レーエンデ国物語 夜明け前

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 1011
感想 : 39
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  • Amazon.co.jp ・本 (600ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065351987

感想・レビュー・書評

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  • 今までの3巻の積み重ねが、ここにきて響いてきた。時代的にもそこまで離れていない2巻3巻の内容が、大々的に活動するわけではないけれど、確実に受け継がれている。

    今作もレオナルドとルクレツィア兄妹、ブルーノやノルン、新聞記者のビョルン、イザベル様……魅力的なキャラクターが登場する。もう本当に、みんな幸せになれ!と思いながら読んでいた。
    中でもステファノ。登場時こそなんか嫌なやつだなと思ったけれど、物語が進めば進むほど、彼を嫌いになれない。

    エールデが生まれて380年近く、テッサが亡くなって250年近く、「月と太陽」が上演されて90年近く経つ。
    2巻でテッサが感じた「教育」の必要性。時間はかかるけれど、少しずつ種をまいてここまで来ている。
    3巻のリーアンとアーロウの魂は、今だにレーエンデ人だけでなくイジョルニ人の心も揺さぶっている。
    さぁ、いよいよ革命の時!レーエンデに自由を!!

  • レーエンデの革命の物語もいよいよ終盤間近。
    「夜明け前」と題する通り、最も暗い時代のレオナルドとルクレツィアの兄妹の革命はこれまでと同様、もしくはそれ以上に壮絶で切なすぎた。どこかシリーズ第二部「月と太陽」の男女逆転版のような構図がありながら、あの頃より時代が進んでより不自由が長く、絶望が深くなったレーエンデがどうなっていくのか、目の離せない展開だった。

    神の御子やライヒ・イジョルニの予言書など、このシリーズを通しての核心に触れる部分もあり、一作目から連綿と物語がつながってきたことをしみじみと感じる。
    これまでの中心人物たちも、「レーエンデに自由を」という言葉を胸に、それぞれの使命を果たしてきた。
    そして今回のレオナルドとルクレツィアが目指した「自由」は同じでも、それぞれが負った使命は光と闇の道。特に闇と地獄の道でも、個の幸せや心を捨て、悪役に徹したルクレツィアの覚悟たるや、可憐な見た目からは想像もつかない強さを秘めている。二人が共に暮らした幸せな短い時代があったからこそ、その後分かたれた道を征く兄と妹の運命の過酷さに胸が締め付けられるようだった。
    追い詰められたレーエンデが本当の自由を手にする日は近いのか、これまでの歴史を感じながら読み終え、最終巻への期待も高まっている。

  • 第4部「夜明け前」も命を懸けた愛と信念の壮大な物語で本当に最高でした。
    義兄妹の愛情と互いの正義。何が正しさで、何が悪なのか。守りたいものが違う故に正義も違う。最終目的は同じなのに全ての闇を背負おうする妹とこの世の絶対悪を許さない兄。この2人の関係の切なさには涙した。朋友関係のブルーノとレオナルドのやり取りも面白さからかっこよさへと変わり、互いを思いやる気持ちに感動した。

    あーみんな救われて欲しかった。みんなに幸せになって欲しかった。でも自由になることはそんな幸せだけじゃだめんなだ思い知らされた。
    正義や正しさについて沢山考えた1冊だった。
    ちょっと長いけど面白くてすぐ読み終えた。

    早く次作が読みたい。

  • 本を閉じてベッドに入るのだけど、続きが気になってしょうがなくて、結局布団にくるまりながら夜更かしして続きを読む。子供の頃何度も過ごしたそんな贅沢な夜を、大人になった今も過ごせるなんて。この物語に出会えて私は幸せ。
    レーエンデに自由を。
    祈るような気持ちで最終巻を待ちます。

  • #読書記録

    #レーエンデ国物語 〜夜明け前〜

    前3作が築いた世界観の土台の上で、物語は終末に向け爆走を始める。しかも一気にファンタジーになってきた。毎回過酷な運命を持つ、陰と陽の対になった主人公が登場するけど、今回の兄妹の選択には更に胸が詰まる。

