七月に流れる花 (講談社タイガ)

著者 :
  • 講談社
3.49
  • (19)
  • (62)
  • (79)
  • (11)
  • (2)
本棚登録 : 726
感想 : 68
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065130216

作品紹介・あらすじ

坂道と石段と石垣が多い町、夏流に転校してきたミチル。六月という半端な時期の転校生なので、友達もできないまま夏休みを過ごす羽目になりそうだ。終業式の日、彼女は大きな鏡の中に、緑色をした不気味な「みどりおとこ」の影を見つける。思わず逃げ出したミチルだが、手元には、呼ばれた子どもは必ず行かなければならない、夏の城―夏流城での林間学校への招待状が残されていた。ミチルは五人の少女とともに、濃い緑色のツタで覆われた古城で共同生活を開始する。城には三つの不思議なルールがあった。鐘が一度鳴ったら、食堂に集合すること。三度鳴ったら、お地蔵様にお参りすること。水路に花が流れたら色と数を報告すること。少女はなぜ城に招かれたのか。長く奇妙な「夏」が始まる。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ※七月と八月、セットで長編として読了。

    恩田さんの得意分野、学園モノダークファンタジー(って言葉にすると何故か抵抗がある単語だけど)なので、もっと鋭い心理描写や魅力的なキャラクターを想定してたが、なんだかあっさり結末までいってしまった。

    題材として突拍子もない、と思わせつつちゃんと裏があるという点で七月はいい落とし所でおわる。
    八月は…うーん。好みが分かれそう。

    でもこの登場人物がどこかの短編とかで出てきたら嬉しいかも。理瀬シリーズや関根ファミリーみたいに。

    恩田さんなら多分もっと掘り下げてがっつり深い長編にできただろうに。そこが想定できただけに浅いのが残念。と言いつつも、一気読みさせられるだけのストーリー展開と読みやすさは健在で、結局一瞬で読了。

  • 児童向け作品のようである。
    城の構造やレイアウトが中々、掴みきれないところがあり、
    難解かもしれない。
    主人公は幼稚な性格でもない気がするが、そこまで秘密にする理由が今ひとつ、説得力に欠ける気がする。
    真実を知れば、人は成長するものであるから。
    やたら、恐怖を漂わせるところに疑問を感じた。

    数々、読破したので、ストーリー展開は容易に読めてきた。
    児童には難解すぎて、受け入れらだろうかと思った。

  • 6月という半端な時期に転校し、
    いまいち馴染めないまま夏休みに突入した
    主人公の元に林間学校の招待状が届く。

    恩田さんの書く女学生達が好き。
    6人の女学生が過ごす穏やかで長閑な日々は
    私も参加してみたいと思う程だが、
    だんだんと明らかになっていく真実に
    切なく苦しくなってしまった。

    「淋しいあたしたちの、お城なの」
    という蘇芳の言葉が最後に刺さる。

  • 何も知らないミチルと共に、真実に向かっていく感じを純粋に楽しめた。

    「七月に流れる花」は少女サイド、「八月は冷たい城」の方では少年サイドの話の模様。

    ミチルが声を聞いた、蘇芳と関係がありそうな少年はどのように繋がってくるのか。

  • 6月に夏流に転校してきたミチル。中途半端な時期の転校なのでなかなか友達を見つけられず。そんな中、ある鏡を見ていたら、中の世界に「みどりおとこ」を見つけた。実際の世界でも逃げだすが、クラスの子に会い、安全を確認する。しかし、呼ばれた子どもは必ず行かなければならないという夏の城―夏流城での林間学校への招待状が鞄に残されていた。謎だらけの城で参加した六人とともに暮らすが、ここにも不思議があり…。
    異国のような世界、恩田さんはこういう不思議さを出すのがうまいなあと思う。そして、「みどりおとこ」とか花の謎、すっと引き込まれました。その世界に自然に浸れた。短いし気軽に楽しめた。『8月は〜』も続けて読みたい。

  • すらすらと読めるし、引き込まれるのだが、
    設定とか、ツッコミ所が多い。子供向けだからなのか?

  • 懐かしいというのを一番に感じた。恩田さんが紡いでいく、形にも言葉にもし辛い、ただ確かにこの空間にある恐怖の演出が、恩田陸という作家を追い続けるキッカケとなった、六番目の小夜子のあの劇を彷彿とさせた。
    勿論、手に取れば分かるがあれよりもずっと薄い作品なので恐怖の濃度は低めではあるが、主人公ミチルが真実をしるまでの駆け寄ってくる恐怖心は読者を惹きつける。

  • 最初はホラーなのかな?と思ったけど違いました。
    読み進めてとても不思議な感覚になりました。
    出てくる少女たちにも感情移入してしまいます。

  • なんだかブクログの表紙と違う。。奥付は2016年。なにかの特装版か?と思って調べたらミステリーランドという企画版らしい。資材がなく一度中座していた企画のようで、我が身と思うとドキドキする。
    たしかなにかの謎解きイベントで買ったのだ。装丁がきれいだった。編集さんの苦労が偲ばれる。中身はホラー調ぽく、謎は終盤まで解決へ進んでいく感じはない。主人公が探り偵う者ではなく中学生女児だからね。作者さんが企画の中座でモチベ保てなかったかなぁなんて邪推もしてしまうけど、ともかく形として世に出たことに感謝を。
    中盤の大きな謎がほったらかしにされるのもいい意味で中学生らしく。対になる物語で明らかになるようなのでしっかり踊りましょう。

  • 短い話でした
    突然招待された林間学校の謎
    みどりおとことは

    あっさりと読めちゃいます

全68件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』で、「日本ファンタジーノベル大賞」の最終候補作となり、デビュー。2005年『夜のピクニック』で「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」、06年『ユージニア』で「日本推理作家協会賞」、07年『中庭の出来事』で「山本周五郎賞」、17年『蜜蜂と遠雷』で「直木賞」「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『ブラック・ベルベット』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』等がある。

恩田陸の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×