虚構推理 スリーピング・マーダー (講談社タイガ)

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  • 講談社
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感想 : 61
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065161579

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ3作目
    前と同じくマンガで先に読んでいるので物語の意外性は感じない
    でも、やはり琴子さんだなぁと思えるところは面白い


    ・岩永琴子は高校生だった
    ・六花ふたたび
    ・明日のために
    ・スリーピング・マーダー(前編)
    ・スリーピング・マーダー(後編)
    ・岩永琴子は大学生である



    ・岩永琴子は高校生だった
    琴子さんが高校1年生のときのお話
    ミステリ研究部の部長 天知学と新入生の小林小鳥が部の存続のために琴子さんを入部させようとするが……

    学くんがゲスい
    でも、琴子さんにかかればそんな意図すらも掌の上というね


    「ロウフィールド館の惨劇」
    ユーニス・パーチマンがカヴァデイル一家を殺したのは、読み書きができなかったためである。

    ある意味でミステリのネタバレ厳禁ルールを逆手に取った定番ネタの作品だなぁ
    ま、私は未読なんですけどね


    ・六花ふたたび
    行方知れずの六花さんがどうしているかのエピソード

    自殺者が連続する部屋
    その理由

    居場所を見つかったと見るや、立ち去り際に琴子さんに後の処理を丸投げする六花さん
    強い……


    ・明日のために
    学くん再び、そしてスリーピング・マーダーの前日譚
    学くんの伯父 藤沼耕也が琴子さんがどんな人なのかを聞く
    琴子さんが世間的に如何にアンタッチャブルな存在なのかの説明回

    怪異に関して頼る事は是としても、決して探ったり利用したりしてはいけないという心構えが必要


    ・スリーピング・マーダー
    狐に依頼した殺人の報いがあるという事を孫子に示したいという依頼
    この本のメインのお話

    ------------------
    「二十三年前、私は妖狐と取引し、妻を殺してもらったのだよ」
    妖怪と人間の調停役として怪異事件を解決してきた岩永琴子は、大富豪の老人に告白される。
    彼の依頼は親族に自身が殺人犯であると認めさせること。だが妖狐の力を借りた老人にはアリバイが!
    琴子はいかにして、妖怪の存在を伏せたまま、富豪一族に嘘の真実を推理させるのか!?
    ------------------

    怪異に依頼して成された殺人のため、関係者にはアリバイが成立している状況
    遺産相続の優先権という名目で、その犯人が自分である証明をせよという課題
    その判定役に琴子さんを指名するが、その解決はやはり琴子さんらしいものに……


    ・岩永琴子は大学生である
    スリーピング・マーダーの後日譚
    マンガ未収録のエピソード
    九郎が琴子のことをどう思っているかがわかるので、マンガしか読んでなかった人にも以外な発見がある


    スリーピング・マーダーに関係した一冊となっているけど、六花さんのエピソードを加えて、琴子さんを利用しようとするとどうなるか?という共通点がある

    六花さんは先々まで練っているので琴子さんを利用できる
    学は恋路に関する事だけは自分の望み通りになったが、それ以外ではデメリットの方が大きかった
    そもそも、世間的には琴子さんの事を調べる事すらアンタッチャブル
    でも、怪異の解決の依頼であればむしろ良い結果になる
    ただ、怪異の解決依頼だとしても、自らのシナリオに巻き込もうとすると想定以上の結末が降り掛かってくる

    やはり、琴子さんを安易に利用してはいけないという教訓なのでしょうねぇ


    しかしまぁ、ペイズリー柄の下着というのはどうなんだろ?
    しかもあの琴子さんですしねぇw

    あと、峰打ちのくだり
    六花さんと九郎くんが車と銃弾の違いはあれど天丼構造になってますね

  • 「二十三年前、私は妖狐と取引し、妻を殺してもらったのだよ」そう語る大富豪の老人・音無剛一が遺産相続の優先権をかけて三人の子供達に出した課題は、アリバイのある自分が妻を殺した方法を合理的に説明すること。妖狐の存在を伏せたまま、岩永はどうやって嘘の真実へ彼らを辿り着かせるのか…。合理的虚構で解決したかに見せて、それをさらなる合理性でひっくり返す。そのやり方はお見事と言うしかない。表題作の前後に岩永の過去と現在のエピソードを絡めてくる構成も巧いなと思いました。何だかんだと岩永を思いやる九郎のツンデレ具合が好き。

