訣別(下) (講談社文庫)

  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065123119

作品紹介・あらすじ

ヴァンスに会いにいくと、高齢と疾病のため、老い先短いことを悟った老人から、大学生の頃知り合い、妊娠させながらも、親に仲を裂かれたメキシコ人の恋人を、あるいはもしその子どもがいれば、探してほしいと頼まれる。ヴァンスは未婚で、ほかに子孫はおらず、彼が亡くなれば莫大な財産の行方が気になるところで、もし血縁者がいれば、会社の将来を左右する事態になる。


ヴァンスに会いにいくと、高齢と疾病のため、老い先短いことを悟った老人から、大学生の頃知り合い、妊娠させながらも、親に仲を裂かれたメキシコ人の恋人を、あるいはもしその子どもがいれば、探してほしいと頼まれる。ヴァンスは未婚で、ほかに子孫はおらず、彼が亡くなれば莫大な財産の行方が気になるところで、もし血縁者がいれば、会社の将来を左右する事態になるかもしれず、そのため、会社側の利益(ひいては自分たちの利益)を優先させる行動に出る重役たちがいることが予想されるため、調査はくれぐれも極秘でおこなってほしい、と念を押される。また、この調査に関する報告は、かならずヴァンス自身にのみおこない、ヴァンス以外の人間から調査への問い合わせは一切しない旨、告げられる。

感想・レビュー・書評

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  • ボッシュ・シリーズ19作目、後半。
    サンフェルナンド署の嘱託刑事としては、連続暴行事件を追い、私立探偵としては、大富豪の遺産を相続させる人間を探すボッシュ。

    捜査の過程で、若い頃にヴェトナム戦争に参加した記憶がよみがえる。
    シリーズ初期には、ヴェトナム帰りの暗さを引きずった刑事だったが、最近はその影はだいぶ薄れていました。
    この数年、いることも知らなかった最愛の娘マディと出会い暮らしている日々も影響しているのだろう。

    サンフェルナンド署では、新入りだが経験豊か過ぎるボッシュのやり方に、同僚がついて行けないところも。
    自分もミスをしないわけではない、これまでミスをして覚えてきたことを教えたいと語るボッシュ。
    目の付け所の確かさに、次第に信頼を得ていきます。

    全く異なる事件それぞれの展開と、66歳になったボッシュの人生。
    コナリーの衰えない筆力に感動しました。
    様々な新鮮味とスケール感、いつもの解決力と、きびきびした文体で、読ませます。
    ボッシュが首になりそうだと何年もハラハラさせたくせに(笑)

  • マイクル・コナリー『訣別(下)』講談社文庫。

    シリーズ第19作。上巻に書き忘れたのだが、本作にはボッシュの異母弟、リンカーン弁護士ことミッキー・ハラーも登場する。

    まさに現代最高峰のハードボイルド警察小説。27年間、衰えを知らないマイクル・コナリーの筆が冴える。シリーズでは久し振りに手放しに面白いと言える作品だった。

    85歳の富豪、ホイットニー・ヴァンスから依頼された人探しは一筋縄ではいかず、まさかの展開が……一方の『網戸切り』と呼ばれる連続レイプ犯の正体は……

    納得のゆく感動の結末。

    シリーズはまだ続くようだ。

    本体価格900円
    ★★★★★

  • 女性連続レイプ事件と、巨額遺産相続人の調査。
    2つのストーリーをボッシュが前者は警官、後者は探偵として追う。

    ただ、この2つのストーリーは交わらない。
    推理小説にありがちな交差して、複雑な展開となって、
    一挙に2つとも解決する、という展開にはならない。

    マディとの関係、ベトナム戦争での記憶、元警官としての矜持。
    様々なことが2つのストーリーのあいだに微妙に交差し、過ぎていく。
    ボッシュの日常を描いた作品と言えるだろう。

    シリーズも30作目。
    ファンとしてはこのような作品もあっていい。
    等身大のボッシュが日々どのように考え、悩み、事件に立ち向かっていくのか。
    一つ確実に言えるのは、ボッシュは筋金入りのワーカホリックということだろう。
    事件に携わっていることが自身の人生への大きな励みになっているように思えてならない。

