朱色の化身

著者 :
  • 講談社
3.24
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本棚登録 : 999
感想 : 124
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  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065249994

作品紹介・あらすじ

「知りたい」――それは罪なのか。
昭和・平成・令和を駆け抜ける。80万部突破『罪の声』を超える圧巻のリアリズム小説。

「聞きたい、彼女の声を」 「知られてはいけない、あの罪を」

ライターの大路亨は、ガンを患う元新聞記者の父から辻珠緒という女性を探してほしいと依頼を受ける。一世を風靡したゲームの開発者として知られた珠緒だったが、突如姿を消した。珠緒の元夫や大学の級友、銀行時代の同僚等を通じて行方を追い始めた亨は、彼女の人生に昭和三十一年に起きた福井の大火が大きな影響を及ぼしていることに気づく。作家デビュー十年を経た著者が、「実在」する情報をもとに丹念に紡いだ社会派ミステリーの到達点。

塩田さんの中でも新ジャンルを切り拓き、今の社会にとって、必要な作品を作り出した。
                    ――石戸諭(ノンフィクションライター)

情報というものとどう向き合うか試されているのは、大路だけでなく、読者も、である。
                            ――瀧井朝世(書評家)

感想・レビュー・書評

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  • 余命いくばくもない父親からの依頼を受け
    ある女性を追うライターの物語。
    その女性は、現在 行方不明。
    彼女はつかみどころがなく、魅惑的。
    人物関係はかなり複雑。
    途中で迷子になりそうでした。

    最終章、一気に絡まった糸がほどけ
    三世代にわたる女性たちの
    秘密にされてきた重い荷がほどかれます。
    北陸の海、朱色の橋上の最後のシーン。
    淋しく美しい絵のようでした。

    ライターの祖母の言葉が
    ストンと心に落ちました。
    「手紙は面倒なようでも、
    人の心へ言葉を届けるには、
    一番の近道なんやよ」
    そしてもうひとつ、気にかかった言葉。
    「被害者の悲哀と加害者の後悔は、
    当事者にしか分からない重みがある」
    現在進行中の事件が頭をよぎります。

    ただ、辛かった。
    読んでいる間ずっと。
    それは実際の火災が元になっているから。
    そして、取材形式で物語が進行するため。
    フィクションであることを忘れてしまう。
    因みに、作者は元新聞記者です。

    さらにこの作品の舞台、あわら市。
    今年の地震で被害を受けた土地ですね。
    一日も早い復興を祈っています。

    • yyさん
      ハッピーさん、おはようさん
      ハッピーさん、おはようさん
      2024/03/30
    • yyさん
      あれれ? また一行だけの送信になっちゃいました。
      Lineじゃないのよ(;'∀')

      感情移入してしまって辛かったけど、作品としては評...
      あれれ? また一行だけの送信になっちゃいました。
      Lineじゃないのよ(;'∀')

      感情移入してしまって辛かったけど、作品としては評価します。
      塩田さんの別の社会派フィクション「罪の声」も読みごたえありでした。

      ハッピーさんは、震災に関する本を読んでらっしゃるのね。
      お互い、シリアスモードね。
      レビュー、楽しみにしてまぁす☆彡
      2024/03/30
    • ハッピーアワーをキメたK村さん
      そう、シリアスモードなの
      でも面白かったから、y yさんと同じだね⸜(◍ ´꒳` ◍)⸝

      塩田作品も楽しみだなあ° ✧ (*´˘`*) ✧...
      そう、シリアスモードなの
      でも面白かったから、y yさんと同じだね⸜(◍ ´꒳` ◍)⸝

      塩田作品も楽しみだなあ° ✧ (*´˘`*) ✧
      2024/03/30
  • ライターの大路が、元新聞記者の父から辻静代の孫である辻珠緒について調べてほしいと。

    亡くなった祖母が、持っていたのは興信所の調査報告書で、辻静代のことを調べたものであったが、目的がわからない内容であった。

    孫の辻珠緒のことを調べていくうちに始まりは、昭和三十一年に起きた福井の大火にまで遡る。
    つまりは、昭和から平成、そして令和の現在までの辻静代親子三代までに関わる人たちにインタビューしてまとめた記録である。

    取材形式で証言した内容が確認できるが、それだけに物足りなさを感じた。
    もっと深く本人たちの心情を知りたかった。

  • 「雪の音が 誘う雄島 朱の化身」

    戦争、地震、大火、殺人、女性差別…。親子三代にこれでもかと降り掛かる不幸な出来事。しかも頼った男がことごとく極悪人ときている。

    父親から依頼され、行方不明のゲームクリエーター・辻本珠緒(と母親の咲子、祖母の静代)の過去を関係者に取材して回るフリージャーナリストの大路。取材を続けるうちに、珠緒やその母親・祖母の強烈な過去が浮かび上がってくる。ゲーム障害、家柄の格差、女性差別、親友の逮捕、実父による連れ去り、アルコール依存、暴行、殺人、怨嗟…。悪い男に翻弄され続けた親子三代を描いた大河小説。重たい!

