- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065310403
作品紹介・あらすじ
「負ければニュースになる」ほど強い藤井聡太五冠。果たして史上最年少名人記録は更新されるのか? 現記録保持者にして第十七代永世名人となった著者が、さらなる進化を続ける藤井将棋と過酷さを増す将棋界のいまに迫るとともに、棋士・将棋界にとっての「名人」とはなにかを自らの経験も含め明かす。
構成
第一章 最高峰を極める
既成概念を覆す強さ、偉大な記録が才能を育てる、名古屋将棋対局場という追い風 etc.
第二章 王道の将棋
番勝負での圧倒的強さ、読みの速さと深さで「二度負ける」、棋士のピークは二十五歳か etc.
第三章 過酷な戦い
長く活躍できるのが名人の条件、ネット中継が将棋を変える、クラスによって変わる戦い方 etc.
第四章 「打倒藤井」戦略
王道に勝つための戦い方、藤井さんが強いから勝てた、若手ホープの追い上げ etc.
第五章 史上最年少名人への道
弱かったら負けたらいいんや、中原先生との挑戦者決定戦、弱い名人から並の名人に etc.
第六章 巨星の軌跡
木村義雄名人宅への訪問、大山康晴という巨大山脈、羽生世代という大きな塊 etc.
第七章 最前線の攻防
将棋が面白くなっている、すべての駒が守り駒と攻め駒になる、終わりのないAI研究合戦 etc.
感想・レビュー・書評
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個人的に尊敬する偉人の中に羽生善治がいるものにとっては、藤井七冠は目の上のタンコブ(良い意味で)。
将棋が好きで藤井七冠の試合も見るが、正直レベルが違う。
タイトル戦ではまず負けないのではないか。
何とか羽生九段に一矢報いてもらってタイトル100期を獲得して欲しい!
読み終わってそう思わずにはいられなくなった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
藤井新名人が破るまで40年間最年少名人の記録を保持してきた谷川17世名人による著。
あとがきにあるとおり「名人戦と藤井聡太をテーマに将棋界の過去から現在、そして未来」について考察されている。
将棋界における「名人」の重み、藤井新名人の異次元の活躍が切り拓く将棋界の未来、さらには谷川永世名人の人柄が伺われる好著。 -
藤井聡太五冠に関する記述がメインだが、谷川九段が名人になった頃の話や、亡くなった大棋士の思い出などが書かれている。興味深かったのは、藤井聡太五冠に、トップ棋士たちがどう挑んできたかについて書かれた部分。ある棋士は、藤井五冠に持ち時間を費やさせる方法を採り、別の棋士は、二番手、三番手の手筋を考えておき、優位な展開に持ち込むという。将棋ファンにとって、見る楽しみが増す本だと思う。
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半分以上谷川さん自身の話だった。
それが面白くないとかではないけど、タイトルの意味は⁇となってしまう。
ただ、防衛戦に対する考え方が"スーパーシードで決勝戦から出られる"から、"ありがたい"と思えるところに藤井さんの凄さが伝わってきた。
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藤井聡太さんの活躍にはいつも驚かされています。発言する言葉も、普段聞かないような言葉で表現をされたりと可能性の大きさが感じられます。将棋には疎いのですが、この本で棋士の方の心構えや大変さがよくわかりました。
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谷川浩司による藤井聡太論の2冊目。
中学生棋士で一世を風靡した天才棋士による分析は、藤井評以外も含め面白かった。 -
谷川浩司先生の藤井聡太先生本の第二弾。今回は藤井聡太先生の強さ分析以上に名人戦、順位戦における対局者の心理状態が細かに描かれていて興味深い。私が将棋を見始めた遥か昔の逸話などを知ることができて面白かった。月並みな感想だけど勝負においては実力が全てだけど、ある意味選ばれし勇者には運が味方したりするんだなぁと思った。
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最近AIに関するニュースを見たり、本を読んだりする中でテクノロジー化は抗えないとわかりながらも、AIを超える何かが期待できるとすれば藤井くんなのではないか(根拠はこの本の中でも語られるAI以上の読みから)と、期待を込めて何か知れたらと思い手に取ってみました。
藤井くんと言えばこのnoteが印象に残っております。(https://note.com/nagaifuuka/n/n8dcfe6d1ce49)
印象に残っているのは熱意やぼんやりとしたイメージで将棋界の知識は疎いです。
将棋のルールも知らなければ将棋界の話も全然知らず、羽生さんすごい、三月のライオン読んでるぐらいの知識な人間ですので、改めてこの本で、将棋界の歴史や棋士の気苦労、目指す境地、指し方の傾向などに触れてとても面白く人間臭く今の将棋界に興味が湧きました。
読みやすい文章というところも大きいと思います。
私が知識不足ゆえ存じ上げなかったですが、最年少名人の記録を持つ方が著者だったとは。棋士の方々は頭が良い(月並みな表現)ので文章もお上手なんですね。
藤井さんと豊島さんの対局の話を読み、『鬼滅の刃』の縁壱さんの台詞を思い出しました。
「道を極めた者が辿り付く場所はいつも同じだ」
将棋を極める者はみな、言葉を直接交わさなくても盤上でのやりとりを通して、その高みへとお互いを引っ張り合い目指しているんじゃないかと思えました。
将棋は一人ではできないからこそ。
藤井くんほか棋士の皆様が将棋の研究にAIを使用していることすら知らなかったので、衝撃ではあったが、AIが示す最善手と棋士が繰り広げる手は異なるのだろうなとなんとなくわかった。温度が伴うか否か。比喩だけれど、でも、実際に打つ人からすればその違いや面白みあがるのではないかと。
藤井さんのこの先が楽しみだなとは思っていましたが、まさか彼自身が「棋士のピークは25歳」(その真意は詳しくは本を、、)という考えだとは知らず近いうちにさらなる進化が見れるのかととても楽しみになりました。
若いうちから、先を見据えて周りの評価に左右されず自分の信じる道を突き進むその姿は、記録の結果だけでなくインタビューなどの人となりからも刺激を受け窺い知ることができます。
将棋が一人でさせないように、将棋界も藤井くん一人で盛り上がっているわけではなく、藤井くんを中心に傑物たちが物語を繰り広げているのだな、すべては神の一手(ヒカ碁…)を極めるために…
この本を読んだ後、ふと新聞でアマチュア棋士の方の編入試験合格のニュースが目に入りました。本を読んだことで、新たな世界の一部を知り意識が向くようになったのを実感しました。
将棋についてよく知らない人でも読みやすい良い本でした。
ただ将棋独特のルールや戦略の呼称、そして棋士の方々の読み仮名がわかりませんでしたのでルビを振ってもらえたら嬉しかったなと思いました。。