- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065270677
作品紹介・あらすじ
地球上に生まれた瞬間から40億年近く、あらゆる生物は太陽の光、月の満ち欠け、潮の流れに同期しながら、体の中にリズムを奏で続けてきました。我々の小さな細胞がなぜ、宇宙のサイクルに呼応してしまうのか。眠り、刺激、脳波、心臓――体内で繰り返し起こるリズム発生のメカニズムとは? 「繰り返し」に安らぎを感じてしまう人間の本能を、生命の神秘にまつわる21の視点から解き明かします。
本書は1994年10月に中公新書より刊行された『いのちとリズム』を改題、加筆したものです。
目次
1天体の動きとリズム
2サーカディアンリズムの進化
3サーカディアンリズムの分子生物学
4眠りのリズム
5刺激の伝達のリズム
6脳波のリズム
7心臓の拍動
8非線形振動
9線虫の運動のリズム
10受精波
11細胞分裂のリズム
12細胞という繰り返し構造
13細胞性粘菌の集合のリズム
14ベローソフ-ジャボチンスキー反応
15体節という繰り返し構造
16進化のリズム
17DNAの繰り返し構造・
18遺伝子の繰り返し構造
19非平衡系と生命現象
20繰り返しと心の安らぎ
21文化とリズム
おわりに
参考文献
講談社学術文庫版あとがき
感想・レビュー・書評
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生物リズムについて調べていくつもりでいて、何気なく本屋さんで棚を眺めていると、まさにピッタリのタイトルを発見し、購入してみました。最近発売された本ですが、1994年に発売された『いのちとリズム』の改題です。
内容は、「リズム」という横糸を使って普通の教科書では別々の章に描かれる内容を前半で横断的にレビューし、ラストで著者の考えをエッセイ的に述べるという、ちょっと変わった構成です。流れるように理解できる洗練された文章で、サイエンス・ライターとして、読者のことをよくわかって書いておられるな、と自分で書くときの参考になりました。
基本的に、著者は実験家ではなく、これまでの知見をまとめているだけなのですが、文中、それが分かりにくくなっているところがあり、前半ではそれを文脈で補完できたものの、後半ではどこまでが科学的知見でどこからが著者の想像なのか分かりづらくなっている点が増えてきまして、そこで★4です。
平衡状態においては空間の概念も時間の概念もなく、外部刺激に誘発されてリズムが生まれたときに時空間の概念がしょうじるなぜ人間は同じことの繰り返しに安堵を覚えるのか、ということに対する考察が、著者の至ったひとまずの結論で、それは、規則的な動きは予測可能性を生み、その安心感として脳の報酬系に作用するメカニズムが進化したのではないか、ということです。あとがき等をみると、著者はおそらく自らの体験から考えついたようですね。それはそれで、一考に値すると思いました。現代でこのときからどれほどの知見が得られたのか、サイクルを勉強しながら補完していきたいと思いました。 -
女子栄養大学図書館OPAC▼ https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000059192
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柳澤桂子「リズムの生物学」読了。生物のあらゆる階層における営みをリズムという切り口で語られるとてもワクワクする本だった。細胞周期や脳波などリズムを思い浮かべやすいものから、粘菌の行動パターンがBZ反応で説明できる事、べナールの小部屋、チューリングの非平衡系が飛び切りだった。良書。