日譚1つ。結論に導いてくれるわけではなく、フッと手を放されるように終わるけど、でもなんだかまだそばに居るようなお話しで、どれも読後感がとてもいい。
『ブランクスペース』から遡ってきたけど、この作家さんすごく好き。