誰も僕を裁けない (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 332
感想 : 33
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065121504

作品紹介・あらすじ

「援交探偵」上木らいちの元に、名門企業の社長から「メイドとして雇いたい」という手紙が届く。東京都にある異形の館には、社長夫妻と子供らがいたが、連続殺人が発生! 一方、埼玉県に住む高三の戸田公平は、資産家令嬢・埼(みさき)と出会い、互いに惹かれていく。そして埼の家に深夜招かれた戸田は、ある理由から逮捕されてしまう。法とは? 正義とは? 驚愕の真相まで一気読み! エロミスと社会派を融合させた渾身作!!

感想・レビュー・書評

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  • 面白い★5 下ネタバカミスが本気を出すとここまで面白い、バランスが取れた傑作 #誰も僕を裁けない

    高校生である主人公はひょんなことからお嬢様と知り合いになる。彼女から大人の関係を誘われ、二人は愛欲におぼれていく。しかし禁じられた交わりがばれてしまい、彼は現行犯逮捕されてしまう。
    一方、援交探偵の上木らいちのもとに、大企業の社長から手紙が届く。メイドとして働いてくれないかという依頼だ。らいちが社長宅につくと、いまにも〇りそうな、そして殺人事件がおきそうな怪しげな館だった。

    二つのストーリーがどうなっていくのか楽しみでしたが、なんとこういうことですか~
    しかも二重三重にも仕掛けられた伏線、仕掛けが最高すね。よくぞここまで奇想天外のトリックを成立させましたね、素晴らしいと思います。

    そして要所要所で見られる、小粋なバカっぷり&エロさ加減も健在で、爆笑させていただきました。それでも本格ミステリーとしてはしっかりしていて、今回かなりうなされましたよ。

    上木らいちシリーズは3作目ですが、本作はなによりバランスがいい。
    バカやエロばっかりに寄せるのではなく、1つの小説として整っていてキレイ、あまり知られていない名作だと思いました。みんな読みましょう!
    多少文章が荒い部分もある気もしますが、むしろ話がすんなり入ってくるので、問題ないと思いました。

    相変わらず女子にはおすすめしづらいのが難点ではありますが、★5のレベルはあると思います。超おすすめの一冊です!

  • 上木らいちシリーズ3作目。
    いやー、面白い!!
    実にお見事でした。
    どんどん謎解きのクオリティとエロさが増しています。
    すっかりファンになってしまいました。

  • 上木ライチシリーズ3弾!

    トリック、見破れそうで、騙された!
    エロミスっていうジャンルが
    油断させるンですかね?笑

    それでも、面白かったですね。
    上木ライチシリーズ、もっ読みたく
    なりました。

  • 楽しみにしていたのだが、期待以上だった。
    まず、ミステリーとしては叙述トリックを利用した二つの話の繋げ方はもちろんだが、やはりアリバイトリックに驚かされた。
    これぞエロミスの真骨頂。エロとミステリーの絡め方があまりにも巧すぎる。

    そして、
    「本格のルールが現実社会のルールをも侵食」
    という言葉がとても印象に残っている。

    ミステリーの中にしか出てこないようなトリックによって、まるで本格ミステリーの「フェアかアンフェアか」を問うてるかのような現実社会のルールの穴が浮き彫りになる。

    エロとミステリーの絡め方、ミステリーと社会派の絡め方、どちらも非常に鮮やか。
    少々ラノベ的な雰囲気はあるが、一人一人の登場人物も面白く、解決編が少し説明的すぎる気はするものの、全体的には中弛みせずにノンストップで読め、数々の伏線(もちろん初読では気づかないが)もしっかり回収されている。
    「人」と「場所」、二つの叙述トリックもしっかり騙された。
    やはりあのアリバイトリックのような、"まるっきり新しいトリック"を味あわせてくれるのが早坂吝さんの小説の醍醐味だと改めて感じた。 

  • 今回もエロミステリでした(前2作よりはマシ?)。
    ただ、これまで以上に本格寄りでかなり好みでした。
    見取図、他視点進行…場所に関するオチは想像通りでニヤリとしましたが、人物に関する叙述トリックは見抜けず、そういうことか、とびっくり。
    終わって見れば、あまりエロくないのも伏線だったとは…。
    本格らしい仕掛け、伏線回収の鮮やかさ、いずれも最高だけど、クセが強すぎてオススメしにくい。笑

  • タイトルから、冤罪関係の話かなと思いながら、読み始めました。
    物語は、シリーズ主人公の上木らいちと、本作品の中心人物である戸田公平の視点とが切り替わる構成で進んでいきます。
    文書量的には、それほど変わらないはずなのに、上木らいちの活躍が薄く感じられました。
    実際に、戸田公平は殺人事件の容疑者として扱われはするのですが、「誰も僕を裁けない」が意味するところは、予想していたものとはかなり異なっており、なるほどと思わせるものでした。
    舞台となる東蔵邸の図を見たら○りそうだというのは多くの人が予想できると思うが、それによりプラスアルファの要素が加わることに感心しました。

  • 『虹の歯ブラシ』に続き、早坂作品三作目。らいちシリーズ、第三弾。相変わらずのエロミスで面白かったw まさかある実在する法に因って結末が齎されるとは…今までにない作品、読後タイトルの秀逸さに驚愕。星四つ。

  • 内容(「BOOK」データベースより)

    援交少女にして名探偵・上木らいちの元に、「メイドとして雇いたい」という手紙が。しかし、そこは異形の館で、一家を襲う連続殺人が発生。一方、高校生の戸田公平は、深夜招かれた資産家令嬢宅で、ある理由から逮捕されてしまう。らいちは犯人を、戸田は無実を明らかにできるのか?エロミス×社会派の大傑作!

  • 援交探偵シリーズ第3弾。
    大掛かりな新本格的な館ものと見せ掛けて、実は…

    以下ネタバレ
    法律的な意味においてタイトルは嘘偽りがない。
    ただし、タイトルは殺人ではなく淫行という法律ではなく条例によって規制される行為に対してである。
    各都道府県によって制定される条例に関する矛盾が引き起こす悲喜劇。
    テーマとしては非常に興味深く、本来の意味とは異なるかもしれないが非常に楽しめた。
    個人的には、援交探偵シリーズでは一番好きな作品である。

  • この作者の頭を覗いてみたいくらいに頭が良いなと感銘を受けた。らいちを始め、登場人物にとても魅力がある。名前が地名なのも、印象が残りやすくて良い。あまり印象に残らないと戻って人物像を回想するのに時間がかかるし。単なる推理小説ではなく、しっかりストーリー性もある。
    少し時間を置いて再読したいと久々に思った作品。

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著者プロフィール

早坂 吝(はやさか・やぶさか)
1988年、大阪府生まれ。京都大学文学部卒業。京都大学推理小説研究会出身。
2014年に『○○○○○○○○殺人事件』で第50回メフィスト賞を受賞し、デビュー。
同作で「ミステリが読みたい! 2015年版」(早川書房)新人賞を受賞。
他の著書に『虹の歯ブラシ 上木(かみき)らいち発散』『RPGスクール』『誰も僕を裁けない』
『探偵AI(アイ)のリアル・ディープラーニング』『メーラーデーモンの戦慄』などがある。




「2019年 『双蛇密室』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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