傾国の美姫 (コバルト文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784086013994

作品紹介・あらすじ

容姿が醜いために村人たちから蔑まれ、苦しい毎日を送る秀瑛は、ある日、不思議な鏡を拾う。人の言葉を話し、ときに妖しいほど美しい青年に姿を変える鏡は、「願いの重さの分、命を差し出すなら、どんな願いも叶えてやる」と誘う。悩んだ末に、秀瑛は寿命10年と引きかえに、絶世の美貌を手に入れるのだが…!?不思議な鏡を手にした少女の波乱の人生を描いた、2009年度ノベル大賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 少し前の本ですが、気になっていたので購入しました。
    不思議な鏡を中心に、数奇な?運命をたどる二人の少女が主人公(短編?で二話収録されています)で、何というか、少女文庫にはあまりない(?)感じのリアルな人間模様が描かれてるなってのが初めに抱いた印象でした。十二国記みたいな雰囲気で私としては好み。
    やや説明口調が多いのでそこは少しうーんとなりましたが、著者の初めての本だとのことですし、救いのない状況にちゃんと主人公を追い込んでいる辺りはすごいなと思うので、☆4つで。

  • 短編が2つ入ってますが、「傾国の美姫」が2/5、「奏でるは龍の歌、興国の調べ」が3/5くらいのボリュームです。どちらも面白かったので、もうちょっと話を膨らませて各1冊で読みたかったです。

    <傾国の美姫>
    村人からさげすまれるほどの容姿というのが気になるところですが、10年の寿命と引き替えに絶世の美貌になった秀瑛。私なら、5年の寿命くらいで、何をどんなに食べても絶対に太らない身体が欲しいなぁ、なんて。

    美貌を手に入れ、あれよあれよとその美貌を目的にたらい回しにあってしまい、最終的には王太子妃に登りつめますが、最初は贅沢する秀瑛とそれにお小言言う王太子楊安。

    しばらくして、折角気持ちも通じて子供もできたというのに、楊安の留守の間に好色な王が秀瑛を寝所に連れ込もうとしたことが、不幸の始まり。このオヤジ、息子の留守に息子の嫁に手を出そうなんて、ほんと腐ってますね。不思議な鏡、蘇千のおかげで、王をだまして、閨を共にはせずにはすんだけど、帰って来た楊安も王と同じくだまされてしまってて、秀瑛が伸ばした手を楊安に振り払われたシーンは泣きます(T.T)

    その後は全く顔をあわすこともなくなってしまったのに、秀瑛は楊安を思い、負け戦と分かっているのに出兵した楊安のため、命を削り、国の勝利を願います。でも、ここに落とし穴。戦には勝ったけど、楊安死亡。自分の願い方に間違いがあったと分かったときの秀麗の気持ちを考えると・・・。

    最後の願いとして、自分の命と引き替えに楊安の命を少しだけ戻すように願いましたが、それに加えて、自分の美貌が元の顔に戻ってしまうって分かってもためらわず、ただ愛した楊安のためを思っての秀瑛の決断。自分を顧みなくなった相手に対して、なかなかできることじゃないです。

    秀瑛の死の間際、楊安が再び訪れ、楊安に看取られたとき、きっと、本当に幸せだったと思います。
    ハッピーエンドではないですけど、心がきゅってなりました。

    <奏でるは龍の歌、興国の調べ>
    話は、楊安と秀瑛の子供、恵王の子供である栄王の時代です。
    秀瑛の養父だった呂氏は政争に負けて、没落してしまってますが、不思議な鏡は、元宮廷弦楽師の華夕の元に。でも、命と引き替えになると、なかなか願いを出せない。

    酒場で働いているところを里葉に弦の腕を見込まれて、もっと割のよい仕事があると連れて行かれたのは、自分をこんな境遇に落とした、呂氏の城。その事実に反発しながらも、だんだん、お互いに惹かれていき、最後には、華夕の演奏によって、戦に勝利。(どうやって勝ったか謎ですが)

    こっちのお話では、最後はハッピーエンドでしたが、ちょっとだけ、主人公二人より、大人ぶった俊央が好きでしたね。

  • つまらなくはない。というか手堅い展開だと思います。でも何か消化不良というか、今時のヒロインぽくなく受け身というか…?設定自体はありそうでなかった気がするので好み。

