- Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065237144
作品紹介・あらすじ
うまくて、泣ける。
子ども食堂を取り巻くひとたちの生きづらさと希望を描く、老若男女群像劇。
「この本は私にホッとする明かりを灯してくれました。子ども食堂は人の数だけ人生があり、その人生がつながっていく場所。分断を迫られている今、ぜひこの本を読んでもらいたいです。私はもう続編を期待しています」ーーはるな愛
午後5時開店、午後8時閉店。
亡き夫との思い出をきっかけに松井波子が開いた「クロード子ども食堂」。
スタッフは、夫とうまくいかない近所の主婦や、就活のアピール目的の大学生。
お客さんは、デートに向かうお母さんに置いていかれる小学生や、
娘と絶縁し孤独に暮らすおじいさん。
みんないろいろあるけれど、あたたかいごはんを食べれば、きっと元気になれるはず。
やさしくって、おいしくって、心にしみる。
子どもも大人もお年寄りも、みんなまとめていらっしゃい。
感想・レビュー・書評
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こども食堂が舞台と言うことで選んだ本。
よかった。。
いろいろな人が絡み合う。
まず行動を起こすことで、物事が動いていく。
そして最後。
そうくるのか。。
前向きに生きることを教えてくれる、良い本だった。
こども食堂だからもっと暗い話も多いかと思っていたけれど、読後感もよくって良い小説でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
とてもよいタイトルだと思う。
「とにもかくにもごはん」。そのとおりだな、と思う。
ごはんを食べられれば、たいていのことはうまくいく。
子ども食堂を舞台にした群像劇。
登場人物同士のふれあいにうるっとくる。
「子ども食堂」とは、地域住民や自治体が主体となり、無料または低価格帯で子どもたちに食事を提供するコミュニティの場のこと。
食事が格安で食べられる、というだけでなく、子ども同士、親同士のコミュニケーションが取れる、アットホームな雰囲気で誰かと食事ができるなどと言った利点がある。
コロナで黙食が求められているけど、誰かと話をしながら食事をすることって、特に成長期のこどもには人間形成のために、とても大切なことなのではないか。
僕みたいな呑んべいのノミニケーションの何千倍も。
日本は子どもの相対貧困率が高く、6人に1人が貧困状態ともいう。貧困状態になくても団らんの余裕がない家庭は多いだろう。
子ども食堂は潜在的なニーズが高いと思う。
かと言って、行政で(税金かけて)運営するものではない気がするし、ボランティアで継続するのはとても大変。
零細な子ども食堂のために寄付を効率的に集めて使う、社会的な仕組みが必要ですね。 -
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1.感想
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小野寺さんの作品10作目でした。
最近、小説で目にする機会が増えた子ども食堂のお話でした。
子ども食堂自体は、なんとも言えない気持ちになりますが、、、ご飯を提供する側の人たちは、すごい、と感じます。私自身は、毎日の食事を大切にしなければいけないのと、親としてしっかりと収入を得なければならないということを考えます。
作品は、「ひと」や「まち」の雰囲気を感じさせるものがありました。人との繋がりの大切さを感じさせられます。登場人物は少ないですが、それぞれの登場人物に惹かれる要素があって、物語の世界に、とても引き寄せられていく感じがあります。
子ども食堂の1日を中心として、物語は淡々と進んでいきますが、この感じがとても好きです。
淡々とした中でも、いろいろな感情が引き出されて、最後には、前を向いて、全力を出していこうという気持ちにさせられます。
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2.あらすじ
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夫を亡くしたことを機に、子ども食堂を営業することになった松井波子。
子ども食堂を運営するボランティアスタッフと、お店にやってくる子どもや、その親たち、そして、その周りにいる人たちが、それぞれの想いと向き合い、今を進んでいく。
やさしさ、あふれる物語です!!
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3.主な登場人物
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松井波子 44歳
松井隆大 波子夫、7年前40歳で亡くなった
松井航大 息子
石上久恵 59歳
木戸凪穂 なぎほ、21歳、大学生
白岩鈴彦 凪穂と同じ大学、同学年
辻口多衣 たい、38歳
三谷海勇 小4、やんちゃ
広橋冬真 小3、おとなしい
水野賢翔 小1
森下牧斗 小3、9歳
森下貴紗 28歳
赤間修司
岡田千亜 小4
岡田友興 父、妻とは離婚
芹 せり、鈴彦の彼女
石上清敏 久恵の夫
宮本良作
理津 妻、54歳で亡くなる
紀緒 きお、娘、40歳
岡田駿造 紀緒の夫
岡田千弥 娘、小5 -
こども食堂のある1日を、登場人物達が時間経過とともに描き進められる短編集。
家庭不和となっていて、夫が公園でビールを飲んでいると良く出会う子供。この子供を自宅に呼んで食事を食べさせたかった、との言葉で夫婦仲が多少改善。この後、夫が交通事故で亡くなってしまう。夫の遺言のような言葉でこども食堂を開いてしまう妻の波子さん。決めてから、場所や人の確保に邁進する波子さん。
ボランティアで手助けする人々の事情や、こども食堂の利用者達の家族事情などが次々と出てくる。
周辺を巻き込みながら、それでいて淡々と進めて行く波子さんを、作者の小野寺さんらしい筆致で描いて行く。
最後の章も劇的な出会いに繋げられていて、本当に心温まる内容だった。 -
子ども食堂にいる
いろいろな人の物語が綴られた連作短編
1日の時間はそのまま流れていて
視点だけが変わって話は進んでいくので
それぞれの視点から見ると
感じ方が違うのがなかなか面白い
子ども食堂を始めた波子さんが
とても好き
話し方とか話の持ってきかたが
とても自然で素敵だった
子ども食堂を手伝ってる人も
その家族も、訪れる人も
いろんな事情を抱えていて
話が進むと少しだけ前に進んでいる
その感じが読んでいて清々しかった
ラストは胸があつくなりました(^^) -
しみじみ感じた一冊。
子ども食堂を舞台に彩られる物語。
自分のために今、誰かが料理をしてくれた…この温かさ、大切さをしみじみ感じた。
出来立ての温かさだけじゃない、気持ちの温かさが愛情という栄養になって老若男女誰もの心に行き渡るんだよね。
生きるとは食べること。
食べることが身体はもちろん心をもつくる。
ここで温かさをいただいた子はちゃんと未来の自分への栄養をいただいて、羽ばたいていくに違いない。
何かの折にこの温かさを思い出すに違いない。
まるで一輪の花がパッと咲いたようなラストに思わず笑顔と涙こぼれた。 -
食べもののイラストにつられて読みました。
読後の今なら分かります‼あれはお豆腐ハンバーグです!
