- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065197158
作品紹介・あらすじ
天下四国は、天が王を定める東西南北の四つの国。元は南方徐国の王だった放浪者の飛牙は、最北の駕国へ足を踏み入れた。ところが鎖国状態を貫く駕では宰相の汀柳簡が権勢を誇っており、国王は傀儡と化し、国の守り手である天令・思思は鎖に繋がれていた。飛牙の相棒で落ちこぼれの天令・那兪は、同胞を救うために王城へ忍び込む。一方、宰相に目をつけられた飛牙も国難に巻き込まれ……。シリーズ第四弾!
感想・レビュー・書評
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「飛牙」を知らなかった時の那愈君に戻っちゃった。寂しいな。それでも飛牙は行く。
駕国へ、怪しいと知りながら裏雲を追って。厳しい冬の国、それだけでも人が暮らす困難さが増す。始祖王の気持ちはわからなくはないけど、周りの人の力を信じようよ。きっと何とかしていくよ皆で。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
天下四国シリーズ第4作。今回の舞台は氷に閉ざされた北の国、駕である。
物語は、蒼波が駕の新王として即位するところから始まる。駕の王は代々短命で、蒼波も16歳で前王の父を亡くしたところだ。もっとも、王とは名ばかりで、政治の実権は長く宰相の汀柳簡に握られている。蒼波は己の無力さを感じながら、即位の儀に臨もうとしていた。
王の即位に際しては、天令が天より来たりて新王に玉を授けることになっている。しかしこの時、天令は宰相によってその場に引き出されていた。美少女の姿におよそ不釣り合いな、奇妙な首輪を嵌められた姿で。この国では天令もまた、宰相の虜囚なのだった。
それから10年が過ぎた冬。
駕の王宮に忍び込んだ裏雲は、人形のように世話をされる蒼波を目撃してしまう。新王は、文字通りの傀儡に成り果てていたのだった。
天令を捕らえるほどの力を持つ宰相・柳簡だが、彼もまた操られるだけの存在だった。宰相を操っているのは、300年前に天が国を4つに分けた際、駕国を託された始祖王・汀海鳴その人である。
およそ300年前、若き王海鳴が27歳で病に倒れた時、息子の王太子はわずか4歳だった。天下四国のうち、駕以外の3国は順調に基盤を固めつつある。しかし厳寒の駕は、未だ復興ならぬまま。このままでは死ぬに死ねぬ。思いあまった海鳴は、禁断の呪術、転生外法を用いて叔父の体を乗っ取り、国を治めたのだった。
情勢が落ち着いたら身を引こう、落ち着きさえすれば……。
過保護が行き過ぎた結果、手を引くタイミングを失った海鳴は、身体を乗り換えながら統治を続けた。しかし、国は一向に豊かにならない。業を煮やした海鳴は、ついに他の3国の侵略を企てたのだった。
老宰相の中の人が、まさかの始祖王。古来最強の呪術使いであり、肉体を乗り換えていくので、普通の人間では太刀打ちできない。
最強の敵に対抗するため、飛牙は人たらしの才を如何なく発揮。今回はなんと、地上への不干渉という大原則を貫いているはずの天の協力を取り付けようとする。
いやいやいや、天はたらしこまれてはいかんでしょう。
このシリーズ、ここまでは期待以上の面白さだと感じているが、今回はやや説得力に欠けるので☆3つ。
特に、前作で天に連れ戻された那兪が大活躍しているが、彼にはもっと葛藤があっていいはずだ。
飛牙の交渉(他力本願とはけしからん)が実って天下四国の危機は回避されたが、旅はまだ終わらない。
そもそも、飛牙は世直しがしたかったわけではなく、裏雲と那兪を救う方法を探しているだけなのだから。
というわけで、次巻に期待! -
地上に愛情を感じてしまった落ちこぼれ天令と元王様は極寒の地を救えるのか?
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他の方のレビューで散々言われていたことだけど、まあBLっぽいというか、親友と妻で親友のが上でも悪くないけども、そんな感じのハッピーエンドっていうのはあの……と複雑な気持ちになる。雪紅草とかいう名前だけ出てきた植物に中華らしさゼロじゃないかと憤慨したものの、よくよく考えたら中華ファンタジーとは言われてないのかな……もうなんでも良いです