- Amazon.co.jp ・本 (170ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065201442
感想・レビュー・書評
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コロナ禍でいろいろな記事を読んでいる時に、とても興味深いインタビューを読んだ。
作家・辻 仁成さんと、歌舞伎町ホストの手塚マキさん。
「夜の街」と「歌舞伎町」はコロナのエピセンターとして、あちこちから叩かれていた場所。
でも実際のところはどうなんだろうととても気になっていて、
この記事には、現在の歌舞伎町がやっているさまざまな対策や取り組みのことが語られていた。
帯ニュースがどれだけイメージで夜の街を語り、
世間の偏見におもねるような方向で報道しているのかとげんなりする。
その中で、この本の存在を知って、がぜん興味が。
コロナの感染が始まるより前から、手塚氏はホストを集めて歌会をやっていたらしい。
(その前に、掃除ボランティアという活動もあるとか)
長い文章は書けなくても三十一文字程度なら表現できる。
もともと親和性のある和歌と色恋。
詠み手のキャラクターが垣間見える多様な歌が並んでいて面白かった。
ビッグになろう系のちょっと古臭いのがまだいるんだなあー、とか
客商売ながら本気の部分も生まれてしまうだなーとか、
今の時代の具体的な言葉と古来から続く三十一文字があわさる面白さもあり、
抒情的で普遍的な印象を与える、うまい歌を作る人もいる。
私が好きで読んでいる現代短歌の中にはあまり出てこない、
男女の駆け引きの主題がむしろ新鮮。
疑似恋愛的な場で働いて、相手の気持ちを汲み、言葉を選ぶホストならではの歌は
確かに万葉集や平安時代にも直結しているような気がする。
ホストなら歌くらい詠まないと、という世の中になったら本当に素敵だ。
巻末の写真で、この歌を詠んだのはこの人か、とわかるのも面白かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
成り上がり精神に溢れた歌、キラキラした陽な雰囲気が伝わる歌と対比するように、切なさや気弱さを吐露した陰の歌も挟み込まれます。どちらのタイプの歌も、しらけた感じがないことに好感が持てます。真面目に騒いで、真面目に落ち込むみたいな。
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世界が未知すぎて、わからなかった。
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教えてもらって、初めての短歌に触れた。
短歌の懐の広さを感じつつ、ひきこもごもの歌を観る。
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宮藤官九郎オススメの本!
ホスト短歌の原点は、元祖チャラ男・光源氏です 。
ん? 確かに。「いいね!光源氏くん」の頭中将もホストクラブでバイトしてたもんね。
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否応なしに日々突きつけられる人間としての価値。そんなリアルをホスト達は生きている。
そして、愛について考えている。
ホストはフラれる仕事です。
今を忘れないことがホストの仕事です。
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それなら姫達もきれいにフッてやりましょう。
別れはとびきり素敵な「返歌」で。
ホスト達の胸を熱く焦がしたいね。
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ホスト文化を知りたくなる入口というか。
でも刹那的過ぎて苦しいかんじだな。
ホスト人生もホスト恋愛も。 -
いまいち情景が想像できず、わたしには難易度が高かった。
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出オチ感があるタイトルだったけど、中身はマジメに短歌だった。ホストならではの心の機微が詰まっていて、妙に生々しくて良い。光源氏は元祖チャラ男という解説は、言い得て妙だと思った。