  • 2009年ノベル大賞受賞ということでしたが、最後はちょっと感動する部分はあったものの、前半が全然感情のらなくて辛かった…。

  • 悪くはない。だが、はっきり言って物足りない。悪くはないということがよかったということではない感じ。
    大体、ヒーローがいけ好かない。何だこの男。ムカつくことこの上ないのだが。ヒロインが惚れる要素がまるで理解できない。そのうえ、その男のために命懸けるって理由が全く汲み取れない。これは短編だから、という以前の問題だろう。キャラに魅力がない。誤解の果てのすれ違いで悲劇という要素はいいのだが、すれ違うまでのエピソードが少なく、そうなるに至る流れが全く共感できない。だから、ヒーローがムカつくんだろうと思う。
    表題作よりも、もうひとつの続編の方がマシだったかな。こっちの方がヒーロー・ヒロイン共に書き込みがあり、そうなる流れを理解できる。
    表題作は新人賞受賞作品のようだが、もう少し書き込みを深くして、文庫一冊分にまとめてから発行の方がよかったのではないかと思われる。

    と言うか、コバルトの新人賞はだいぶレベルが低くなったなぁ、というのが印象。

  • どんな願いでも叶えてくれる鏡。
    けれど代償は、己の命。

    昔話か何かで出てきそうな話です。
    醜い娘は、傾国できるほどの容姿を手に入れ
    己の才だけで生き抜いてきた娘は舞台を手に入れ。
    ちなみにもらえるならば、健康的な体が…w

    内容は面白くて読みやすかったですが
    全体的に説明文っぽいです。
    そして淡々と進みすぎです。
    書きなれていけば、もうちょっと柔らかくなるかな? と。
    ネットでよく見かけるような書き方でした。

  • 2009年度ノベル大賞佳作受賞作。
    本誌で「傾国の美姫」を読んだときは、100枚のなかにあれこれ詰め込みすぎて展開が早い&その分描写が薄い、主人公になかなか感情移入できないと思っていました。
    ただ、「不思議な鏡」や鏡の精の命鏡蘇千というキャラは、とってもファンタジックで素敵だと思いました。
    そういうアイテムってラノベではすごく大事だよね。
    自分がもしその鏡を手にしたら……?という想像がかきたてられて。
    うん、アイテムって本当に大事。参考にしたいです。
    文庫化されたときも、買うかどうか実は迷ったけど、二篇目をどう描いているのかが知りたくて購入。

    その二篇目「奏でるは龍の歌、興国の調べ」。
    うん、すっごくよかった。
    作家さんの才能がブラッシュアップされた印象をすごく受けましたね。
    プロになったという自覚、編集さんからのアドバイスなんでしょうけどね。
    受賞作の選評にあった「主人公を酷く扱う勇気」を身に着けているし。
    何より、ストーリーがめっちゃコバルトの王道!コバルト色に染まってる!
    何かの目標を抱えながら頑張って生きてる元気な女の子、ときには失敗もあるけれど、恋愛をしたり、様々な事件を通して成長していき、最後には一つ突き抜けた女の子になってる。というもの。
    ああ、やっぱわたしコバルト好きだ!と思いました。
    ずっと読んできたコバルトの物語だもん。
    夢野リコさん、要チェックの作家さんになりました。
    次はどんな物語を書かれるのでしょうかね。

    ただ、気になったのは、「男」とか「女」とか登場人物の名前をあえて書かないで想像させるように書いている部分が多いこと。
    ストーリー上、だいたい誰か分かるし、その後名前が登場するからいいんだけど、そういうのって読むのがしんどい。カッコつけてるんだろうし、そういう書き方が有効な場合もあると思うけど、完全にその「とき」を間違えてる気がします。
    「急に説明を繰り返したり、区切ったり、一人連載仕様を呈している」と選評にありましたが、そこは直っていない様子。

    二作目でよかったのは、二胡をイメージしているという「龍歌弓」という楽器ですかね。ここでもやっぱり特別アイテム。いいなあ。
    あと、一作目の「傾国」の悲劇に対して、二作目は「興国」で前向き姿勢、対になっているのもいいですね。

    7月のコバルトさろんによると、重版がかかったそうな。なるほど。面白いもんねー。

  • 望みを叶えてくれる鏡を手にした女たちの物語。これはよかった。特に美しさを望んだ女の話は、切なかった。温かさを得られず、悩みながら、それでも恋した人のために……最後はハッピーエンドだと思いたい。

  • 内容が気になったので買ってみたのですが、普通の乙女系ライトノベルよりもラブ要素が少なめでストーリーも割としっかりしていて面白かったです。設定だけを見たら「ありがちだな」と思ってしまうのですが、予想外。

  • 2010/04/18:寿命と引き換えに願いをかなえる鏡を題材にした中華風ファンタジー2編。
    展開が早くて感情移入しにくかったのがやや残念でしたが、読みやすかったです。
    今後も楽しみです。

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