西洋占星術史 科学と魔術のあいだ (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065171325

作品紹介・あらすじ

「○○座生まれのあなたは……」などと始まる「星占い」――雑誌やテレビはもちろん、ネット上でも頻繁に見かけるおなじみの存在ですが、「○○座生まれ」というのはどういうことか、ちゃんと説明できる人は実はそう多くないでしょう。ましてや、星占いはいつ誕生したのか、はじめから今見るようなものだったのか、といった問いに答えられる人となると、もっと少ないに違いありません。
本書は、科学や科学技術の歴史に詳しい専門家が誰にでも分かるように、そして面白く読めるように占星術の歴史をコンパクトにまとめた1冊です。
占星術を生み出したのは、現在のバクダット南方に位置するバビロニアで紀元前9世紀頃から勢力を伸ばしたカルデア人でした。天文学に長けていたカルデア人は、日蝕や月蝕、彗星の出現などを地上に起きることの前兆として捉え、将来訪れる災厄を予言する技法として、占星術を開発したのです。この技法が、のちの紀元前4世紀に登場したアレキサンダー大王がバビロニアを征服したことをきっかけにしてギリシア世界に流入し、さらに古代ローマに継承されていくのが「西洋占星術」の発展につながっていきます。当初はもっぱら天下国家の運命を対象にしていた占星術は、やがて個人の運命を占うようになりました。個人といっても、はじめは皇帝や王だけがその恩恵にこうむることができましたが、時代が進むにつれて、一般の人たちも自分の運命を知るために占星術にアクセスするようになったのです。
当代随一の占星術師である鏡リュウジ氏が解説を書き下ろしたこの文庫版を手にすれば、何気なく触れてきた「星占い」も、ぐっと深みを帯びて、まったく違う魅力的なものに見えてくること間違いなし、です!

[本書の内容]
1 カルデアの知恵
2 ギリシャ人の科学
3 ホロスコープの技術
4 「占星社会」ローマ
5 ルネサンスの大論争
6 近代科学からの脱落
7 現代を生きる占星術
あとがき
解 説  鏡リュウジ

感想・レビュー・書評

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  • ・人類は未開の時代から星占いに関心をよせていたと思われるかもしれないが、実際にはそうではない。地上におこる生物現象のほうが、天よりもはるかに強烈な印象をあたえる。他の動物との生存競争にかまけ、野獣に襲われはしないかとつねに警戒している心には、天を見る余裕はないのである。人類学者フレーザーによれば、未開人の説話には天への関心が出てこないという。

  • 148-N
    文庫(小説・エッセイ以外)

  • 占星術を科学として捉えてその歴史を描く、という方向性が面白い。特別な才能がなくても、法則性に則り占うことができる。つまり、科学の再現性である、と。体系化した占いは科学?

  • 今ではもうすっかりスピリチュアルの領域になってしまっているが、かつてら占星術もれっきとした学問だったことがよくわかった。歴史が体系的に書かれており面白い。

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50165672

  • 友人からいただいた一冊。
    幼いころ、あれは学研だつただらうか。子ども向けに書かれた星座と神話の本を何度も読んだ。そこには、黄道12宮の各星座のギリシア神話、各天体の神話的性質、ケプラーの伝記、キョクアジサシの星座をもとに渡る鳥の性質が書かれていたことを今でも覚えてゐる。ギリシア神話に興味をもつたのもそこからだと思ふ。
    宇宙を考へることは好きだ。そこに始まりも終りもなく、ただ溶けだした自分と呼ばれた存在があるだけだからだ。星座といふ点に過ぎない集まりが繰り返し規則的に訪れることや、未知なる現象に対するひとの端的な理解の仕方であると感じた。
    起こることだけが起こる。真の意味で未知といふことはひとは覚知できない。いや、覚知できてしまつたら未知ではない。星の巡りにしろ、この地球の出来事にしろ在ることしかできない。それらが関係ないといへばないし、あるといへばある。在ることだけが起きてゐる。
    わたしといふ存在が、真に存在しない何かによつて裏打ちされてゐるといふ点では、遥か彼方の星によつてこの魂の在り方が定められてゐるのだと考へ至らざるを得ない。
    星占いはなぜ、この「わたし」がその星の巡りとなつてゐるのかといふ謎に答えてはくれない。星占いが提供するのは、さういふ解釈の仕方である。その究極の地点にある謎に対して、ひとは物語の形でしか表現ができなかつたのだ。おそらくプトレマイオスもその辺のことを感じて苦し紛れに解釈を施したのだと思ふ。

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著者プロフィール

1928-2014。科学史家。神奈川大学名誉教授。ハーヴァード大学Ph.D(科学史)。著書に『歴史としての学問』『帝国大学の誕生』『近世日本の科学思想』、訳書にクーン『科学革命の構造』など多数。

「2023年 『数学の文化史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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