マスクと黒板

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 137
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065273364

作品紹介・あらすじ

ヤングケアラーをテーマにした『with you』が夏の青少年読書感想文全国コンクールの課題図書に選定。坪田譲治文学賞作家・濱野京子がコロナ禍をテーマにした描き下ろし最新作。

6月。コロナの休校開けの生徒たちを待っていたのでは、「コロナに負けるな!」のメッセージと見事な黒板アート。こんなすごい絵、誰が描いたのか? 美術部2年の立花輝も興味津々。そんななか再開した学校は、今までと何もかも違う。みんなマスクをつけ、ソーシャルディスタンスに気をつける毎日。文化祭も運動会もなくなるらしい。なんとなく味気ない日々を送るうち、輝は新しいクラスメイトの貴理・絵実・堅人らとあるイベントをやることに──。

同じような経験をしたはずの全国の中学生に送る、コロナから「ふつう」をとりもどすための、輝たちがはじめたささやかな抵抗の物語!

感想・レビュー・書評

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  • これだけコロナを全面にテーマにしてる児童書も珍しい。家や教室での日常の描写にリアルさを感じて、今まで普通にやっていたことができないって虚しいなぁと思った。中学生や高校生で経験したことって後になっても特別覚えてたりするし、何もできないってなぁ…。
    黒板アート、楽しそうでよかったな。形は違っても、コロナ禍でも、何か思い出になれば笑って過ごせる気がする。

  • コロナが流行し始めてからの生活が、リアルに描かれている。
    中学生の心情に、共感する人も多いのでは。
    行動制限が色々ある中、黒板アートで自らを表現したり、周りの人を励ましたり…と、こんな時だからこそ考えることもあるのかなと思った。

  • 植野中学2年生になった美術部の立花輝(てる)
    コロナ前からマスク生活をしていて、目立たないように過ごしている

    一斉休校が終わって登校すると、昇降口にあったのは黒板アート
    《コロナに負けるな!》という新1年生向けのメッセージも書かれていた

    先生か、生徒か、だれが描いたのか

    マスクは白、ソーシャルディスタンス、消毒、静かな給食、短い夏休み、行事の中止……コロナで鬱屈した学校生活が続くなか、同級生と“距離”をとってつきあっている輝は

    「何かやれないのかな」

    あることを思いつき、クラスメイトに相談する

    《日本中の学校が経験した「コロナの日々」からのささやかな抵抗の物語!》──帯の紹介文

    大震災と原発事故、格差社会、ヤングケアラーなど社会の問題をいち早く創作に取り入れている濱野京子の最新作、2022年4月刊

    描かれているコロナの中学校生活はリアルそのもの
    現在進行形で生きている子どもたちの共感を得られるに違いない

    「一瞬、指先が触れた」

    ソーシャルディスタンスを気にする輝の“距離”が縮まっていく成長物語でもある

  • コロナに負けない!という立ち向かう系の話なのかと思ったらちょっと違くて、コロナ禍の学校再開時に現れた黒板アートと応援メッセージ。それに触発された主人公の心の気づきや変化が爽やかに描かれていました。
    休校明けても黙食とあらゆるイベントの中止、おまけにマスクの色規制もあって。でも生徒が声をあげたら先生が真剣に応えてくれて...
    何かに誰かに触発されて、自分の考えが変わったり見方が変わったりっていいなと思う。10代の心の機微に学ぶ。

  •  コロナ禍の初期を経験した者には、リアルな話。実際に、このようなことが、あちこちであったのでしょうね。

  • ザ・コロナ小説。
    全国にはこんな思いの中学生が、
    たっくさんいたんだろうなあ。 

    そして、多くの先生が
    生徒に何が思い出を残してあげたくて
    奮闘していたんだろうなあ。

  • コロナ禍の一番規制がきつかった頃が舞台。こんなふうに作品としてこの時代が残ることはいいことだと思う。いつか忘れ去られてしまうかもしれないけど、こんな時代があったと残しておきたい。

  • コロナになった世界を書籍で見るのは初めてだったから時事ネタがはいるよりもよりリアルでした。

    物語としてはひたすら学校の中の日常のお話。コロナ禍で行動が制限されることが多い学校生活に黒板アートでいろいろな生徒の心境が少しずつ変わっていくのを描いた物語であります。

    私がとても共感したのは、主人公の少年の絶妙な潔癖加減。距離が近いだの、不織布のマスクではないだの、手洗いはもちろんマスクの交換とか、他人のマスクの付け方とか、それを潔癖の純度が違う人に理解されない辛さとか。おそらくコロナ禍になってそういう人ってすごく増えたと思うし、自分もその部類だと思っているから、主人公に親近感が沸きました。

    この物語の本筋では無いかもしれないけれども、茎沢先生にすごく感銘を受けました。周りから見たら厳しい先生。そしてものすごく自分にも厳しいんだと思う。色付きのマスクでも別にいいのではないかと思いつつもルールだから守っていない生徒には指導するし、生徒がそれはおかしいと言うのならば、上に掛け合ってくれる。女子生徒のスラックスについても、誰かが窮屈な思いをするのは避けるべき。と言う考えをもってくれる。

    常識外れなことをする人間もいる、だからルールがある。でも、そのルールってたまにおかしいものもある。そのバランスがすごく難しいのだと思う。茎沢先生は自分の意見をしっかり持ちつつ、社会・学校のルールを理解し守っている。今の自分の仕事に対する考えをもう一度見直そうと思いました。

  • マスクでメガネという僕との共通点があった

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著者プロフィール

熊本県に生まれ、東京に育つ。『フュージョン』でJBBY賞、『トーキョー・クロスロード』で坪田譲治文学賞を受賞。主な作品に『トーキョー・クロスロード』(第25回坪田穣治文学賞受賞)、『この川のむこうに君がいる』『with you』(ともに青少年読書感想文全国コンクール課題図書選出)、『石を抱くエイリアン』『南河国物語』『Mガールズ』ほか、「レガッタ! 」シリーズ、「ことづて屋」シリーズなどがある。

「2023年 『金曜日のあたしたち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

濱野京子の作品

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