- Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065120989
作品紹介・あらすじ
ぼくは勇気がほしい。自分ひとりの音だけに満たされた防音ルームから飛びだして、誰かの心に踏み込む勇気。そのことで傷ついたってかまわないと思えるくらいの勇気が。
――本文より
チャイコフスキーのフォルテ4つの読み方と同じくらい、女子の気持ちってものがわからない。そもそも、音楽を間にはさまず、だれともコミュニケーションが取れない。それなのに、もっとも愛するソリストから、音楽への愛を否定された、元・天才ホルン奏者、遠峰奏14歳の「愛」をさがす輪舞曲!
感想・レビュー・書評
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絶対音感を持つ奏(かなで)は、一人のホルニストの演奏に魅せられてホルン奏者になることを決意する。しかし、周りと合わせることができない奏は、どこにいっても孤立していた。そんな時、ニューヨークのジュリアード音楽院であのホルニストが教えることになったと知り、入学試験を受けに単身ニューヨークに乗り込むが、不合格となってしまう。落ち込む奏は、そこでオーボエの天才少年と出会い…。
音楽に打ち込む少年たちの熱い物語。ちょっと音楽用語が難しいところもあるかも。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
音楽の才能に恵まれた奏は、吹奏楽部員の音に不満を感じている。そしてその思いを正直に発言してしまうので、奏はトラブルメーカー的存在だった。
小学校の時から憧れ続けているホルン奏者アブトを追って、アメリカのジュリアード音楽院を受験した奏だが、アブト本人に落第を言い渡されてしまった。
落ち込んで日本に帰って来た奏に、追い打ちをかけるように姉から、家の経済事情の厳しさを聞かされた。
これからどうするべきか悩む奏の前に、現れた少年は・・・。 -
ひとりよがりな天才はこの世代の小説によくあるタイプの主人公。続きがありそうな展開だけど、ここで終わるのもよしでしょうかね。
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面白かった。音楽的なことなわからないけど、キャラクターが立っていて、リズム感が良くて、楽しい。細かいところがうまくて、しみる。
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楽器奏者だったひとりとして、胸に抱えた情熱や信念、葛藤や言葉にできない感情を掻き立てられた作品。楽器の音色の描写、奏者の心中描写が真に迫る。同時に、「音を言葉にする」「言葉にできないから楽器や音で表現しているのに、その心情も奏者自体も小説化する」ということに惹かれたきっかけとなった。
全くの余談だが、私はこの作品で「リベルタンゴ」と出会い、ピアソラを好きになった。フルートでピアソラの曲を演奏するとこの作品を思い出す。作中にはほかにも、実際に存在する曲が登場している。本で受けた印象をきっかけとして実際の曲を聴くことで、情景がより鮮やかになるのも魅力の一つだと思う -
天才ホルン奏者と言われてきた中学2年生の遠峰奏(とおみね かなで)
神ともあがめる世界的ホルニストを追ってオーディションを受けるが、不合格を言い渡されてしまう
「きみの音ね──愛がない」
“元・天才ホルン奏者”となった奏は音楽をあきらめようとするが、同世代の天才オーボエ奏者や吹奏楽部のメンバーとかかわる中で自分の音を見つけ、音楽の喜びに目覚めていく
──ああ、音が好き。ホルンが、音楽が。
室内楽をBGMに、魂の叫びが凝縮された文体で少年たちの孤高と情熱を描き出した青春音楽小説
第58回(2017年)講談社児童文学新人賞佳作を受賞した「さよならシュトラウス。」を改題して単行本化、2018年7月刊
ちなみに、この年の新人賞はこまつあやこ『リマ・トゥジュ・リマ・トゥジュ・トゥジュ』 -
うわー!すき!となった。
ラストは泣きそうになった。
気持ちの葛藤や揺らぎが痛い、それがまた良い。
大きなうねる波のような1冊だった。
落ち着いたら読み直す気がする。 -
泣いて、笑って、胸を直接杭で打たれたような。
これぞ青春で、友情で、運命で、愛だ!
奏が本当にネガティブな天然天才クソ野郎で、だからこそ愛しい、応援したい。
幸せな読後感に休日ひとりで拍手喝采、叫び出しそうになりました。