    #読書好きな人と繋がりたい
    #読了

  • 夜明け前が一番闇が深いとはよく言われる話だが、レーエンデのために闇と光を担う異母兄妹。
    二人はそれぞれの正義を胸に革命を起こそうとする。
    正義とは一つではない。何なら人それぞれ正義があると私は常々思っているけれど。
    次巻で完結と予告。寂しい。

  • レーエンデ国物語4作目。
    レーエンデの未来のため、兄レオナルドと妹ルクレツィアはそれぞれの役割を全うする。
    これまでの話で謎だったところや解釈を間違っていたところが解き明かされ、すっきりした。
    特にルチアーノ!!驚いた!!
    レーエンデを救うためとはいえ、ルクレツィアが冷血の魔女となりレーエンデを蹂躙していく様は読んでいて辛かった。
    冒頭を読んだ時点で分かっていたけど、最後はやっぱり悲しい、切ない…。
    2人が守ったレーエンデ、革命がどのような結末を迎えるのか次作を楽しみに待とうと思う。

    ✎︎____________

    俺はレーエンデを愛している。この心臓に手を置いて誓う。これからもレーエンデを愛すると。永遠に変わることなく、レーエンデ人の善き隣人であり続けると。(P55)

    失敗を恐れてたらなンも出来ねぇ。やりたいことがあるンならグダグダ言わずに突っ走れ。人の目なんか気にすンな。お前がやりたいようにやれ。(P129)

    どんな理由があろうとも、人命を奪うことに正義はない(P403)

    正義っていうのは欲望を粉飾するための方便だよ。十人いれば十通りの正義がある。正義を突き通すって言えば格好いいけど、それは他の正義をねじ伏せるってこと。最後に残った正義はもっとも強いというだけで、正しいとは限らないんだよ(P417)

    自由は強制されるものじゃない。与えられるものでもない。自分の足で立ち上がり、自分の手で勝ち取らなければ、本来の意味を失ってしまうものなんだ(P437)

    誰かにとっての正しさは、誰かにとっての悪になる。絶対悪である人殺しですら、場合によっては正義になる。(P529)

    正義はひとつではない。人間が唱える正義は立場によって異なる。数多の正義が潰し合うことなく同時に存在すること。それこそが平和の証明なのかもしれない。(P566)

  • “レーエンデ国物語”の核心に……。
    武力という武器、芸術という武器で
    これまでユリアとトリスタンが愛したレーエンデを守り繋いできて、今回は経営という武器で闘ったレオナルドとルクレツィア兄妹。
    途中悪の魔女に近づくルクレツィアに頭を抱えて
    何を考えてるかわからず怖くなったけど、
    終盤に向けて本当の目的が語られて震撼。
    あーーーーーー!!!!!
    どうして二人がこんな業を背負わねばいけないのか!!!
    二人はレーエンデに自由を求めて、
    それぞれの正義で戦って、とうとう夜明け前まで来た。
    ただ夜明け前が1番暗いんですよね、、、
    あぁもう皆が救われてほしいそれだけなのにね、、、
    そして今回は最後まで語られなかったレオナルドのその後!!!
    最終巻『海へ』早く読みたくて仕方ない……!!!

    寝る間も惜しんで読み続けて
    ずっとこの世界観に浸ってしまって、
    読んでない時もレーエンデのこと考えてしまう〜
    こんなにのめり込んだ読書久しぶりで嬉しい。
    それと同時に間も無く完結なのが寂しすぎる…!
    革命を起こしてきた全員が報われる結末でありますように!

  • 誰かにとっての正義は、捉え方によって誰かにとっての悪になる。
    レーエンデのシリーズは読む度に、気付かぬうちに世界観に入り込んでいて、読み終わったあとはいつも心にぽっかり穴が空いた感覚になります。
    次巻はどんな終わり方になるんだろう…

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著者プロフィール

2006年、『煌夜祭』で第2回C・NOVELS大賞を受賞しデビュー。著書に「〈本の姫〉は謳う」、「血と霧」シリーズなど。

「2023年 『レーエンデ国物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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