独学の思考法 地頭を鍛える「考える技術」 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065277522

作品紹介・あらすじ

「自分の頭で考える力」が根本から身につく!
答えなき時代に独学を深めるうえで必須の「考える技術」を、気鋭の哲学者が徹底解説。

答えのない時代には
自分の頭で考え、学びを深める力=「独学力」が必須だ!

◆勉強の質を高める哲学メソッド
◆「良い問い」と「不適切な問い」
◆「一問一答式知識観」を捨てる
◆「ソクラテス式問答法」の問題点
……など


【本書の目次】

はじめにーー答えなき時代に求められる「独学の力」

プロローグ 「考える」とはどういうことか?
  ーーショーペンハウアー『読書について』から考える

第1部 原理編ーー5つの「考える技術」

  第1章 問いを立てる力ーー思考の出発点を決める
  第2章 分節する力ーー情報の質を見極める
  第3章 要約する力ーー理解を深める
  第4章 論証する力ーー論理を繋げて思考を構築する
  第5章 物語化する力ーー相手に伝わる思考をする

第2部 応用編ーー独学を深める3つの「対話的思考」

  第6章 対話的思考のステップ1ーー「問い」によって他者に寄り添う
  第7章 対話的思考のステップ2ーーチャリタブル・リーディングを実践する
  第8章 対話的思考のステップ3ーー他者に合わせた「イメージ」を用いる

おわりに

感想・レビュー・書評

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  • 1.最近、頭に知識が入らないことが多く、学ぶすべに悩んでたので購入しました。

    2.独学するにあたり、問いを立てる、分節する、要約する、論証する、物語化するの5段階を踏む必要があります。
    これらをやらない限り、知識はすぐになくなります。そのため、言葉にするにあたって、この段階を踏む必要があります。
    本書ではこれらの段階の必要性を説いた後、応用編として、他者との会話で気をつけることを述べています。日常何気なくしている会話の捉え方が違ってくることについてもっと気づくべきだと考えてます。

    3.先日会議があって、自分の発言がかなり誤解を生んでしまうケースがありました。会話ですらこうなってしまうので、文字コミュニケーションにしたらなおさら齟齬は起きやすいのだと感じました。

  • 哲学の専門家である著者が「独学」の指針を示した本。

    本書における「独学」とは、答えがなかなか出ない(存在しない)問題について「自ら思考する」ことを指す。つまり、例えば言語学習や資格取得などの基準やゴールがある独学ではなくて、もっと広義の思考について本書では述べられる。

    著者は「独学」を「走る」というメタファーを使って喩えた上で、その要素となる思考・知識とは何たるかを解説する。
    またそのためのスキルとして「問いを立てる力」「分節する力」「要約する力」「論証する力」「物語化する力」を挙げて、それぞれの磨き方について説明していくという構成になっている。

    内容はよくまとまっており、読みやすい。哲学という、ある意味永遠に答えがでない世界で思索を積み重ねる筆者ならではのスタンスが表れていて説得力があると感じた。

    特に興味深かったのは、「問いを立てる力」と「チャリタブル・リーディング」の2つ。
    順番に要約する。

    「問いを立てる」とは、思考を始める前のスタート決めの段階であり、これによりそのアジェンダに至るまでの「普遍性」「具体性」「前提となる知識」を明確にする。
    またそれぞれに、事例・定義・根拠という要素があるので、初めの「問い」によってこの齟齬を無くすことを狙う。

    このステップで良い「問い」を議論の相手若しくは自分自身の課題に投げることができれば、その後の思考の質が高まる。これは見落としがちだが、その通りだと思うので、明文化できて良かった。

    次に「チャリタブル・リーディング」。これは哲学研究では比較的メジャーな考え方で、議論の際に相手の論考を聞く時に活用できる方法である。
    具体的には、「相手の思考は真理の一面を突いていると仮定した上で、その思考に漏れや欠点があればそれを補うようなアイデアを提供する」という聞き方・読み方である。
    この時も対話者同士は対等な立場であり、いずれかが「教示」を与えるようなものではない。お互いの思考を切磋琢磨させることを目指したスタンスである。

    この姿勢も非常に重要だと思う。
    私たちは自分の考えが正しいと考えがちであり、そのために相手の論に批判的に接してしまう。だからこそ、意識的にこのような寛容なスタンスで議論に臨むことが、議論の質を高めて効率化するためにも必要なのだ。

    哲学研究におけるエッセンスの詰まった、「独学」の質を押し上げるための一冊。
    子細の分析・要約のスキルの解説については他の専門書に軍配が上がる(*)が、大きな考え方やスタンスにおいては非常に参考になると思う。

    *波頭亮『思考・論理・分析』がおすすめ

  • 2023-09-30
    なんでこの本を買ったのかよくわからない。たぶんYouTubeとかで紹介されてて、題名に惹かれたんだと思う。
    で、題名に偽りあり。独学ではないし思考法も書かれていない。むしろ独学を薦めていない。
    文章の読み解き方とか論の組み立て方、ロジカルな対話の仕方が書かれている。手触りとしてはビジネス本。

  • 読書の量が増えてくると何となく偉くなった気になってくるが。。。筆者はその背景に透ける「知識は単なる思考の道具であり、収集することで思考力が高まる」発想を「一問一答的知識観」と断じ、他者の考えをなぞらず「自ら思考する」ことの実践を説く。

    順を追って思考のプロセスを解きほぐしていく様、とくに判断の普遍性/判断の具体性/判断の前提となる価値観の3本柱に対する「問いの立て方」や、情報群の中から有意なものを抜き取る、あるいは本の読み方まで踏み込んだ「分節力」のところは、体系的に触れることがこれまであまりなかったのでとても参考になった。

    唯一、このところの「独学」ブームに乗ったのか、タイトルだけミスリーディングに感じる。むしろメインテーマの1つである「対話的思考」を押し出してもよかったような。。。

  • 答えなき時代に求められる「独学」の力。論文など文章作成時に行う手順に似てるなと感じた。

    原理編
    問いを立てる
    論理的な思考を展開する
    物語を作る

    応用編
    問いによって他社に寄り添う
    寄り添う読書を実践する
    他者に合わせたイメージを用いる

  • 可もなく不可もなくという感じ。論点とかははっきりとしている。

  • 【請求記号:104 ヤ】

  • 116-Y
    小論文・進路コーナー

  • 考えるの言語化。
    論理的で明快。
    ラディカルな問いは対話には大事なので、著者の考えには同意する。
    思考を鍛えたい人に人にオススメしやすい内容。
    独学といいつつ、対話力でもって、思考を循環させる提案がよい。
    読書も対話で知識の積み重ねではなく、自身のストーリーラインに載せて思考するものだから。

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著者プロフィール

1994年、東京都生まれ。2017年、上智大学文学部史学科卒業。2019年、東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻(比較文学比較文化分野)修士課程修了。現在、同大学院博士課程、および日本学術振興会特別研究員DC1、「東京大学共生のための国際哲学研究センター(UTCP)」リサーチ・アシスタント。専門は哲学(とりわけポール・リクールの思想)。2019年、日本哲学会優秀論文賞受賞。2021年、日仏哲学会若手研究者奨励賞受賞。「哲学の知と実社会を繋ぐ」という理念のもと、哲学の〈意義〉と〈魅力〉を世に幅広く発信することをライフワークとしている。

「2022年 『独学の思考法 地頭を鍛える「考える技術」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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