対岸の家事 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065237120

感想・レビュー・書評

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  • みんなそれぞれしんどくて余裕がなくて、溺れそうになっていることにも気づいていなくて。
    人知れずもがき苦しんでいる人達に、詩穂にとっての坂上さんや、中谷や玲子にとっての詩穂のような、助け舟があればいいな。無理ゲーな社会が変わっていったらいい。
    詩穂と虎朗の関係性が、ギスギスしていなくて好き。

  • 伝えたいメッセージとしては伝わるものはあるし、できるだけ多様な立場からの視点をみせようという努力もわかるんだけどね…。なんというか、その割には主婦はこう、官僚の男はこう、ワーママはこうっていう凄くステレオタイプ的なキャラが多かったな、ていうのがちょっと引っかかっちゃった。

  • 結婚も出産も経験はないけど、なんとなく共感と言うか、物語に入りこんでしまった。
    世の中はまだまだ子持ちの人達に優しくないなと。
    働きながら子育てする人も、子育てに専念する人も生きづらいと思ってしまう。

    いつか自分がこの物語の登場人物と同じ立場になったとき、くじけそうになったりしたら紫陽花を探そうと思った。

  • 家族の為に「家事をすること」を仕事に選んだ詩穂。娘と二人だけの、繰り返される毎日。幸せなはずなのに自分の選択が正しかったのか迷う彼女の街には、性別や立場が違っても様々な現実に苦しむ人たちがいた。誰にも頼れず、限界を迎える彼らに、詩穂は優しく寄り添い、自分にできることを考え始める…。

  • 共感する部分がたくさんあった!
    一日中、意思の疎通が出来ない(まだ話すことが出来ない)子供と二人っきりの生活は…幸せなはずなのにあまりの辛さと孤独感で押し潰されそうになって毎日泣いてしまっていたなぁと過去の出来事を思い出しながら読み進めていました。

    苦しんでいる人達に優しく寄り添えられる詩穂を見習いたいとそう思えました❁⃘*.゚

  • それぞれの家庭の辛さ、家族との関わり方に共感するところがあった。隣の芝は青く見えるものだと思う。他人からはうまくいってきらきらしているように見えても、本人には全てを投げ出したくなるときがあるのだと思う。切れてしまう前に休憩すること、1人で気持ちをリセットすることが大事だと改めて思った。
    わたし自身結婚し、家事をするようになってもやもやすることが増えた。仕事をしながらの家事は辛く、母の偉大さに気づけた。しかしこの本を読んで、辛いならば手抜きをしてもいいのだと、ゆっくりひとつずつすることや、自分に合った方法に変えていけばいいのだと思えた。
    「対岸」という題に面白さを感じた。助けてくれる人は近くにいるはず。橋を架ける勇気が必要なのだ。

  • 図書館から借りた本
    初めましての作家さんです
    ブクログで評価が高かったので借りてみました
    これは…
    習慣的に家事をやってる人なら誰でも共感する部分はあると思うなー
    私は専業主婦の詩穂に共感しまくり!

    専業主婦の詩穂、ワーキングマザーの礼子、育児休暇中のイクメン中谷
    皆んな立場は違うけど、小さな子供を抱えながらの家事に溺れそうになっている
    専業主婦を馬鹿にしていた礼子や中谷も真っ直ぐな詩穂と関わるうちに次第に家事や家族に対する考えが変化していく

    私が子育てしてた頃はまだ専業主婦も多かった
    私もそんな一人で地元からは離れた知り合いのいない土地での子育ては孤独で社会から取り残されたような気持ちにもなりました
    子供と二人、夫が帰ってくるまで誰とも話さなかったなんてことが毎日のように続いてた
    今みたいにSNSで繋がることもなかったし
    子供は可愛いけど、それだけじゃすまされないものがあったなー
    子供を公園に連れて行けるようになってからはママ友ができ、愚痴言ったり悩みを打ち明けたり…
    夫よりよっぽど頼りになりました笑
    作中に『人が作ったご飯はなんでこんなに美味しいんだろう』という表現があり、激しく共感
    ウチでは誰もご飯を作ってくれないので、実家に帰って母が作るご飯が美味しくて美味しくて…
    家事は女性がやるもの!という考え方は今はもうあまりないだろうし、先日入籍した息子もそんな考え方は全くしてないから時代は変わったんだなーとは思う
    けど、日本が作った男性は外で働き、女性は家庭を守るという体制が変わり始めてからまだ日も浅い
    まだまだ子育てと家事の両立は厳しいものがあるなーと思います
    子供を健やかに育てることができる環境がもっと整うことを切に願います

  • 生きていく上で人と関わっていくということは大切だと改めて感じた。
    私には子供もいないし、家事は親任せ。なのに仕事をして、家事もこなす玲子さんが眩しくてならない。中谷は、ほんとにヤなヤツだけど根はいい人なのよね(笑)あ、私は決してお近づきにはなりたくないけど。。。
    詩穂はなんだかんだと幸せだ。でもそれは、自分がちゃんと頑張った結果なんだよな。。
    虎朗目線の物語がどこにつながるのか?随分行ったり来たりと読み返したら、なんと最初だった!(笑)
    前向きに生きなきゃ!って思わされた。

  • 面白かった!
    子育てが大変だった時を思い出しました。
    ママ友ができず、子育てに行き詰まっていた詩穂が、真っ直ぐな心のままでパパ友や隣のワーキングマザー、坂上さんの娘さんたちと縁ができてくるのが感動で、読者としても嬉しかったです。

  • 『誰かの作ってくれたご飯ってなんであんなに美味しいんだろう』
    このフレーズにグッと心を鷲掴みにされました。
    終わりなき家事について。
    いろんな立場の人から見た家事の世界を見ることができて、共感も感じることも多かった。
    確かに、家事って感謝されることがあまりなくて、エンドレスで、誰にでも片手間にできることと思われているような気がする。

    家事育児に忙殺されるなか(仕事も)で、孤独感や自分の選択が正しいのか迷うことは誰にでもあると思う。
    そんなとき、作中の坂上さんみたいに話をきいてくれる人が一人でも身近にいてくれたら…気持ちが軽くなるし、どんなに心強いだろう。

    世間知らずな詩穂だけど、人の苦しみや孤独に気づけるし、困っている人を放っておけない面倒見のよさや優しさがある。
    最初は詩穂に批判的だった礼子さんや中谷さんの変わりように、思わずニッコリ♪当事者になってみないと見えないものがある。
    読んでみて思うのは、
    「見えないだけで、どんな人も大変で頑張ってることに違いはない!」ということ。

    『手を抜いたっていい。休んだっていい』

    ホントそう思う。腕は2本しかないし1日は24時間しかない。超人じゃないんだから全部完璧にとかムリな話ですよね…。
    共感の嵐で元気をもらえました♪


    『きっと大丈夫。悪いようにはなりません。いつか笑って話せます。あなたの寂しかった日々が、誰かを助ける日が来ますから』

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著者プロフィール

東京都中野区生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。2009年、『マタタビ潔子の猫魂』(「ゴボウ潔子の猫魂」を改題)でメディアファクトリーが主催する第4回ダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞し、作家デビュー。13年、『駅物語』が大ヒットに。15年、『海に降る』が連続ドラマ化された。現代の働く女性、子育て中の女性たちの支持をうける。主な作品に『賢者の石、売ります』『超聴覚者 七川小春 真実への潜入』『真壁家の相続』『わたし、定時で帰ります。』など。

「2022年 『くらやみガールズトーク』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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