さっちゃんは、なぜ死んだのか?

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065298831

作品紹介・あらすじ

ホームレスの女性が、公園で殺害されているのが発見された。犯人も動機も不明。彼女はなぜ、殺されたのか? 事件に興味をもったフリーターの女性が、不思議な縁で、被害者の人生に潜む嘘をひとつひとつ暴き、真実に近づいていく。巧妙な罠と高速で展開するストーリーに、いつの間にか目が離せなくなる。そして、ある瞬間に気づく。#さっちゃんはあなただったかもしれない #さっちゃんはわたしだったかもしれない

感想・レビュー・書評

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  • 公園で、ホームレスの女性が殺害された。
    犯人は誰⁇ 殺害理由は⁇

    確かになぜ?と気になるが、彼女の生きざまを辿っていくと…
    どうやらこれって自分もそうなるかも…になる可能性を感じている人がそこここにいるようで不穏な空気である。
    それがループのように続いていく恐ろしさを残して終わる。
    時代のせいにした結果なのか、家族に恵まれなかったせいなのか、誰かのせいにせずにはいられない結果がこれだとしたら…やるせない。

  • ホームレスの久賀沙知…ある日公園で殺害されているのが発見された。フリーターの関口祐子は、彼女との思いがけない縁に導かれるかのように彼女のことを調べ始める…。調べた結果を日記のように更新していた自らのブログに投稿すると…。

    読み終えてみて、う~ん、詰め込みすぎ感があって…これでもか!くらいにいろいろなことが重なっていて、ちょっと疲れちゃった感じが拭えませんでした…。一気読みできるくらいに夢中になって読めたことは読めたんだけど…なんとなく、気持ちをどこにもっていっていいのかがわからなくなるような…そんな作品でした。

  • 久しぶりの真梨さん。相変わらずの登場人物の多さに相関図を作りながら読んでいきました。
    最後いろいろどんでん返しがあってあっという間に読んでしまいました。

  • ‪「痩せました?」は魔法の言葉だ。この言葉ひとつで、大概の女性は緊張をほぐし、満面の笑みになる‪(P.12)
    店員が、ニコリと笑う。
    が、その目はどこか冷めている。
    その冷たさに、沙知は身を竦めた。(P.15)
    この年頃の女の子の無邪気さに勝てるやつなんて、この世にいない。(P.23)
    まるで、自分の中に、もう一人自分がいるような感覚だった。そのもう一人の自分が、自分の後ろに回り、二人羽織のごとく自分を操っている。それとも、もう一人の自分こそが、本当の自分なのだろうか。自分が封印した、本物なのだろうか。(P.128)
    「嘘は、一概に悪いと言い切れない。嘘で救われる人もいる。‪"恨み"もそうよ。恨みの対象を具体化することであなたが救われるというなら、私は止めない。(P.159)」
    例えば、女はなぜ自身の"姿"に拘るのか。それはずっと選ばれる立場だったからだ。より条件のいい男に選ばれるためには、より艶かしい姿で男を誘わなければならない。
    例えば、女はなぜ"妄"をつくのか。それは、ずっと男をつなぎ止めることだけを考えてきたからだ。男の気を引くために、ときには死んだ振りもする。
    例えば、女はなぜ"妬む"のか。それは、ずっと男の移り気に悩まされてきたからだ。自分が捨てられる前に、"石"でライバルを打ちのめす。
    例えば、女はなぜ"母"になりたがるのか。それは"奴隷"の立場から抜け出せるたったひとつの道だからだ。(P.186)
    そうか。猫には"今"しかないのか。人間もそうだったらなんと楽だったか。
    過去の後悔に引きずられ、未来の不安に囚われて。どちらも、幻影のようなものなのに。(P.203)
    「そうですね。世の中、結局は不真面目な人のほうが成功するようにできているのかもしれません」(P.235)

  • 公園でホームレスの女性が殺害された。犯人も殺された理由も不明…

    さっちゃんの事件を探っていくうちに、何人もの人生を見た感じ。ぎっしりぱんぱんに詰まっていて読み応えがあります。


  • ただ真面目に生きてきたはずなのに、
    上手くいかないハズレくじばかりの人生。

    時代ガチャ。
    世代ガチャ。
    親ガチャ。

    何が悪かったのか、
    何が違えば自分は幸せになれたのか。

    夜更けの公園で殺されたホームレスの女性。

    さっちゃんが死ななければならなかった理由と
    誰がさっちゃんを殺したのかを複数の目で
    追っていく物語。


    イントロダクションの語りがラストやっと
    回収されたと思いきや、まだ仕掛けが…。

    後半で話が終わっても物語として成り立つのに、
    最後の最期に仕掛けが残されてる所に、改めて
    どこまでも読ませる小説だなぁと感じました。

  • 登場人物が多くて彼らが微妙に重なって、それぞれの語る事に裏付けられたり、思っている方向とは違うよと軌道修正されたり。最後の最後まで翻弄されたのが、なんとも心地よかった。
    今回も真梨幸子さんにやられました。だから真梨さんの本は好きなんだけど。これだけごちゃごちゃしてるのに一本の筋道を迷いなく、伏線全てを拾ってラストを迎えてイヤミス超えて爽快感しかありません。

  • ほほぅ、そうきたかぁという感じ。
    語り手が代わりながらホームレス女性殺害事件を追っていく。そしてタイトルの通り、さっちゃんはなぜ死んだのか?
    大きな拾い漏れはなかったけど、細かな部分が気になって読み終わってからパラパラと再読、あぁたしかに。
    もしかしたら、あなたがさっちゃんだったかもしれない、とも、容疑者の方だったかもしれない、とも。時代ガチャとは、そういう言葉もあるのかな。
    118冊目読了。

  • 登場人物か多く何度か戻って読み返す
    事が多かった
    最後も、もやーっとした終わり方に感じました

  • 下世話なタッチで一人の女性の転落を追っていくのですが、登場人物が色々切り替わって行きながら次第につながっていくのが楽しい。楽しいというのは語弊があるかもしれませんが、実際コミカルに描かれているのでサクサク読めるし、ブラックユーモアに満ちていると感じました。
    現代の貧困に関しては数多くの小説、ノンフィクションがテーマにしていて、いつ自分もそうなるか分からないという不安の中でみんな生きています。一度道を踏み外すと元の道に戻るのがとても難しい。
    でもこの本のさっちゃんは実は不屈の女なので、読んでいて悲壮感が無くてその辺が楽しいと感じてしまう所なのかも。
    そして、色々ちりばめられた違和感が次第に集約して、最後はゾッとさせるという所で満足感のある読書でした。

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著者プロフィール

1964年宮崎県生まれ。1987年多摩芸術学園映画科卒業。2005年『孤中症』で第32回メフィスト賞を受賞し、デビュー。2011年に文庫化された『殺人鬼フジコの衝動』がベストセラーとなり、”イヤミス”の急先鋒として話題に。2015年『人生相談。』が山本周五郎賞の候補となる。そのほかの著書に、『5人のジュンコ』『私が失敗した理由は』『カウントダウン』『一九六一東京ハウス』『シェア』など多数。

「2023年 『まりも日記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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