- Amazon.co.jp ・マンガ (212ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065150924
作品紹介・あらすじ
フィレンツェ・メディチ家の新当主、ピエロに三国同盟解消の意向を伝えられたチェーザレは、水面下で動き出す。教皇の健康状態は日に日に悪化し、教皇不在とも呼べる状態が続くなか、ボルジア枢機卿とローヴェレ枢機卿の対立構造は強まり、各国の思惑はこれまで以上に錯綜する。そして、いよいよ教皇崩御のその瞬間が訪れる。ローマは、一瞬の静寂ののち、教皇選一色に染まる。
感想・レビュー・書評
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いやもうこの巻が出るのを無茶苦茶待ってた(^^;)。
前巻が出たのが2015年1月というから、かれこれ4年半。
連載再開の噂は聞いていたが、単行本が思っていたより早く出てうれしい限り。
さて、激動の1492年。
病床にあった教皇インノケンティウス8世が遂に没する。教皇崩御となれば、次の教皇の選出である。
いわゆる「コンクラーベ(conclave)」。元々は「鍵を掛ける(cum clavis)」からきている言葉である。13世紀、紛糾して3年もの間、次期教皇が決まらなかった事例を受けて、以後、そのようなことがないように、選出にあたる枢機卿を密室に監禁して選挙を行ったことに由来する。
コンクラーベと聞くたびに、「根競べ」とベタな駄洒落を思い浮かべるのだが、実際、これは神経戦で消耗戦であった。
選出にあたる枢機卿らは全員候補者であり、集まったものの中から次期教皇が決まる。決め方はいくつかあったというが、1492年には、他の多くの場合のように、投票制をとったようだ。
1人3票まで、記名の上の投票である。投票用紙を集め、その場で投票したものの名と推薦者を読み上げる。
3分の2の票が集まらなければ、時間を置いて再度投票である。
・・・密室に監禁された中での記名投票。
懐柔に走るものもいただろうし、陰に日にさまざまな駆け引きがあったろう。
当時の教皇選となれば、今よりも当然政治色は強い。
選挙が長引くことを避けるために、食事も日を追うごとに質素になっていったという。
当事者のストレスはいかほどだったことか。
有力候補は、チェーザレの父、ロドリーゴ(ミラノ派)と、宿敵ジュリアーノ(ナポリ派)。
枢機卿になったばかりの若きメディチ家のジョヴァンニと、それに付き従うアンジェロは弱冠16歳(!)。老獪な古狸たちに翻弄されていささか気の毒である。
各国、各勢力の思惑が絡み合う。しかし、どう転ぶか蓋を開けてみないとわからないのもまた選挙の常。
後世の我々はもちろん、その結果を知っているわけだが、この時点では「神のみぞ知る」。
さて、神の出す答えは。待て次号(*そうなんです、まだこの巻では結論は出ないのですw)
*驚いたことに、本作、2020年にミュージカル化が決定したのだそうで。
いやー、本編も完結していないのに、どこまでをまとめるのでしょうか?? それともストーリーを先取りするのかな?? ひょっとしてもしかしてそれまでに完結する??
・・・見に行けるかどうかはわかりませんが、続報を楽しみにしていたいと思います~。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
借りたもの。
コンクラーベの描写が丁寧。聖なる場所で渦巻く思惑――権力争い――が俗で、その不気味なコントラストが読者をひきつける。
前巻で教皇の前で暴力沙汰をしたボルジア(怪物)とローヴェレ(猛獣)。既に始まっていた教皇選……
そして遂にインノケンティウス8世が崩御する。
外ではミラノとナポリが陸海軍を展開し、
コンクラーベのため緋色の衣を纏った枢機卿が列を成して粛々とシスティーナ礼拝堂に入っていく…その静謐さが伝わる描写。
強い陽射しを受ける建物の外から入場、陽の光があまり入らない薄暗い階段を上がり、木の板で仕切られた王者の間に入場し、扉が閉まり、鍵で閉ざされる。
そこで枢機卿らによる投票――駆け引き――が行われる。それまで外の世界で行われていたスペイン、フランス、イタリアの名門貴族らの血縁や同盟、金銭による駆け引きが、俗世から切り離され、コンクラーベ投票用の聖杯の中で煮えたぎる。
ボルジアとローヴェレの一騎打ち…後はいかに中立派を取り込むか……そうした駆け引きが夜が更けても続いている。
老人の方が死にやすい(次の教皇選に繋がる)、強力な派閥に属さない人の方が無難……
教皇候補でなかった人間が、うっかり選ばれる可能性もあり、枢機卿自身もまた途中経過に一喜一憂する。
そんな老人たちの思惑に巻き込まれるジョヴァンニ。己の意思を通しきれない不甲斐なさ。
その傍に居られずとも重苦しい空気を察するアンジェロ。
ヴァチカンの外で、神のみぞ知るその結末に、もし父が教皇に選出されるなら……「教皇庁をぶっ壊す」と決意するチェーザレ。 -
欲望が渦巻く中でアンジェロが救い。
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いよいよ始まった教皇選。
主人公は蚊帳の外という状況で、
描き込みが益々際立って、緊迫感が凄い。 -
コンクラーベの様子が興味深い。
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怪物っていうか、じゃないと教皇にはなれないんだろうけど、前教皇も穏やかな感じだったし、教皇ってそんなに強欲には感じられないんだけど、逆にそういう人はなれないんじゃない? ここに来て、アンジェロが世話人としてその場にいるというのが効いてる気がするー
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ローマ教皇が亡くなり、コンクラーベが行われる。コンクラーベは教皇選出まで長時間を要することが多く、日本語の「根比べ」がどうしても頭にちらつく。コンクラーベは枢機卿の派閥力学が働くが、派閥と言っても上意下達で一糸乱れず動くものではない。枢機卿は誰でも教皇に選ばれる可能性があり、自分が「教皇あるかも」と思うこともある。
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2年積んでたのをようやく。メディチ家に仕える青年から見たチェーザレ・ボルジアの姿を描く歴史ドラマ第12巻。メディチ家が代替わりしたことで、イタリア半島の勢力図が変わろうとしている中での教皇の死去、そして新しい教皇を選ぶコンクラーベの開始。腹の探り合いのコンクラーベの様子が面白い。
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おもしろいけど、次の巻がいつになるのかわからない。。
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久しぶりの新刊!ある意味、チェーザレという風雲児の活躍はここから。
…あぁでも次はいつになるんだ…コンクラーベ長い…