奪還(上) (講談社文庫)

  • 講談社
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本棚登録 : 95
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065289471

作品紹介・あらすじ

民間軍事会社を運営する社長の妻と娘が拉致された。
偶然、現場に居あわせたリーチャーに依頼が届き、ともに解決へと乗りだすのだが……。

二度の映画化で、世界的な人気を誇るアクションサスペンス。
新作ドラマがアマゾンプライムで進行中のジャック・リーチャー・シリーズ、
待望の最新邦訳は、シリーズ屈指の傑作!

感想・レビュー・書評

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  • リー・チャイルド『奪還(上)』講談社文庫。

    2006年に刊行されたジャック・リーチャー・シリーズの第10作。

    冒頭こそ偶然が重なる強引な展開に不自然さを感じたものの、読み進むうちに面白くなってくるから不思議だ。

    戦争の残酷さ、祖国と仲間に裏切られた男の怒りと執念……

    民間軍事会社の社長エドワード・レインの二度目の妻ケイトと娘ジェイドが拉致され、犯人の要求によりベンツの車中に準備した100万ドルの身代金がベンツごと奪われる。

    偶然、カフェに居たリーチャーはベンツが犯人により持ち去られる場面を目撃する。翌日、再び訪れたカフェで社長の部下から目撃情報を尋ねられたリーチャーは自ら進んで誘拐犯の捜索に介入するというトンデモな展開。

    そして、複数犯による犯行で、犯人は300km以上離れた場所にアジトを構えているだろうといったリーチャーの推理は全て空振りに終わり、追加の500万ドルの身代金まで奪われる。さらに450万ドルも奪われ、総額1,050万ドルの身代金が犯人の手に渡る。

    しかし、ここで挫けないのがジャック・リーチャー。リーチャーの雇い主が戦争を食い物にした極悪人であることを掴むと、今度はその方面の関係者であるレインの最初の妻の妹パトリシア・ジョセフ、ニューヨーク市警のブルーワー、元FBIの私立探偵ローレン・ポーリングらと連携し始める。すると何故かそちらの方面の推理はズバリと当たってしまう。

    見えてきた犯人の姿と目的……

    たどり着いた先は……

    定価1,100円
    ★★★★★

  • AmazonPrimeで放送されている「ジャック・リーチャー」のシリーズ。

    AmazonPrimeの作品を見てから読むと、ジャック・リーチャーの事がアラン・リッチソンにしか思えなくなるというwww

    登場している元FBIのローレン・ポーリングが、ハリー・ボッシュ・シリーズのエレノア・ウィッシュあるいはレイチェル・ウォリングに思えたりして。

  • 「奪還」リー・チャイルド。初出2006。青木創訳、講談社文庫。

    1954年生まれのイギリス人のリー・チャイルドさんが2000年から2022年現在までずっと描き続けている「ジャック・リーチャー・シリーズ」の第10作。
    ただ、このシリーズは「第何作目か」というのがあまり意味がないようですね。翻訳もてんでバラバラに出ています。作者が意図的にそう作っているようで、以下のことだけわかっていれば、どれから読んでも楽しめるという趣向です。

    ・主人公のジャック・リーチャーさんは、40代〜50代で。
    ・元々はアメリカ陸軍の憲兵隊という「軍隊関係限定の警官・捜査官」だった。戦場にも行ったし、探偵として超優秀だった。
    ・あるときプッツリと軍隊をやめて、高額の恩給で暮らしている。パスポートと歯ブラシだけポケットに入れて、携帯もクレジットカードも免許も車も持たずに、バスか列車かヒッチハイクでアメリカ中を放浪して暮らしていて(それはこの情報化された社会でも、誰も彼の現在位置を追跡できないということを意味しているんですね)。
    ・めちゃクチャに格闘に強くて頭も良くて、毎回当然トラブルに巻き込まれて名探偵となって解決していく。(推理だけじゃなくて最後は必ず荒事になる)

