太陽のない街

著者 :
  • 主婦の友社
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784072643020

感想・レビュー・書評

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  • 柳瀬正夢のカバー絵です。この絵は学生の頃、教科書で見た記憶があるのですよ。
    絵の男はハンマーを担いで、一体何をする心算なのか。全身から怒りが伝はりますが、男の表情からは何ともいへぬ哀しさが見えます。とにかく印象に残るカバー絵であります。
    ごく最近、古本屋にて本書を発見し、教科書以来の出会ひを果たしたのであります。主婦の友社から復刊してゐるとは知りませんでした。しかも文庫本ですよ。即購買したのであります。プロレタリア文学といふことで、本日のメーデーに合はせた訳ではございません。

    『太陽のない街』は、1926年の「共同印刷争議」を小説化したもの。作中では「大同印刷」となつてゐます。
    会社側が労働者をリストラしたことを発端に起きたストライキであります。リストラの目的が労働組合の無力化にあつたことが明明白白なのでした。
    最下層の人々が蠢くやうに生活してゐる「谷底の街」、即ち「太陽のない街」だといふのです。そこで生活する高枝・加世の姉妹を中心に争議の様子を活写してゐます。当時は思想的な制約が多いので(命がけ)伏字が多いのですが、それでも自ら絶版にせざるを得ませんでした。

    人物が十分に描かれてゐないなどの評も聞かれますが、本作の目的を考へればその問題は小さいでせう。おそらく作者はノンフィクションとして書きたかつたのではないでせうか。時局柄それが許されず、小説といふ形をとつたのだらうと想像してゐます。ま、この想像は外れてゐるかも知れませんが。

    『蟹工船』を読んだ皆様には、こちらも読んでみてくださいと申し上げます。

    http://genjigawakusin.blog10.fc2.com/blog-entry-130.html

  • 「プロレタリア文学」の最初に読んだ作品です
    当時の労働階級の鬱屈さや、気概などが伝わってきました
    左右思想やルサンチマンなど、今よりももっと圧迫していた時代だったんだなあ、と
    自分は何となく安部公房の「飢餓同盟」を髣髴させられました

    あと言われている人物像は、確かに感じたかなあと
    人物のドラマっぽさでは無く、その社会を見るのがプロレタリア文学なのかな?まあ、それが顕著でした

    あと結構読むの疲れました。頭悪いだけだと思いますが

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