年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065299289

作品紹介・あらすじ

平均年収443万円――これでは普通に生活できない国になってしまった……ジャーナリストが取材してわかった「厳しい現実」

平均年収の生活、いったい何ができて、何ができないのか?

昼食は500円以内、スターバックスを我慢、年間収支で残るのは30万円、月1万5000円のお小遣いでやりくり、スマホの機種変で月5000円節約、ウーバーイーツの副業収入で成城石井に行ける、ラーメンが贅沢・サイゼリヤは神、派遣より時給が低い正社員、子どもの教育費がとにかく心配……

「中間層」が完全崩壊した日本社会の「本当の危機」とは?

【目次】
■第1部 平均年収でもつらいよ

●毎月10万円の赤字、何もできない「中流以下」を生きる
神奈川県・斉藤慎太郎(48歳)・年収520万円
●「私は下の方で生きている」コンビニは行かず、クーラーもつけない生活
東京都・米田美鈴(35歳)・年収348万円(世帯年収1000万円)
●不妊治療に対する不安…夫婦で月16万円の生活費、「リーマン氷河期世代」の憂鬱
北陸地方・吉川耕太(33歳)・年収450万円
●教育費がとにかく心配…昼食は500円以内、時給で働く正社員
東京都・坂本由香さん(44歳)・年収260万円(世帯年収1000万円)
●三人の子育てをしながら月13回夜勤をこなす看護師の激務
北陸地方・鈴木晴男(42歳)・年収670万円(世帯年収1300万円)
●夫婦で手取り65万円、「ウーバーイーツ」の副業でちょっとした贅沢を実現
東京都・葉山徹(41歳)・年収660万円プラス副業(世帯年収は約1300~1500万円)

■第2部 平均年収以下はもっとつらいよ

●月収9万円シングルマザー、永遠のような絶望を経験した先の「夢」
東海地方・池田真紀(41歳)・年収120万円
●子どもに知的障がい、借金地獄…マクドナルドにも行けないヘルパーの苦境
茨城県・田村理恵(38歳)・年収48万円(世帯年収400万円)
●コロナ失業…1個80円のたまねぎは買わない、子どもの習い事が悩みの種
北海道・加藤香(29歳)・年収180万円(世帯年収540万円)
●共働きでも収支トントン、賃金と仕事量が見合わない保育士
東京都・川崎陽子(40歳)・年収300万円(世帯年収700万円)
●何もかも疲れた…認知症の母との地獄のような日常を生きる非常勤講師
埼玉県・松田彰人(56歳)・年収200万円

■第3部 この30年、日本社会に何が起きたのか?

感想・レビュー・書評

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  • タイトルに惹かれて買いました。著者は私と同じ年齢。いわゆる就職氷河期世代。日頃から日本の経済状態についてや、給料が上がらないこと、親の世代と比べてどうなの?などの疑問がたくさんあったので興味深く読みました。ボーナス時期などにニュースを見て、「我が家は二人で働いて『平均年収』は超えているんだから将来も大丈夫なはず」と漠然と考えているけど、そもそも平均年収が低すぎるなら、大丈夫じゃないってこと…?え?でも、平均年収でも大丈夫じゃないということは、将来、私たちの世代のほとんどが路頭に迷うってことじゃない!?

    本書は、ほとんどの部分が「生活が苦しい」と感じている人の生活実態を取材したルポ。第1部は平均年収の人たち。第2部は平均年収を大きく下回るパートタイムのシングルマザーや、大学の非常勤講師など。読んでいてぞっとしました。
    まず、よく「ブラック企業」とか「パワハラ」とか聞くけど、ほんとにこんなことあるんだ、っていうルポの内容。
    SNSなどで面白おかしく書かれるのは、あんまり信ぴょう性がないと思っていたけど、この著者のルポなら裏付けもあるし、信頼できる。
    あと、保育士や看護師、介護士の仕事のきつさ、給料や待遇の悪さも衝撃だった。電車の運転士など、子どもが憧れる職業で正社員でも給料が低すぎて、家計を支えられるレベルではないことにもびっくり。
    世の中の多くの人が、真面目に働いて当たり前の普通の生活を手に入れられないって、どうなの?
    そして最近他の本でも読んで、不安だなぁと思うのが、もう、次の世代は「親の生活レベルを超えられない」のが当たり前の状態であること。
    私が子供のころは、家は決して裕福じゃなかったけど、これから良くなるという希望があった。親は、自分が一生懸命働いて子供を進学させたら、自分たちよりも豊かな未来が待っていると信じたからこそ、一生懸命働いて子供を学校に行かせた。今、私も一生懸命働いて子どもの将来を考えているけど、確かにこれからの日本が不安すぎる。

