蕪村 己が身の闇より吼て

著者 :
  • 講談社
2.40
  • (0)
  • (1)
  • (2)
  • (0)
  • (2)
本棚登録 : 12
感想 : 1
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065125946

作品紹介・あらすじ

江戸時代中期。享保の改革が行われていたころ、15歳の男が叔父を殺めて大坂から京へ逃れていった。男は河原で乞食をして暮らすようになるが仲間に殺されかけ、浄土宗の僧・弁空のもとで寺男になる。そこで画と俳諧に興味を持ち始めた男は、京を発ち江戸へ向かうことを決意する。凶々しい痕跡を消し去り、さすらいの身になるためにも。江戸では弁空に紹介された俳諧の師匠・宋阿を頼り、弟子入りする。のちに男は宰鳥と名乗る。だが間もなくして師の宋阿が亡くなり、下総は結城の兄弟子・雁宕の食客となる。それからは結城を拠点に、芭蕉の足跡を辿るように奥州や北関東への旅を繰り返していた。28歳のとき宰鳥は俳号を蕪村に改め、いよいよ画と句と書に力を注ぎこもうとしていた。そして36歳にして、ついに京に戻ることに……。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 俳句を齧りはじめて、蕪村に興味があったので読んでみた。俳人の中で、俳句だけでなく寧ろ大和絵で名を成し、書にも通じていたことで知られる人物。絵については狩野派等の系統で修行しなければ職業絵師にはなれない当時で放浪ばかりしていてどうやって身をたてたのか。特に謎とされている前半生はほぼフィクションであろうが、放浪の身に至る経緯や世の中を自分の志向で過ごしていく人物像は説得力があった。当時の俳諧というものの状況も語り手を碧梧桐にしているだけに詳しくて参考になった。

全1件中 1 - 1件を表示

著者プロフィール

1944年、秋田県生まれ。早稲田大学卒。『鉄塔の泣く街』『清十郎』『おらホの選挙』「風が呼んでる」がそれぞれ直木賞候補となる。1995年、『刑務所ものがたり』で吉川英治文学新人賞受賞。2010年、『真幸くあらば』が映画化。『蜂起には至らず 新左翼死人列伝』(講談社文庫)、『ふぶけども』(小学館)、『水漬く魂』全5巻(河出書房新社)、歌集『明日も迷鳥』(短歌研究社)など著者多数。近年は、『悪武蔵』『我れ、美に殉ず』『蕪村―己が身の闇より吼て』(ともに講談社)、『天のお父っとなぜに見捨てる』(河出書房新社)、『走れ、若き五右衛門』(講談社)などの歴史小説、また体験的新左翼小説『彼方への忘れもの』『あれは誰を呼ぶ声』(アーツアンドクラフツ)を刊行。

「2021年 『ここは何処、明日への旅路』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小嵐九八郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×