     どうしてこのシリーズに手を出したかというと、恥ずかしながら簡単な理由で「村上春樹さんが何かの文章で、面白く楽しんで読んでいる、と言っていたから」なんです。

     ちなみに映像作品では、2作映画になっていて、トム・クルーズさんが演じています。あと未見ですが最近Amazonだったかながドラマ化したようです。トム・クルーズ版は、見ています。映画単体としての満足度でいうと悪くもないけど褒めるほどでもないかなという程度なんですが、刷り込みになっちゃってるので小説を読む時は主人公はどうしてもトム・クルーズになっちゃっています(笑)。



    「奪還」は、主人公リーチャーがたまたまとある誘拐犯罪の現場の目撃者になってしまったことから始まります。まあ大抵こういう偶然から始まりますね。
     誘拐されたのは、人妻さんと娘さん。夫は「政府に雇われてアフリカとかにいく傭兵部隊のリーダー(金持ちです)」。夫も含めて関係者は元軍人が多い。
      リーチャーさんも元軍人。おまけに捜査のプロ。警察に言えない夫さんに雇われて、乗り出します。犯人は誰か。誘拐された側の夫は善人なのか悪人なのか。身代金受け渡し。浮かぶ容疑者。誘拐の舞台はニューヨーク。事件は意外な展開を見せて・・・。

     他のこのシリーズもそうなんですが、前半のミステリーのこねくり回し具合と、圧倒的にレイモンド・チャンドラーに影響を受けているシニカルな現代文明批判(アメリカの正義や、軍隊の組織もちゃんと相対化されている)を称えたトリビア重視の文体が、読ませます。主に後者の特徴が村上春樹さんの好みなんだろうなあ、という感覚。多少は残酷描写もあるし、ハードボイルドと言えばハードボイルド。3分の1も読んだら、あとはやめられない止まらない一気読みおすすめの娯楽作品。しかも安心して読めるヒーローもの・名探偵もの。

     ・・・と、つまりはちょっとした残酷含めて33%は「シャーロック・ホームズ」、33%は「現代版フィリップ・マーロウ」、33%は「ウェルメイドな「ゴルゴ13」の小説版」、とも言えます(笑)。息抜き楽しむにはオジサンにはありがたいシリーズ。

  • 民間軍事会社を経営するレインの妻と娘が拉致された。請われて妻子の救出に協力することになったリーチャーの読みを、犯人は何度も出し抜き、身代金をさらにせしめて連絡を絶ち…。

    シリーズ第10作。上巻はアクションよりも頭脳戦が中心。

  • 二転三転しておもしろかった。妻子誘拐の謎解きとアクション。アメリカ人とイギリス人の違いよ描写もなるほどと思いました?あっという間に読み終わります。

  • 2023/7/17読了。上巻でまず登場人物と下巻に繋がる流れが見えて来た。最後の展開に期待したい。
    民間軍事会社とそれに群がる元情報機関や国軍の兵士。不正と私情、裏切りそして金。どこかで聞いたような世界がある。

  • 不自然な妻子拉致事件の真相を追え! 映像化で世界的に人気のアクションミステリー。

  • 安定の読み心地だが、どう話が転んで奪還するのか,
    下巻が気になりすぎ。

  • 非常に謎解きの要素が強い一冊。これまでのリーチャーシリーズを読んでいなくても楽しめる作品です。作中で述べられている米国人、英国人の気質の違い、軍の部隊ごとの違いなども興味深い。リーチャーは人を殺すことにちゅうちょしない。こういう考え方は私には理解が及ばない。銃や人を殺すことが身近にあることとそうでないことの違いかなとも考えた。
    しかし、読んでいる間はそんな小難しいこと考えずに楽しめた。

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著者プロフィール

1954年イングランド生まれ。地元テレビ局勤務を経て、97年に『キリング・フロアー』で作家デビュー。アンソニー賞最優秀処女長編賞を受賞し、全米マスコミの絶賛を浴びる。以後、ジャック・リーチャーを主人公としたシリーズは現在までに23作が刊行され、いずれもベストセラーを記録。本書は22作目にあたる。

「2019年 『ミッドナイト・ライン(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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