オッサンの壁 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 39
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065277539

作品紹介・あらすじ

日本一の「オッサン村」ーー永田町の非常識、政治メディア の実態。
全国紙初の女性政治部長が克明に記す「男社会」のリアル。

なぜ、永田町と政治メディアにオッサンが多いのか?
幾多の「壁」に直面してきた政治記者が男性優位主義の本丸で考えた、日本社会への処方箋。

永田町 「驚きのエピソード」
・総理秘書官の抗議 「首相の重要な外遊に女性記者を同行させるとは何ごとだ!」
・夜回り取材時、議員宿舎のリビングで、いきなり抱きついてきた大物議員
・いつも優しい高齢議員が「少しは休みなさい」と布団を敷き始めた……さて、どうする?

政治記者の「過酷な競争」
・事実無根の告げ口をされ、梶山静六に激怒される 「あんたが漏らしたのかっ!」
・空恐ろしかった一言 「女性で声が一人だけ高いから、懇談の場の空気が乱れるんだよ」
・毎朝の「ハコ乗り」競争、夜の「サシ」取材……入浴時間を削って働く激務の日々

男性でもオッサンでない人たちは大勢いるし、
女性の中にもオッサンになっている人たちはいる。(本書より)


本書の内容
第一章 立ちはだかるオッサン
第二章 ハラスメントの現場
第三章 「女性初」が嫌だった
第四章 女性議員の壁
第五章 壁を壊すには

感想・レビュー・書評

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  • 毎日新聞の政治記者である著者が体験した、男性優位社会に存在する『オッサンの壁』について書かれた本。○○ハラスメントという言葉さえない時代から男性社会で揉まれた話は、大変な経験だと思う。しかし、今現在においてもそれが無くならないのは、やはり男性側の意識を変えなければならないと思った。

  • 運良く、参議院選挙のタイミングで図書館の予約が取れ、読むことが出来た。

    毎日新聞で政治部長を勤めた筆者が、男性優位の社会で揉まれた経験を赤裸々に描いている。新聞記事の如く、感情を排した淡々とした文体で書かれており、読者を不快にさせる箇所は全く無い。しかし、筆者の職業人生に思いを馳せると、日本の将来に対する、彼女の強い情熱を感じた。

    「生まれながらの下駄」を履いた、古い体質の組織に生きるオッサンには是非読んで頂きたい。

    書いてある内容は至極納得のいくものだ。
    そして、残念ではあるが、自分自身が「オッサン予備軍」であることを自覚した。
    例えば、自分の部下に、2人の育児をする女性総合職社員がいた時は、毎日振り回され仕事が進まず、自分は毎日のように不満を抱いていた。
    また、育児から復帰した女性社員がスピード昇進すると、心の中で「なんであんなに経験不足なのに」と呟いたものだ。

    こんな負の感情を持つ時点でアウトなのだろう。私の不満は、男性社会目線だったということだ。

    確かに、女性活用を一部の人だけに任せるのではなく、組織全体・社会全体でフォローするような体制や雰囲気作りは大事なことだ。しかし、その言葉だけで片付けるのは綺麗事であり、問題を先送りにする理由にすぎず、実現は難しい。
    強制的にでも、オッサンから女性に下駄を履き替えさせて、女性を今の実力以上に背伸びしたポストへ任命していかなければ、これだけ出遅れ感のある日本企業や政界の活性化は不可能だろう。

    そして今後は、「出世目指して無茶な働き方を続けてきた自分ではなく、業務経験値の少ない年下の女性が昇進し、自分は部下として全力でサポートする。」ということが起こりうる。オッサン社会で下駄を履いてきた人は、この変化をどこかのタイミングで受け入れることになる。もう後回しにはできない。果たして、自分は受け入れることができるか!?

    「オッサンの壁は、乗り越えるものではなく壊すもの」と締めくくられている。それを壊すのは女性だけではない、と補足させていただきたい。

  • 「上司に報告できない」警察官や大物議員秘書…セクハラの実態と「言えない理由」(佐藤 千矢子) | FRaU
    https://gendai.ismedia.jp/articles/-/94302

    オッサンの壁 | 現代新書 | 講談社
    https://gendai.ismedia.jp/list/books/gendai-shinsho/9784065277539

    『オッサンの壁』(佐藤 千矢子):講談社現代新書|講談社BOOK倶楽部
    https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000364916

