北条時宗と安達泰盛 異国合戦と鎌倉政治史 (講談社学術文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065283431

作品紹介・あらすじ

生まれながらに執権の地位を約束された若き執権北条時宗と、彼を支え無謀にも思える大胆な幕府改革を試みた硬骨の政治家安達泰盛。二人が中核を担う13世紀の日本に、ユーラシア大陸を席巻したモンゴルの嵐が迫る――。
「救国の英雄」では決してなかった時宗の素顔とは? 泰盛の弘安徳政は、幕府が構造的に抱えていた限界にどのように挑んだのか。二人を主人公に、絵巻や彫刻、宗教など多様な視点を取り入れ、血なまぐさい権力闘争相次ぐ政治史を、著者ならではの手腕で立体的に編み上げた労作!(原本:日本放送出版協会、2001年)

はしがき――時代、世界、個人
プロローグ――若君誕生
第一章 時宗誕生前後の幕府政治
第二章 北条得宗と御家人安達氏
第三章 蒙古襲来のなかで
第四章 絵にみる時宗時代
第五章 時宗と日中禅宗世界
第六章 時宗死後の政治改革
エピローグ――記憶のなかで 
あとがき 
付録1 書評と紹介 川添昭二著『北条時宗』
付録2 研究余滴 大河ドラマあやかり本の大罪
学術文庫版あとがき

主要人物の生没年
安達泰盛の経歴
北条時宗の履歴書

感想・レビュー・書評

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  •  元寇の際の鎌倉幕府執権の座にあったことで有名な北条時宗であるが、実はそのひととなりを物語る史料が極端に少なく、具体的な人物像を描くことは難しいとのことである。
     そのような中ではあるが、様々な史料を博捜して時宗の人物像に迫ろうとしたのが本書の特徴である。あわせて、時宗を支えたものの時宗死後、いわゆる霜月騒動で落命した安達泰盛にも焦点を当てて、将軍権力と北条得宗体制との桎梏、元寇後の政治改革の在り様等が論じられる。

     元寇については関係書籍も読みある程度の知識は持っていたが、霜月騒動のことは御内人と安達氏の争いといったことくらいしか知らなかったので、本書を読んで、背景にある対立の所在について一定の理解を得ることができた。
     しかし、弘安徳政と称される重要事項である鎮西神領興行・名主職安堵令について結構詳しく内容紹介はされているのだが、予備知識が少ない一般読者にとっては、その意義がなかなか分かりづらいのではないだろうか。その辺りが少し不満である。

  • 時宗の誕生から霜月騒動までを対象に、幕府が構造的に抱えていた限界を改革しようとした状況が書かれています。
    絵巻や彫刻、宗教など多様な視点を取り入れてるのは興味深かったです。

  • 2001年刊行本の文庫版。時宗の誕生から霜月騒動までを対象に、蒙古襲来前後の権力構造の変質と政治改革の挫折の過程を描く内容。禅宗系史料から見る時宗の人物像や、泰盛の目指した体制の考察など興味深い内容だった。

  • 学術書。最近でた学術好きは ほう となるような発見があったりするもの。この本は大河ドラマの時期に出版され、最近の発見をふまえ少し改稿されたもの。わかるのは権力の継承はスムーズになされなかったことぐらいか。

    ※評価はすべて3にしています

  • プロローグ 若君誕生
    第1章 時宗誕生前後の幕府政治
    垸飯にみる幕政の推移
    政変と深秘沙汰・寄合
    京都・鎌倉の身体性
    第2章 北条得宗と御家人安達氏
    執権への道
    二月騒動
    第3章 蒙古襲来のなかで
    海の帝国をめざすモンゴル
    異国警固と国制改革
    文永の役と異国征伐
    弘安の役と神風
    第4章 絵にみる時宗時代
    時宗の肖像をもとめて
    第5章 時宗と日中禅宗世界
    北条氏と仏教諸宗派
    無学租元と元寇
    中国禅宗界と時宗
    第6章 時宗死後の政治改革
    御家人拡大路線の波紋
    公武手をたずさえて
    霜月騒動
    エピローグ 記憶のなかで

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著者プロフィール

1949年、大阪市生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。博士(文学)。
同大学史料編纂所、同文学部・人文社会系研究科、立正大学文学部を経て、現在東京大学名誉教授、公益財団法人東洋文庫研究員。
専門は日本の対外関係史。国家の枠組みを超えて人々が活動し、「地域」を形成していく動きに関心をもち、あわせてかれらの行動を理解するのに不可欠な船、航路、港町などを研究している。
おもな著書に、『中世倭人伝』(岩波新書、1993年)、『東アジア往還─漢詩と外交─』(朝日新聞社、1995年)、『世界史のなかの戦国日本』(ちくま学芸文庫、2012年)、『日本中世境界史論』(岩波書店、2013年)、『日本中世の異文化接触』(東京大学出版会、2013年)、『古琉球─海洋アジアの輝ける王国─』(角川選書、2019年)ほかがある。

「2021年 『東アジアのなかの日本文化』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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