  • 怪異による事件に対し、合理的な虚構による解決を付けるミステリシリーズ。たしかにミステリには真相が何であったか、ということより、納得できればそれでいい、というところがあるかもしれません。怪異も楽しいとは思うんですけど。
    高校時代の琴子の物語もあって、「事件」でなくても彼女の推理構築力の凄まじさには舌を巻くばかりでした。なるほど、敵に回してはいけない相手だな。でもまあ可愛いところも……ないではないか?
    そしてメインの事件。自身が過去の殺人の犯人であることを親族に知らしめようとする大富豪。実際は妖狐と取引をしたという真相なのだけれど、そのせいで強固なアリバイを得てしまった彼をどのように断罪することができるのか。そして琴子がもたらす結末は、どのようなものになってしまうのか。冷酷なようでもあり、しかしどこまでも理に忠実な琴子のスタンスは、たしかに危うさも感じさせられるものかもしれません。だけどひたすらに強固で一途なその姿勢は力強く、凛々しいものでした。実にカッコいい。けれど、関わり合いたくはないかも(笑)。

  • こじつけるなあ!という相変わらずの感想。結果は決まっているけど上手く違う視点へ持っていきながら結果は同じという話の流れの上手さ。

  • スリーピングマーダー後半の最後の最後虚構を重ねた上での真実が予想外。
    虚構を積み上げて行く説明文は気を抜けない、読み手が虚構に惑わされてしまう。
    琴子と九郎の特殊な相思相愛感が面白い。

  • 琴子の高校生のときや六花さんのその後などしれて良かった。相変わらず納得のできる虚構を作り上げるというお話作りは面白く、自分も考えながら解答を見てなるほどっとなるのも楽しいです。

  • 「二十三年前、私は妖狐と取引し、妻を殺してもらったのだよ」妖怪と人間の調停役として怪異事件を解決してきた岩永琴子は、 大富豪の老人に告白される。彼の依頼は親族に自身が殺人犯であると認めさせること。だが妖狐の力を借りた老人にはアリバイが! 琴子はいかにして、妖怪の存在を伏せたまま、富豪一族に嘘の真実を推理させるのか!? 虚実が反転する衝撃ミステリ最新長編!

  • 「六花ふたたび」に書かれた六花さんの特徴を見る限り 美人らしいけど 拒食症を疑われるくらい細いとなると
    多少 幼く見えても琴子の方がいいんじゃないかと思うのは私が琴子贔屓だからだろうか
    九郎は病んで身がそがれたような女性が好みらしいから仕方ないかもしれないけれど

    六花さんが 琴子に対して 性悪の悪女みたいに言ってたのが 少し胸糞悪かった

    九郎も九郎で六花さんが好きだったのはわかるけど、六花さんが自分の目的のために人まで殺したことがあるのを知ってるのに いまだに六花さんを庇ったりするのが納得いかなかった

    九郎と琴子の関係は好きだし、九郎としては 琴子を大事にしているかもしれないけれど もう少し 態度に出してもいいんじゃないかと思う
    多少 琴子に問題があるとしても いちいち 元カノや初恋の人を持ち出す九郎は理解出来ない

    琴子だけが必要以上に酷評されてるのも 少し可哀想
    と思った
    今までを見る限り 九郎本人も人間の範囲から逸脱しているし 琴子だけが化け物扱いされるのはどことなく腑に落ちない

    この小説は好きだし 今回のスリーピングマーダーも面白かったから二人の関係は 今後に進展に期待したいと思う

    それと 車に当たった六花さんも銃に撃たれた九郎も
    峰打ちだって誤魔化してたところは従兄弟だからなのか似てるのかなぁって思った

    だけど 「岩永琴子は高校生」では九郎と付き合う前の琴子が・・・
    九郎の情報を調べながら 虎視眈々と別れを待つ
    確かに粘着質と言えなくもないかもしれないけど
    やっぱり可愛いです
    「岩永琴子は大学生」では琴子は出てきていませんでしたが 九郎の琴子への思いが知れてよかったです

    九郎は紗季さんみたいな普通の人と付き合ってた方が穏やかに暮らせたんじゃないかと周りは思ってて琴子自身も九郎は普通に暮らせると思ってるみたいですが、
    琴子が言ってた通り 常に破綻を迎える不安や語れない秘密を抱えて生きていくのは心を蝕むだろうし
    身体が普通の人間と違う以上 子供や子孫にどう影響がでるか分からない九郎より

    私としては思考や性格に多少 難があっても
    身体が生身の人間である琴子の方が 普通に結婚できたりしたんじゃないかと思う

    あとは大学生、高校生と来たら 九郎と出会う前の琴子も
    見たいです!!






  • スリーピング・マーダーにあるように、岩永琴子は秩序を乱すものにたいして苛烈に公平に対応するのだ。

  • 鋼人七瀬以前と以後の岩永と九郎の様子が微笑ましくかった。六花が何を思って行動したのか、次にどんな行動に出るのか楽しみである。

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著者プロフィール

【城平京(しろだいら・きょう)】
奈良県出身。代表作に漫画原作『絶園のテンペスト』『スパイラル~推理の絆~』、小説『虚構推理 』『名探偵に薔薇を』『雨の日も神様と相撲を』など。

「2021年 『虚構推理(15)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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