往生要集 全現代語訳 (講談社学術文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065128404

作品紹介・あらすじ

極楽と地獄。多くの日本人に浸透するこの観念は、そもそもなにに根ざすのでしょうか。

平安時代中期、「末法の世」に惑う人びとに死後の往生の方法を説くために、僧・源信(942-1017)が、膨大な経典・論疏から極楽往生にまつわる重要な要素を集成しまとめたものが『往生要集』です。

源信は同書で「極楽」と「地獄」の概念を具体的かつわかりやすく示し、死後の極楽往生のために一心に仏を想う念仏の重要性を説きます。その教えは同時代の貴族・庶民に受け入れられ日本浄土教の基礎となるとともに、文学や思想にまで影響を与え、後代の日本人に深く影響を与え続けています。

本書は川崎庸之、秋山虔、土田直鎮の三碩学が学問的精緻さを駆使し、日本仏教史上、最重要とされるこの仏教書を平易な現代語訳として甦らせました。さらに巻末に添えられた解説「源信の生涯と思想」は『往生要集』の世界のより深い理解を助けます。
浄土への道を学ぶうえで必読の書『往生要集』、本格的決定版と呼べる名著の文庫化です。
(原本:『日本の名著 第4巻 源信』中央公論社刊、1972年所収『往生要集』)

感想・レビュー・書評

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  • 円仁。最澄の弟子。念仏を唐から持ち帰る。847 平安初期。

    空也(903-972)。京都の市中で浄土教を広める。市聖いちのひじり。平安中期

    極楽浄土にいって生まれ変わる。その方法には色々ある。その中でも念仏を私は勧める。他のやり方を否定はしない。ただ男女貴賎はさまざまで、念仏以外の方法を十分に行えるわけではない。字の読めない多くの貧民。念仏であれば横になっていても座っていてもできるし、時や場所も選ばない。難しくない。人が死を迎える直前に、極楽浄土にいって生まれ変わりたいと望むとき、念仏に及ぶものはない。▼九品くほん。浄土は9つのランクに分かれている。どこに往生できるかは生前の行いで決まる。上品上生(じょうぼん・じょうしょう)が最高ランク。源信『往生要集』985

    慶滋保胤よししげのやすたね『往生伝・日本往生極楽記』985
    ※国風文化
    ※末法思想。釈迦の死から2000年後の1052年から世が乱れる。
    ※阿弥陀堂。平等院鳳凰堂(1052)・藤原頼道。高野山・阿弥陀聖衆しょうじゅ来迎図(平安後期)。毛越もうつ寺。浄土庭園。藤原基衡。※なぜ浄土教と真言宗? 

    八大地獄
    ①等活とうかつ地獄。殺生。鳥や鹿を殺した。刀を使って殺した。動物を殺して食べた。人を縄で縛って、杖で打った。断崖絶壁から突き落とした。子供を恐れさせた。拷問で苦痛を与えた。羊や亀を殺した。鳥獣を殺した。腹を立ててすぐに怒り、暴れ回り、物を壊した。

    ②黒縄こくじょう地獄。+盗み。仏法とは違う法を説いた。崖から投身自殺した。阿片を吸った。飲食物を奪った。

    ③衆合しゅごう地獄。+邪淫。他人の子供と性行為をした。異常な方法で性行為をした。口を使って性行為をした。獣姦した。男同士で性行為をした。他人の妻と性行為をした。兄弟、姉妹と性行為をした。尼僧と性行為をした。

    ④叫喚きょうかん地獄。+飲酒。五戒を守っている人に酒を与えて戒を破らせた。水で薄めた酒を売って大儲けした。鳥や獣に酒を与えて、酔わせた後に捕らえて殺した。旅人に酒を飲ませ酔わせて財産を奪った。貞淑な婦人に酒を飲ませて酔わせて関係した。酒に毒薬を混ぜて人に与えた。人の無知に付け込んで、少しの酒を高価な値段で売った。病人や妊婦に酒を与えて、彼らの財産や飲食物を奪った。荒野を旅する人をだまして泥酔させ、持ち物や命を奪った。人里離れた荒野の街道で酒を売った。他人に酒を飲ませて酔わせ、物笑いにした。使用人に酒を与えて勇気付け、動物を殺生させた。

    ⑤大叫喚だいきょうかん地獄。+妄語うそ
    ⑥炎熱えんねつ地獄。+邪見(仏教の教えとは相容れない考えを実践)
    ⑦大炎熱だいえんねつ地獄。+犯持戒人(尼僧・童女の強姦)
    ⑧無間むけん地獄。最下層。+父母・阿羅漢(聖者)の殺害。阿羅漢をそしった。仏像・僧房を焼き払った。仏に捧げられた財物を盗んだ。僧侶の食料を奪った。僧侶を装って財物を奪った。田畑の水や飲み水の水源である河などを破壊した。仏教の説を伝える書や絵画を破損した。仏像・仏塔・寺舎を破壊した。

  • 現代語訳ではありますが、注などがあまりないので、わかりにくいです。

    巻末の「源信の生涯と思想」が、よくまとまっているので参考になります。

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著者プロフィール

942-1017。天台宗の僧。恵心僧都。大和国に生まれ、比叡山で良源に師事。日本浄土教の祖。

「2018年 『往生要集 全現代語訳』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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