美味しそうだったなぁ、私も食べたい(*´﹃`*)
「クロードこども食堂」の、とある1日が舞台。
14時〜20時までの時間軸なのに、この話のボリュームになるのは凄い。色んな人が出てきて、その人それぞれの家族も関わって出てくるから頭の中で覚えられる結構ギリギリでした。ドビュッシーのピアノ曲「レントより遅く」を聞く場面がありますが、こちらも後で楽曲検索したら、穏やかな雰囲気で…総じて優しい気持ちになりました。
2024.1 -
子ども食堂を舞台に登場人物それぞれの目線と立場から話が展開される。参加する人、来店する人の事情があって、それが食堂での触れ合いを通じて少し変化していく様子に心が温まるお話でした。
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大人側の気持ちと子ども側の気持ち。ボランティア側の事情。それぞれの家の事情。どれもよくわかる作品だった。
親が離婚したとか、片親であるとか血の繋がりはないとかっていう家族は今時本当に多い。
そんな家庭の子どもは小さいながらも親の事情を理解するし、どこか大人びて成長するし、親は親で、その人なりに必死に頑張っている。
子ども食堂。私も子どものときに近くにあったら行っただろうか。
確かに1人だと、知っている人がいないと、行きにくいかもしれない。
だけどきっと、どんな子どもでも温かく受け入れてくれる場所。
ボランティアはすべて自己満足でやっている、「やってあげている」という気持ちは持たない、ということは私も肝に銘じようと思った。
最後、よかった。
やさしくて穏やかな読後感だった。 -
“子ども食堂”を舞台にした、オムニバス群像劇・10編が収録されております。
七年前に夫を事故で亡くした松井波子は、亡くなる数日前に夫から聞いた、公園で一人でパンを食べている男の子の話が忘れられず、「子ども食堂」を開くことを決意します。
月2回。午後5時開店、午後8時閉店の〈クロード子ども食堂〉に、今日も訳アリの利用者たちがやってきますが・・。
本書は〈クロード子ども食堂〉の、とある1日を時間ごとに、視点を変えて展開する構成となっております。
子ども食堂のボランティアスタッフや、利用する子ども達とその親、大人の利用者等・・それぞれの抱える事情を、会話文多めで読みやすく綴られていきます。
印象的だったのは、利用者の子どもの1人・森下牧斗くんと彼の母親・若いシングルマザーの貴紗さんの母子ですね。
登場当初はクレーマーのような貴紗さんの言動に、“うわ・・こういう人無理!”と思ったのですが、読み進めていく内に、“ああ、この人は周りの顰蹙を買っても自分の子どもの為に闘っているのだな・・”と。
例えていうなら、“プロ野球で自チームの選手に不利な判定をされた監督が、無理を承知で審判に猛抗議する”みたいな、ある種の男気(貴紗さんは女性ですが)を感じた次第です。
いや、勿論彼女の“やり方”としては問題アリなのですが、まだ20代の若さで不器用ながらも必死に子どもを守ろうとする姿に、この母子が幸せになると良いな・・なんて思ってしまいました。
(同じく食堂利用者の、岡田千亜ちゃんのお父さんなんて如何でしょう?)
そんな森下母子だけでなく、登場人物皆がどこか不器用で愛おしいんですよね。
子ども食堂って普通の食堂と違った特殊性というか、難しい部分もあるのですが、食堂を仕切る波子さんの押し付けがましくない丁度良いスタンスが心地よいのです。
あ、“押し付けがましくない”と書きましたが、グダっているオジサンたちや自分の息子に対しては、結構強引ですけどww。
でもそんな波子さんだからこそ、皆をうまくまとめて、居心地の良い食堂を目指せるのかな、なんて思いつつ、この神マインドなのに、何故生前のご主人とギクシャクしていたのかが謎・・とも思った次第です。
・・・てな感じで、こども食堂の1日が過ぎていくわけですが、ラストの2ページで起こるミラクルには思わずグッときました。
うん、良かったねー(^^♪