    第三部は著者の原体験と、現状のデータ分析、解決策はないのか、など。私と同じ年で、大学卒業後の就職に苦労したりした話はすごく共感した。私も大学を出たとき就職がなくて、2年間いわゆる非正規雇用だった。その後無事に就職して、ものすごい長時間労働で病みそうになったけど、上司のパワハラとかがなかったことと、福利厚生がちゃんとしていたこと、産休・育休が取れたことで、辞めずに働き続けることができた。これは本当にありがたいことなんだと実感した。これが特別なことではなく、どんな職場でも、男女関係なく実現されるべきだと思った。

    職場で、働く人を大切にするっていう、本当に基本的なことが、そんなに難しいことなのだろうか。一部の人たちが、自分の利益だけを考え、政治家がその場しのぎの政策を連発し続ける限り、日本は終わりだと思った。
    夫の収入が全然増えなくて、少々不安だが、夫の会社もコンプライアンスはしっかりしているし、子どものために有給をしっかりとってくれるし、コロナの時や必要に応じて在宅にしてくれたり、パワハラもなさそう?なんで、ぜいたくは言うまいと思った。それから、なんだか昭和にはなかったような意味不明な職業がもてはやされるけど、やっぱり日本の製造業を守ることが今後の日本にとって重要なのではないかと思った。夫は給料が安いけど、実態がよくわからない仕事ではなく、実態のあるものづくりに携わっているということが私の誇りでもある。給料のことはとやかく言うまい笑。二人で支え合って将来に備えよう。

  • 悲壮感を助長するだけの本な気がしてならない。考え方の問題じゃない?なんで格安SIMに変えるのとか、安いものを選択することで生きづらいみたいな話に持っていくのかな。通常のランチを切り詰めたいのはお金があってもする事じゃないの?毎日1,000円もするようなランチみんな行ってるの?500円でも全然不満も何もないんだけど。仕方なくニーサに入れてるみたいな話もあったような。副業して、ちょっとそのお金で贅沢できるとか。え?めっちゃみんな前向きに実はやりくりしてるだけでは?
    正直本の中に出てきてる前半の人たち本当に貯金が貯まらないのかよくわからない。それだけやってればその給与なら貯金に回ると思うのだけど。。。え?私がズレてるの?いくら貯めても不安ってだけじゃないの?
    国に文句言いまくってるけど、色々改善されてるところもあると思うんだけどなぁ。

    ただ、保育士さんや看護師さん、介護士さんの働く環境と給与水準が低い話は辛いなと思った。どこまで本当かわからないけど(と疑いたくなるレベルに批判してしまう。。。)

    人の話を鵜呑みにしない練習には良い本かもね。
    ここまでこき下ろしてすみません。

  • 腑に落ちる。
    ああ、そうなんだと。
    なんでずーっと苦しいのかなと思いながら生きてるけども、みんなそうなんだと。
    当人の語り口調だからよりリアル。
    でも、世帯年収1,000万円近くあるご家庭でもなんでそんなに苦しいのかな。
    上を見ても下を見てもきっとキリがなくて。
    どこか折り合いをつけながら生きるしかなくて。

    使わざるを得ないお金ではなくて楽しんで使えるお金が少なすぎるるから。
    対立構造を煽るのではなく、やっぱお上がどうにかしてくれないとどうしようもないとこあるよね。
    お金を使う人たちが、ちゃんと使えるように、経済回せるようにして欲しいもんだよ。

  • とにかく暗い話が延々と続く、気が滅入りそうになる新書。ただ、これが日本の現状であることは間違いない。あとがきに、「この現状に気づかずに、思考停止になってくれることが、為政者や経営者にとっては都合がいい」と書かれている。多分、その通りで、思考停止人間はこういう本を読むこともないから、ずっとそのままなんだろう。

