シンデレラ迷宮 (集英社文庫 52-L)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784086105743

感想・レビュー・書評

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  • 「朝、目覚めたら、あたしの部屋とは似ても似つかぬやけに古びた館にいた。。。」主人公利根はそこで”ソーンフィールドの奥方“、”暁の国の王女“、”湖の国の舞姫“、”王妃”と出会う。読書好きの女の子なら1度は読んだはずの本の登場人物の陰の部分を描いた作品。物語の最後利根が現実と向き合う様がほっとする。

  • ◆RDGを読んで無性に読みたくなり、実家から久々持ち帰り。◆ネガポジが反転したような白雪姫・白鳥の湖・眠り姫・ジェイン・エアの物語に夢中になったなぁ。「ジェイン・エア」を読んだのもこの本のおかげ。◆今読んでもヒロインの絶望の深さに胸がキュッとなる。内気でいることが是ではないのかもしれないと、自分に揺さぶりをかけた本。◆改めて読むと病的な心の弱さを表現する際、今では認識が変わっている精神疾患に例えている箇所多出。心を捉える力の強い本なのに再販されたり図書館に所蔵がないのはこのせい?残念。リライトしてまた書店や図書館の本棚に並んでほしい。

  • 年末年始の帰省中に実家に置きっぱなしにしていた10代の頃の愛読書再読。まだラノベ文化のなかった私の中学生時代に流行ったコバルト文庫、好きだったのはもっぱら新井素子で、氷室冴子はいわゆる代表作をほとんど読んでいないのだけれど、このシンデレラシリーズと「なぎさボーイ」で始まる蕨が丘のシリーズだけは好きでした。実家に残っていたのはシンデレラシリーズのみ。

    中学生の利根(りね)は、あるとき目覚めると見知らぬ世界で記憶喪失に。どうやら夢の中だと思われるけれど自分のことは名前以外覚えていない。どうやら自身で呼び集めたらしいその世界の「踊り子」「姫君」「奥方」「王妃」と呼ばれる4人の女性。彼女たちの国に滞在していきながら、利根は次第に自分が忘れたかった現実の世界=誰にも愛されず心を閉ざし引き籠っている自分のこと、そして王妃や姫君たちの正体を思い出してゆく・・・。

    以下ちょっとネタバレだけれど、実は「王妃」は白雪姫の継母、「踊り子」は白鳥の湖のオディール、曉の国の「姫君」ゼランディーヌは眠れる森のオーロラ、そしてソーンフィールドの「奥方」はジェイン・エア。つまり彼女たちはみな利根が愛していた物語の登場人物。彼女たちは皆愛し返してくれない相手の愛を求め続け苦しんでおり、それは現実の利根を反映している。今読むと、童話の人物である王妃や姫君、踊り子に対して、ジェインだけが近代的すぎるのだけれど、利根に再生のきっかけをくれるのはこのジェイン。

    中学生の私は利根ほど孤独ではなかったけれど、彼女の孤独が痛いほどわかったし、どの章も涙なしには読めなかった。親にも友達にも打ち明けられないこと、誰もわかってくれなさそうな気持ち、その答えはいつも本や漫画の中にあって、その登場人物だけが心の支えだった、なんて言ったら笑う人もいるかもしれないし親が聞いたら激怒するかもしれないけれど、私はそうだったし、そういう本や漫画との幸福な出会いがなければもっと生き辛い人生を送ることになっていたと思う。だから利根の気持ちもわかるし、この本こそが、私にとってはそういう存在のひとつでした。

  • ♪あらすじ

    昔、どこかで会ったことがある物語の中の登場人物たち。
    でも、どうしてなの?
    みんな、不幸な顔をしている…。
    白雪姫とその継母の王妃、「白鳥の湖」のオディールとオデットなどが登場する迷宮の世界。

    ♪感想

    昔小学生の時に読んで、深い男女関係の機微が解らず、当時は全く面白くありませんでした。
    それでも心の片隅に魅力を感じていたのかもしれません。
    大人になって無性に読みたくなり、オークションで探して手に入れました。
    大人になった今、思ったより難しい本ではなくなっていたけれど、おとぎ話の主人公たちの恋愛の悩みがとても考えさせられます。
    とても切ないお話です。
    思いっきり私情が入りますが星5つです。

  • 再・・読。中学の時から大好きで、手元に置いてある一冊です。臆病で内気、ヒキコモリの愛情不足の少女が初めて心を許した人に失恋し、自分の大好きだった童話やモノガタリの登場人物の世界を歪め、記憶を失った形でその迷宮に閉じ込められる。それぞれ不幸な境遇の彼女たちと接していく中、自分の辛い気持ちも思い出していく…的な話?うまくまとめられないっorzピュアな感じがいいなぁ、と、たま~に読み返しては気持ちだけでも若返らせてます(^^;)

  • 中学一年生のときに初めて読み、
    それからことあるごとに読み返し、泣いた。
    この本と、一生添い遂げるだろうとまで思わせられた。

  • 多感な中学1年生のころに読みました.そのころの私には,大きな人生観の転換になりました.大人になってから読むと,また違った感想がありますが,やっぱり大好きな作品だなと思います.かつての私のような,自信のない女の子にオススメです.

  • いつかわたしも利根だった。そういう少女時代の痛みを氷室先生はよくお書きになるなあ。「シーラカンスの夢」が特にお気に入り。

  • 王妃、踊り子、姫君、女主人。
    ヒロインも含め、彼女達が望むことはたったひとつ。

    どうか《私》を愛してください。

  • この評価は、私の懐かしフィルターがなせる評価です。

    ほんと、夢中になって読んだなあ。今読んでもそれなりに面白い。
    これも、ラノベの走り。新井素子と氷室冴子は永遠の先駆者です。私の中で。

    でも、作品の中で、主人公が結構、女性はあんまり使わない、汚めの言葉を使ってるのが気になっちゃったんだよね。「~しちまった」とか。わざと?

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著者プロフィール

氷室冴子(ひむろ・さえこ)
1957年、北海道岩見沢市生まれ。 1977年、「さようならアルルカン」で第10回小説ジュニア青春小説新人賞佳作を受賞し、デビュー。集英社コバルト文庫で人気を博した『クララ白書』『ざ・ちぇんじ!』『なんて素敵にジャパネスク』『銀の海 金の大地』シリーズや、『レディ・アンをさがして』『いもうと物語』、1993年にスタジオジブリによってアニメ化された『海がきこえる』など多数の小説作品がある。ほか、エッセイに『冴子の東京物語』『冴子の母娘草』『ホンの幸せ』など。 2008年、逝去。

「2021年 『新版 いっぱしの女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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