子犬の絵画史 たのしい日本美術

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  • 講談社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065280843

作品紹介・あらすじ

応挙、蘆雪をはじめ、かわいい子犬大集合! 中国画の影響から近代まで。日本で「子犬」がどう描かれてきたか? で辿る、かつてない美術史。

感想・レビュー・書評

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  • 他国から日本へ伝わった子犬の絵。その絵画史の中で、
    如何なる姿の子犬たちが生まれ、愛でられたのか。
    ・図説 子犬の絵の流れ
    ・犬を愛してきた歴史と、応挙と蘆雪
    一章 海の向こうの子犬の絵  二章 日本の子犬の絵
    三章 犬の美術あれこれ
    コラム、写真クレジット、協力・写真提供一覧有り。

    中国、北宋・南宋期のリアルと表現。
    朝鮮王朝の李厳のおおまかで素朴な表現。
    それらを真似ることから、宗達、狩野派、蕪村、若冲の
    子犬となる。一方で独自の子犬の絵が生まれ、昇華する。
    応挙の無垢と蘆雪のユルさは、若冲とは異なる凄さ。
    応挙犬・蘆雪犬現象と著者が呼びたくなるほどに、
    影響を与えている。江戸時代の浮世絵や明治期以降の絵画にも。
    更に、彫刻や工芸、染織、禅宗の絵や俳画、「八犬伝」、
    絵手本、人の生活の中の犬や愛犬の史跡についても紹介している。
    とは言え、難しい内容ではなく、読み易い文章。
    そして何よりも、親しみを込めて、わんこ、犬ころ、
    ちんころ、ぽちと呼びたくなってしまうような、
    小さくてムクムクで、ころんとしている子犬がたっぷり掲載!

  • 府中市美術館の学芸員で、私個人的にはカワイイにフォーカスした動物企画展の火付け役と勝手に尊敬している金子信久さんの最新著書。
    犬、しかも子犬だけを取り扱った日本画の本は珍しいのでは?他にもあるならぜひ手元に置いておきたい…!

    2021年の「開館20周年記念 動物の絵 日本とヨーロッパ ふしぎ・かわいい・へそまがり」、2019年の「春の江戸絵画まつり へそまがり日本美術 禅画からヘタウマまで」の企画展で実物を見た子犬の絵画が収録されており大満足。個人蔵の名画を覗き見しているような気分になれるのも本ならではの良さ。

    1枚だけ、作品を掛け軸に見立てた試みが収録されており、これは新しいと膝を打ちました。絶対に個人が買える値段ではないと思うけど、部屋にかけるならこの子犬の絵がいいな、応挙犬より蘆雪犬のほうが合うかな?など、自分だけの床の間を空想しながら読むと楽しさが倍増します。

  • 子犬たちのかわいさは昔も今も変わらず
    尊い

  • 子犬を描いた日本画を網羅した、昨今人気のゆるかわ系日本画をテーマにした一冊。
    禅画の一部を除けば日本画における犬の表現はステレオタイプだが、時系列に並べられると応挙以前と以後で明らかに違うのが判る。応挙の存在はでかい。

  • 「名画のなかの犬」も犬がいっぱいで楽しかったけど、こちらは「日本の」「仔犬」。表紙にばばんっ!と応挙の仔犬 。眺めるだけで弛んでくる。
    日本の絵画の歴史の中で、子犬がどのように描かれてきたのか、日本の美術の変遷も見えてくるような、興味深い本であるのだけど、とにかく応挙の仔犬はかわいいっ!いや、仔犬はかわいい!と、足元のうちの仔犬も撫でくり回したくなる、かわいい本でした。

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著者プロフィール

金子信久(かねこ・のぶひさ)
1962年、東京都生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科美学美術史学専攻卒業。福島県立博物館などを経て、府中市美術館学芸員。担当展覧会に「亜欧堂田善とその系譜」(福島県立博物館、1990年)、「司馬江漢 西洋との接触、葛藤と確信」(府中市美術館、2001年)、「亜欧堂田善の時代」(府中市美術館、2006年)、「リアル 最大の奇抜」(府中市美術館、2018年)など。「亜欧堂田善の時代」展の企画と図録論文で第18回倫雅美術奨励賞受賞。主要論文に「亜欧堂田善の銅版江戸名所図群に関する絵画史的検討」(『国華』1220、1997年)、「迫真と形象化‐司馬江漢と亜欧堂田善の油彩画」(『民族藝術』22、2006年)、「司馬江漢 西洋風景人物図屛風」(『国華』1336、2007年)など。著書に『日本美術全集14 若冲・応挙、みやこの奇想』(共著、小学館、2014年)、『もっと知りたい長沢蘆雪』(東京美術、2014年)、『子犬の絵画史 たのしい日本美術』(講談社、2022年)ほか多数。

「2022年 『作って発見! 日本の美術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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