  • オーディブルにて読了。
    久しぶりに酷い、と思う本に出会った。
    登場人物は言い訳と愚痴ばかり。内容はツッコミどころ満載で何度も笑ってしまったほど。
    悪いことばかり言って煽って、こちらの気持ちも暗くなる。TVのニュース番組みたい。
    底辺の生活〜とか言うよりは、中途半端な人たちが多かった。まぁ愚痴と言い訳ばかりだから、その程度の生活と人間性なんだろうけど。

    本って基本的にはすごいな〜とか、こういう見方があるのか、なとど尊敬しながら読むことが多いから、この本の余計ダメさが際立った。

    でも世の中のリアルな人々って、実際はこんな感じなのかもしれない。とも思わせてくれたので、初の星一つでは無く、その分一つ増やして星2つにしました。

    また、著者について軽く調べたが、写真の顔を見て納得。暗くて、文句ばかり言ってそうな顔。
    生き方、考え方って顔に出ると思うんですよね。
    少なくとも自分は、この人たちのように文句ばかり言って生きるのは絶対したくない、とあらためて決意した。

  • ひたすらに愚痴を聞かされているような気持ちになる1冊。介護問題などはまだ私もわからないところがあるので『そうゆう大変さがあるのか』と知ることができた。

    ただ、スタバのフラペチーノが飲めない、健康診断に行けない、奢ってくれる人としか飲みに行かないなどちょっと驚く。スタバのフラペチーノ、飲まなくても生きていけるし私も高いと感じてるから年に1回飲む程度。

    お弁当を作る時間がないなら白米をタッパーに入れて上に昨夜の残り物を乗せたらよい。節約になる。ふりかけでもよい。

    ないものよりあるもの、できないことよりできることに目を向けたほうが良い気がする。

  • 前半部分は日本の平均年収443万円ぐらいの人の実際の生活状況が書かれていますが、共働きで世帯年収1000万円ぐらいの話で、率直な感想は「思っていた内容とズレているな」と思いました。
    私は氷河期世代で確かに就職も苦労したし、ブラック企業に勤めて残業ばかりで疲れ果てていましたかが、かと言って1970年代の高度成長期やバブル時期を経験したかったのか?と言われると別にそうとは思いません。

    技術の進歩のおかげもあり、今の日本では安くて幸せに暮らすことができるようになりました。
    本書に「スタバのフラペチーノを我慢する」や、「お高い板チョコを買うのを我慢する」等の記載がありましたが、今やコンビニでどこでも作りたてのコーヒーや美味しいお菓子が安くで買える時代です。

    お金がないからあれが出来ない、これが出来ないと言っているように見えますが、上を見ればキリがないと思います。政府に今後もあまり期待できないので、自助努力で幸せに生きる方法を模索することが懸命かと思いました。他人と比較して劣っているから不幸だとか思わず、自分にとっての幸せとは何なのかを考えるいいきっかけにはなりました。

  • 30年前の就職氷河期、若者の非正規雇用化による人件費・社会保障負担削減のツケが回ってきた。雇用や所得の二極分化、中間層の崩壊。平均年収443万円、中央値は300万円。日々節約に励む生活のディテール、平均年収では「普通」の暮らしができない。

    人件費を削ると、消費者がいなくなる。安いものしか買われない。30年間も放置されて、今も放置されて。

  • 久しぶりにつまらない本を読んだ。
    世帯年収1,000万円前後の世帯のルポを複数読んで「お金の使い方とか家族のコミニケーション不足じゃない」と突っ込みたくなった。「日本は中流家系が減ってこれからどうします」と不安を煽りたいのか、いまいちな新書だった。
    それぞれの家庭のリアルが垣間見れたのは面白い。タイトルがキャッチーなだけに中身は駄作。

  • 2021年の日本の平均年収だという443万円がどんな暮らしかをルポした本。日本では中流階級がなくなっているというのは本当の話なんだなと。政治家はこの現状がどこまで見えてるんだろう。

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著者プロフィール

ジャーナリスト

「2021年 『POSSE vol.49』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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