今を生きる思想 マルクス 生を呑み込む資本主義 (講談社現代新書)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065311967

作品紹介・あらすじ

資本主義が地球を包み込み、圧迫させ、ついには人間を窒息させてしまう現代社会。「包摂」という概念からマルクスの思想を読む決定版!

感想・レビュー・書評

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  • audible 。白井聡さんのマルクス入門書? 難しいけど大切なことだ。世の中では「包摂」という言葉がさも大事なこととして使われるが、働く者を取り込む資本の側が都合よく使うことには抵抗しなくてはならない。有名なトヨタのやり方がどれほど労働者を苦しめていることか。
    もっと勉強しよう。

  • ●マルクスの資本主義把握の最大の眼目は、それが際限なく、深化すると言う性格をその本質として持っているということ。その深化を近代の人類は「進化」だとみなし、言祝できた。
    ●マルクスは1818年現在のドイツで生まれる。マルクス家はユダヤ系であり、代々ラビ(ユダヤ教の聖職者)を務めてきたが、自由主義思想から影響を受けた父は、プロテスタントに改宗した弁護士だった。
    ●労働の仕方、指揮や命令、意味など、人間にとって働くことの在り方全般が、資本主義のもとで全面的に作り変えられ、その結果、人間がその生産物によって支配されるようになる、という事実。

  • マルクス難しいーーーー

    ・資本主義の崩壊を予言

    ・剰余価値を提唱

    ・労働価値説を展開 商品の価値が商品に費やされる労働時間によって決定されるという考え方

    ・政府の計画経済を提唱

    計画経済とは、資源を国有化し、中央政府の意思のもとであらかじめ策定した計画に基づき、資源配分をおこなう体制のことです。とくに、マルクスは恐慌時に銀行や工場などを国有化して対処することの必要性を説いています。


    マルクスの思想を学ぶことで資本社会のデメリットを学ぶことができる。

    労働者は、貨幣により自由を奪われ、労働によって価値が生まれた広告やブランドから欲求を促進され、経済は回るが、それは幸福とは結びついていない。
    剰余価値が生まれることにより労働者は搾取される。
    資本者しか、裕福になることはできない。

    労働力=賃金
    賃金→生活費
    一生働くサイクル

  • むずいぃぃ
    しかしなるべく分かりやすく書こうとしていることが伝わりました。

    資本の他者性
    資本とは人間にとって味方ではなく他者である
    つまり、人間が幸せになるために存在している訳ではないということ
    ただただ無限の価値増殖だけを目的にしている
    そして私達人間はいつのまにかその目的の手段となっている

    本来は人間の生活をより豊かにするものだったはずだが、今や新たな欲求を生み出すことでしか維持できない仕組みと理解した
    新たな欲求とは幸せを享受するものとして必要のない欲求

    頭の中整理するだけで精一杯だ
    但し、良いもの読んだ!

  • 包摂、フォーディズム、自分にとって初めての言葉や概念が多く、面白かった。封建社会当時の働き方、仕事観と現代の違いが分かりやすく、現代の感覚からするとひどい労働環境が常識だったのだなあと思った。マルクス主義、資本論の原点。

  • コテンラジオのマルクス回に続けて読んだけどやっぱりマルクスは難しいですね。商品、価値、資本…と一つ一つの定義や論理にはなんとか付いていけてる気がしつつも全体感はなかなか落とし込みにくい。まぁまだ入門の入門レベルだから仕方ないですが後半で紹介されていたマルクスの言う「包摂」の概念については本書で初めて知ったのですが、興味深かった。白井さんが例示していた共感や感動などの感情すらも資本主義下では商品と化してしまうという点は非営利組織の支援に関わる身としてもっと深めて考えてみたいと思えた。

  • 読む前からなんとなく言うことわかりそうな組み合わせなのですが、読んで良かった本でした。
    共産主義や革命のところに重点を置かず、資本主義の問題点の分析としての資本論の素晴らしさに重きを置いているように思えました。現代でも色褪せない、とても素晴らしい知見であると感じました。包括、阻害などキーワードを通して話してくださるのも、界隈の人の語源を知る上では役立つものと考えました。
    個人的には資本主義の分析については文句なく素晴らしいと感じるのに、その後共産主義革命に至る理論が成り立っているのかよくわからないのは、僕の修行が足りないのかなと。

  • 資本主義が行き詰まりを見せているのは周知の事実だが、本書はさらに一人ひとりが資本主義の包摂に取り込まれ、人間が自由に生きる判断力を失っていることを指摘する。そら恐ろしい状況である。早く抜け出なければ。

  • めちゃくちゃ分かりやすい。本自体薄いのに内容はとても濃い。
    簡単すぎないので、斎藤幸平『ゼロからの『資本論』』や白井聡『武器としての「資本論」』のあとくらいに読むと、良い具合に脳みそが鍛えられそう。
    ラストの章は、ザ・白井聡。

  • 『資本論』を解説しつつ、マルクスの分析した「資本主義とはなんたるか」を解いた一書。もちろんマルクスの思想全体を網羅したものではないが、資本主義の本質をめちゃめちゃ分かりやすく伝えてくれている。終盤、資本主義への憤りと、資本主義に包摂されている(己れを含めた)地球があまりに哀れになり涙した。やはり資本主義は悪である。

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著者プロフィール

1977年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。一橋大学大学院社会学研究科総合社会科学専攻博士後期課程単位修得退学。博士(社会学)。思想史家、政治学者、京都精華大学教員。著書に『永続敗戦論─戦後日本の核心』(太田出版/講談社+α文庫)、『武器としての「資本論」』(東洋経済新報社)など。

「2022年 『撤退論 歴史のパラダイム転換にむけて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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