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      オッサンとは「年齢を重ねた男性」に限らない…私たちがオッサンについて書く理由(長谷川 あや) | FRaU
      https://gendai.i...
      オッサンとは「年齢を重ねた男性」に限らない…私たちがオッサンについて書く理由(長谷川 あや) | FRaU
      https://gendai.ismedia.jp/articles/-/97136
      2022/07/08
  • 途中からは飛ばし読み。

  • オッサンと呼ばれる習性を面白おかしく書いた本かと思ったが、著者自身の体験を通じて男性中心社会への波紋が投げられている。理屈ではわかっていても変わらない日本。固定観念が大きな壁となって立ちはだかっている。
    本では取り上げられていないが、都立高校で男女で合格最低点が違っていた。多くの女子が自分より点数の悪い男子のために不合格になっていた。
    教育における偏見だが、変えるべきパワーが働いてこなかった。天皇の皇位継承も棚上げされたままである。いろんな意味でジェンダーフリーの時代だが、長年にわたって染み付いてきた思い込みは一朝一夕には変えられないだろうし、老害とも言える人種が力を持っている政治からは期待ができない。女性平等が最も進んでいるアイスランドの女性は強い。賃金格差が判明した最近、職場で家庭でストを決行した。昔、ウーマンリブなる活動があったが、女性自身から変革を求めるうねりがでてくることが、最も効果的かな、と感じた。

  • p143 そもそも、3歳未満の子どもを育てている労働者については、短時間勤務制度が法律で義務化されている、。育児・介護休業法23条は「3歳に満たない子を養育する労働者に関して、1日の労働時間を原則として6時間とする短時間勤務制度を設けなければならない」と定めている

    p229 「オッサンの壁」は超えるものではない。壊すものだ。

  •  ・世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数(2021年)による日本の世界ランクは120位(ロシア、中国よりも下位)
     ・東京五輪組織委会長による女性蔑視発言や牛丼チェーン店役員による人権・ジェンダー上の問題発言など続発
     本書では、全国紙初の女性政治部長が、就活面接時の「お茶汲み対応」質問にはじまり、主に永田町の取材現場での男性優位の多様な実態を伝え、性的分業体制が構築された社会の中でどのように対応してきたかを解説。
     様々な場面において一定数の女性の参画が必須となり、参画できない理由があれば参画できるよう環境を変えることが現代の重要なリーダーの条件である。まずは、国会議員と女性管理職を25%以上にする目標を掲げて対策を行っていると思うが、なぜ日本だけ進まないのか世界から取り残された国にならないよう願いたい。

  • 毎日新聞で全国紙初の政治部長となった佐藤千矢子さんの著書。

    最初の1-3章は、佐藤さんが自身の経験を中心にどういうところにオッサンの壁(ほぼ無意識に男性優位が構築され、刷り込まれている社会)があり、どういうところに苦労したかという視点が散りばめられている。当然のように存在するセクハラ事例も衝撃的。そんな中で、女性初という称号を嫌いながら、最後は、そうやって女性活躍を普通のものにしていく旗頭になろうと変貌していく。

    また、性別を超えて、政治部記者という職業が何をして、日々どういう仕事をしているのかという実情が分かるのも本書の面白い点。

    他方、4-5章は、政界への女性進出の課題を皮切りに著者の本件問題についての問題意識が述べられる。

    読後感として、1-3章はとても面白かった。4-5章は中々読み進まず。前者は女性政治部記者という記者オリジナルの視点で書かれていたから、後者は新聞やネットでもよく見る主張だったからだろうか。或いは私がオッサン社会に馴染みすぎて違和感があったのか。はてさて。

  • なぜ、永田町と政治メディアにはオッサンが多いのか?幾多の「壁」に直面してきた政治記者が男性優位主義の本丸で考えた、日本社会への処方箋。

  • 課題と解答が見えない時代だからこそ、多様な人々を生かせるリーダー、コミュニケーション能力の高いリーダー、チームをつくるのがうまいリーダーが求められる。

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著者プロフィール

1965年生まれ、愛知県出身。名古屋大学文学部卒業。毎日新聞社に入社し、長野支局、政治部、大阪社会部、外信部を経て、2001年10月から3年半、ワシントン特派員。米国では、米同時多発テロ後のアフガニスタン紛争、イラク戦争、米大統領選を取材した。政治部副部長、編集委員を経て、2013年から論説委員として安全保障法制などを担当。2017年に全国紙で女性として初めて政治部長に就いた。その後、大阪本社編集局次長、論説副委員長、東京本社編集編成局総務を経て、現在、論説委員。 



「2022年 『オッサンの壁』 で使われていた紹介文から引用しています。」

佐藤千矢子の作品

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