問題発見力を鍛える (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 49
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065208908

作品紹介・あらすじ

新型コロナ問題が象徴するような、何が起こるかわからないVUCAの時代を生きる人間に必要なのは、問題を発見する力。問題解決はもはやAIにまかせ、問題発見の思考回路を獲得しなければならない。
自分の頭で考えて、課題を見つけるにはどうするか?
「具体と抽象」「アナロジー思考」「メタ思考」などを平易に解説してきたコンサルタントによる、これからの時代の思考法の基本レッスン。

●「なぜ」をくりかえすことで次元が上がり問題発見になる
●具体的に教えてと言われたら抽象的に考えてみよう
●常識を疑え、多数派を疑え、経験はむしろ邪魔
●「常識にとらわれるな」という人が常識を覆せない
●「変える」ことに価値がある
●アイデアは「遠く」からパクってこよう
●コミュニケーション上の問題は「具体と抽象」のギャップから生まれる
●知識力+創造力で将来の問題を発見せよ
●認知の歪みがあることを常に意識せよ
●自分の頭で考えるとは「具体と抽象」を往復すること
●すべてのものを疑ってかかることを考える
●「こうなればもっとよくなるのに」と考える習慣をつける
●とにかく「なぜ?」と問い続けよう。「Why」は何度も繰り返せる
●「偏在」「ギャップ」を見つけるのが問題発見のコツ
●できるだけ「遠く」から、できるだけ「意外な領域」からパクれ
●それは具体なのか、抽象なのかという問いを常に持つ
●そもそも問題とは、ギャップであり歪みである
●「そんなの常識だ」と言う前にその理由を考える
●自分が見ている風景と他人が見ている風景のギャップを見る
●物事を一つ上の視点から、自分自身を上空から見てみよう
●見えない抽象観念に上がっていくのが「自分の頭で考える」ということ
●問題発見力は「鍛える」より「必要以上に殺さない」ほうが重要
●どんな子供も問題を見つける思考回路を(最初は)持っている
●会議中スマホを見る人、時間を守らない人を怒ってはいけない
●文句ばかり言っている人は意外に貴重
●「何か考えて提案して」と上司や顧客に言われたら上位目的を考える
●新しいビジネスの多くは「偏りの解決」がヒントとなる

など、VUCAの時代に人間力を高める考え方を指南する。

目次より
第1章  なぜ問題発見力が問われる時代になったのか
第2章   問題発見は常識を疑うことから始まる
第3章 問題発見とは新しい「変数」を考えること
第4章 「ギャップ」に問題発見のヒントあり
第5章 「具体と抽象」を駆使して自分の頭で考える

感想・レビュー・書評

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  • ・「問題発見力」の概念や、昨今重要視される理由、「問題解決力」との対比

    ・組織におけるボトルネックは「問題解決力」ではなく「問題発見力」になりつつある

    ・「問題発見力」があるのは、非常識・型にはまらない・問題児なタイプの人。「問題解決力」とは相反する特性。


    女性活躍が進んでいる企業はそうでない企業より業績好調、という海外の調査結果があるそうですが、本書の「問題発見力」からその理由を説明できそうだなと思いました。

    企業内での女性というのは多数派である男性と比較で相対的に「非常識で型破りで問題児」でしょうから、女性が多い=問題発見力が高い=業績好調という理屈が通りそうじゃないですか。

    アラフォーワーママの私、大学を卒業してから20年程、男性とほとんど同じ仕事をしてきましたが、現代はやっぱりまだ「男性の、男性による、男性のための社会(会社)」であるなぁと肩身の狭い思いがあります。
    狭くする必要なんてないんでしょうけど「お邪魔しててごめんなさいね」という気持ちが未だに残っている私です。

    けれど本書を読んで「女性」という特性にこういう活用方法があるのだと知ることができ、会社(社会)に居場所がある気がして、嬉しく思いました。

  • Web上の投稿記事をまとめ直したもの。
    あっという間に読めて、中身は一読して理解出来るので、細谷さんの著作が好きな人には復習として丁度良い。

    P54
    「悪気のない」ことは短期的かつ単発的には許すことができても、長期的にはこれを放置することは根本的な問題を放置することになる。

    P55
    非効率な会議をやっていると傍から見えるひとは、本人は大まじめに職務を全うしているだけなのです。

  • 問題を解決する能力よりも、問題を発見する能力が今の時代では求められている。
    頭の使い方次第で、問題発見力を磨き上げることができる。その指南書。
    綺麗にまとまっているので、わかった気分になるが、こういう本は何度か繰り返し読んだ方が身につくのだと思う。しばらく、時間を置いて、再読したい一冊。

  • 著者の他の本と書いてることほとんど同じだけど、ものすごく意味のある本だった

  • 問題発見力とは、問題と言われるもの自体や常識と言われるものを「なぜ」と問い、背景や経緯から見直す考え方のできることである。先の不透明さが増し、変化が激しい世の中において、大切な力だと思う。常に、今や自分の考え方を当たり前と思わず、静かに、自省の念を持つことも同じことだと思う。