    最後に、ボッシュは刑事復帰への足がかりを掴んで終了する。
    やはり筆者もボッシュを探偵ではなく、刑事として描きたい気持ちの方がが強そうだ。

  • シリーズ第19弾。ボッシュは無給の嘱託刑事として捜査し、それとは別に私立探偵としても依頼を受ける。探偵としての調査の過程でヴェトナム時代の話がありボッシュの過去が再び浮き上がりつながるシリーズとしての面白さがある。刑事としてもわずかな手がかりからの捜査、上司の目、対立がある。刑事と探偵の2つの仕事をし、見つけていく自分の立ち位置。ボッシュの求めているものが見えて次作以降の展開がまた新たなものになりそうなラスト。ここ何作の中では一番だと思う。

  • 連続強姦犯人の生体情報を得られるかもしれない覆面と手袋を入手して、更に盗難車情報から車のキーを現場に落としたのでは?との推理をしたボッシュ。
    しかし大富豪の末裔探しが佳境になっており手が離せない。
    相棒女性刑事に任せたところ連続強姦犯に拉致された模様。
    署内総出で探し、そこで気づいた犯人像。
    そいつの家で色々あって、さすが修羅場を潜り抜けたボッシュ、サイコパスなクソ野郎に銃弾を浴びせる。
    躊躇いなく撃てるっていうのもボッシュならでは。

    こっちが一段落したと思ったら大富豪の死因が殺人だということで二人の刑事の訪問を受ける。
    この刑事達との駆け引きもボッシュならでは。
    彼等を手玉に取りながら与えた以上の情報を得るボッシュ。
    狡知に長けた66歳。

    最後は忠実だった秘書が犯人として逮捕され、アーチストの孫に莫大な金が行くことに。
    そのアーチストだった女性も大金を手に入れたことで自分の望みは達成できたが、これから幸せなんだろうか?みたいな終わり方。

    大富豪も秘書に少しは遺してやれば良いのに、ケチなんだなあ。
    しかしボッシュが使ったレンタカー等の様々な経費はどうなったんだろう?

  • ボッシュの、経験が、事件を解決に導きます。やり方の違いで、ちょっと角が立ちかけていたSFPDの仲間と上司ですが、事件を解決したボッシュの実力の賜物で和解して、無休の立場から、常勤の立場を提示されるようです。この作者の傾向を見ると、実際に、常勤になるかどうかはわかりませんけどね。

    早く次作を読みたいです。翻訳家の方、よろしくお願いします

  • ハリー・ボッシュ・シリーズ19作品目。前作も面白かったが、コナリーもさすがと言うかしぶといと言うか(失敬)、本作品も甲乙つけがたい面白さ。

    連続暴行犯の意外な犯人像を経ての息詰まる対決も面白かったが、今回の読みどころは私立探偵としてのボッシュだろう。少ない情報から糸口を見出し、そこから紐解いていく秘められたドラマが秀逸。じっくりと事件を追及する展開に隠された家族の物語がいい具合に絡んで、どっしりとした厚みとなってストーリー全体を支えている。刑事であろうが探偵になろうが、シリーズとしての世界観や雰囲気は損なわず、謎解きも緊迫感も相変わらずのハイレベルなのが嬉しいのよね。

    無難な着地に若干物足りなさは残るものの、続編への期待が高まる読後感がファンとしては何より。次回作は女性刑事を主役にした新シリーズだとか。年内に読めるというのが嬉しい。

  • 面白かった。やっぱりボッシュは読みやすく面白い。

  • コナリーの快作と言っていいだろう。齢を重ねたボッシュが2つの事件を並行して捜査していくのだが、謎が徐々に明らかになっていく過程と、一方で見事に期待を裏切る展開もあり、とにかくページをめくる手が止められない。エピローグも含め、娯楽作品としてほぼ完璧ではないだろうか。

  • ハリーボッシュ・シリーズの最新作。本当に相変わらずとても面白い。前作よりも面白かった。作者のマイケル・コナリーのクォリティの高さには驚くし、信頼を深めるのみ。どの作品も本当に面白いので、是非とも読んでもらいたい。

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著者プロフィール

Michael Connelly:1956年生まれ。LAタイムズ元記者。代表作としてはボッシュ・シリーズ、リンカーン弁護士シリーズがあり、当代随一のストーリーテラー。

「2023年 『正義の弧(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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