  • ノンフィクション形式に寄せて女性三代の人生を描いた力作。1部2部の関係者の証言で次第に事実真実に近づき…序章と終章が繋がるという形式は面白かったが最初の方は登場人物が多くて関係が整理できなかった。『罪の声』ほどではありませんでしたが読み進めていくとはまってきます。
    重要な場所となる雄島は何だか記憶にあるなと思ってましたが、読後にずいぶん前に訪れたことがあるのがわかりました。

  • ❇︎
    塩田武士さん『朱色の化身』

    『罪の声』を彷彿とさせる現実と虚実を
    行き来する臨場感ある全313ページ。

    どのページも上から下までびっしりと文字で
    綴られていて、非常に読み応えがありました。

    内容も一つひとつしっかり読み取っていかないと、
    どこかで読み誤ってしまうに違いないと思って、
    かなり注意して読みました。

    ミステリーの犯人や謎を読み解いていく時とは
    全然違う頭の部分を使って読んだ気がします。

    時代、場所、登場人物、全てが違うけれど、
    また別ステージの『罪の声』を読んだ気分です。

  • 私が読む塩田武士氏作品4冊目。
    構成は良かったけれど…。

  • 福井県の温泉町、芦原温泉の昭和31年の火災(芦原大火)の描写から物語は始まる。制作過程に迫った特別ドキュメンタリー(youtube)も見ましたが、めちゃくちゃ取材されていて、その当時の様子がありありと蘇ってくるようでした。小説家になりたくて新聞社に入ったとおっしゃっていたので、その取材をもとによく作り込まれていたと思います。物語の主人公も元新聞社ライターということで、取材形式で進んでいく物語が読みやすかったです。

  • 面白くて一気に読んでしまった。
    読み進めるにつれ、色んな人が語る「珠緒」についてなぜか違和感を感じた。
    さらに進んでいくと、なるほど違和感の正体がなんとなくわかる。
    男に翻弄された女性たちの生き様は悍ましい。
    でもなんかちょっとモヤっとする。
    本の構成がとてもよく、こーゆー書き方もあるのかとうまいなーと思った。

    • pokopoko0713さん
      ぜひ読んでみてください!
      そして感想を教えてくださいー!
      ぜひ読んでみてください!
      そして感想を教えてくださいー!
      2023/04/24
    • tttommmiiieさん
      pokopoko0713さん♪読みました!面白かった!
      読み進めるごとにどんどん私の中の珠緒が変わっていきました
      構成も、こういうことか!と...
      pokopoko0713さん♪読みました!面白かった!
      読み進めるごとにどんどん私の中の珠緒が変わっていきました
      構成も、こういうことか!と、新しい世界でした。この構成好きで、楽しかったです^_^
      2023/07/10
    • pokopoko0713さん
      感想教えてくださってありがとうございます!
      読み進めるうちにどんどん印象変わりますよねー。
      感想教えてくださってありがとうございます!
      読み進めるうちにどんどん印象変わりますよねー。
      2023/07/10
  • 「罪の声」を超える圧巻のリアリズム小説・・・
    まんまとこのフレーズに騙された感満載。
    ライターの大路が取材した証言内容で綴られる第1章。
    取材する経緯が綴られた第2章。
    この順番なので、第1章の証言内容が散らばっている感じで、人間像も分からないまま、語られる内容に気持ちが入っていかない。
    第2章で大路が取材するきっかけが描かれて、やっと何となく関係性が掴めて来る。
    昭和31年に起きた福井・芦原温泉を襲った大火の史実を元にした昭和、平成、令和に渡る壮大な物語なのは分かるが、メインとなる辻珠緒が姿を隠した理由も心に響かなった。
    ところどころに描かれる福井の情景は美しく、実際に行ったことのある雄島のシーンは、くっきりと頭の中に浮かんだほど。
    主人公である大路に気持ちがないからなのか、親子三代に渡って、守り抜いた秘密が明らかになった時も思ったより、全然心を動かされるようなことがなかったのが残念。
    「罪の声」を好きな読者さんほど、違和感があるのではないだろうか。

  • 十数名もへのインタビューを通しても、
    珠緒がどんな人かなんてぼんやりしてたけど、
    実際に会って話を聞いて、
    私にとっての珠緒が一瞬で形成された。
    プラモデルのように組み立てられていく人生
    この感覚、初めてでおもしろい!

    読み進めると過去に遡っていくし、
    登場人物が多いので
    時間軸分からなくなったり
    何度も
    え、これ誰?ってなった

    珠緒の影の部分を知っても、
    珠緒に想いを向けると
    珠緒を否定することはできなかった
    母も祖母も、珠緒も必死に生きた
    ひとりの人間だもの

    人に会わずには
    その人を捉えることはできないということだなぁ

    芦原について初めて知った。
    インタビュー記事を「書く」ということ。
    個と公。
    ライターの葛藤。
    考えさせられる内容盛りだくさんでした

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著者プロフィール

1979年、兵庫県生まれ。神戸新聞社在職中の2011年、『盤上のアルファ』でデビュー。2016年『罪の声』で第7回山田風太郎賞を受賞し、“「週刊文春」ミステリーベスト10 2016”国内部門第1位、2017年本屋大賞3位に輝く。2018年には俳優・大泉洋をあてがきした小説『騙し絵の牙』が話題となり、本屋大賞6位と2年連続本屋大賞ランクイン。2019年、『歪んだ波紋』で第40回吉川英治文学新人賞受賞。2020年、21年には『罪の声』『騙し絵の牙』がそれぞれ映画化された。

「2022年 『朱色の化身』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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