  • 「常識を疑え」とよく聞きますが、正直ピンときていませんでした。
    しかし、この本の中で、「常識」という言葉は「自分では正しいと以前から信じているが、実はその理由を説明できない」状況において発せられる言葉、とあり「なるほど!」と腹落ちしました。
    また、問題を発見するには「具体と抽象」という座標軸を頭に入れた上で、それは具体なのか抽象なのかという問いを常に持つことでそのギャップを見つけることが重要だと知り、今後に活かしていきたいです。

  • 先生の本はいくつか読ませていただき、とても勉強になりましたが、この本はそれプラスαが少し少ないように感じられました。

  • 935

    細谷 功
    ほそやいさお
    1964年、神奈川県生まれ。東京大学工学部卒業後、東芝でエンジニアとして勤務後、アーンスト&ヤング・コンサルティング(クニエの前身)に入社、ビジネスコンサルタントの世界へ。2009年よりクニエのマネージングディレクター、2012年より同社コンサルティングフェロー。現在は問題解決や思考に関する講演やセミナーを国内外の大学や企業などに対して実施している。 『地頭力を鍛える』(東洋経済新報社)、『具体と抽象』(dZERO)、『メタ思考トレーニング』(PHPビジネス新書)などベストセラー多数。

    同様の構図をミクロで考えれば、組織の中の上司と部下の関係も変化してきます。 単に「言われたことを忠実にこなす」のではなく、上司のニーズを理解した上で「頼まれてもいないこと」(でもそのニーズに合ったこと)、そして「先進事例(=誰かが既 にやったこと)から学ぶ」のではなく、「誰もやっていないことを考える」ことを能動的に提案していく姿勢が部下には求められるのです。

    問題解決から問題発見に頭を切り替えるにはどうすれば良いのか?まず考えることは、全てのものを疑ってかかるということです。

    たとえば「試験勉強型の秀才」ではこのような傾向が見られます。試験問題というのは、基本的に「そもそも解くべき問題か?」に関して疑う必要がないために、とにかく問題が与えられたらそれを解きにいくという姿勢が求められるからです。この場合は問題そのものを疑うことは全く必要なく、むしろ「わき日もふらずに」問題解決に取り組む必要があるのです。

    ・4Wは「個別事象」が対象で「Why」は「関係性」が対象である 4Wが尋ねる対象は「もの」「時間」「人物」「場所」といったものですが、Whyが尋ねているのは「手段と日的の関係」「原因と結果の関係」といった、2つ以上の事象の関係なのです。

    ・4Wは「点」、「Why」は「線」前のポイントは、4Wが一つ一つの点であり、「Why」はそれらをつなぐ線であるという違いです。つまりこれらの間には0次元と1次元という、「次元の違い」があるのです。

    ・4Wは繰り返せないが「Why」は繰り返せる 「『なぜ?』を5回繰り返せ」というのは製造業の現場等で、トラブルの真因を追求する際に唱えられてきたことです。まさに表面上の問題だけではなく「真の問題を発 見する」ために「なぜ?」が活用されてきた実例と言えます。 この場合は結果に対する原因という関係を「さらにその原因は?」「さらにその原因は?」と問いかけることで「根っこ(真の問題)から根絶する」ことにつなげています。

    製品やサービスに関しての差の解消を国や地域の間でするのがタイムマシン経営だとすれば、これをさまざまなアイデアという対象で行うのがアナロジー思考です。アナロジーを簡単に表現すれば、「遠くから借りてくる」ことを意味します。 ここでいう遠くとは、見全く違うように思えるような無関係の領域、同じ業界内ではなく全く関係なさそうな業界、ビジネスのアイデアであれば同じビジネスの中で はなく、歴史上の出来事や遊びといったものを意味します。

    ここからわかるように、アナロジー思考には2つ考慮すべきことがあり、一つ日はさまざまな世界に関心をもち、特に自分から遠い世界の知識を普段から得ておくことです。そしてそれを活用するためにもう一つ必要なのが、それら「一見まったく異なるもの」を抽象度の高い共通点でつなぐ抽象化の力です。

    ただし、そもそも本を読むという行為はたぶんに能動的であることがほとんどで 「本を読め」と言う人は世に多いですが、「言われたから読む」人は実は少ないのではないでしょうか。「〇〇さんに言われて本を読んだ」という人はたくさんいます が、この場合でも、そもそも当人に能動的な読書の習慣がある場合に次に読む本の候補として「誰かに言われた(薦められた)」本を読むだけであって、そもそも読書の習慣がない人は他人に何か本を薦められても読むことすらないでしょう。

  • 問題解決と問題発見はそもそもの考え方が違う。問題解決はHow(どのように)するかを考え、問題発見はWhy(なぜ?本当にそれで良いのか?)を考えることになる。また問題解決はマイナス状態から現状に改善し、問題発見は現状からプラスの状態に持っていくこと。

  • [出典]
    「解像度を上げる」 馬田隆明 P.365

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著者プロフィール

細谷功(ほそや・いさお):1964年生まれ。ビジネスコンサルタント、著述家。問題発見・解決や思考力に関する講演や研修を国内外で実施。『仕事に生かす地頭力』(ちくま文庫)、『地頭力を鍛える』『アナロジー思考』(共に東洋経済新報社)、『具体と抽象』(dZERO)、『思考力の地図』(KADOKAWA)等著書多数。

「2023年 『やわらかい頭の作り方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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