- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087202250
作品紹介・あらすじ
「天下布武」の理念を掲げて、ポルトガル商人やイエズス会をはじめとする南欧勢力のために立ちあがった信長は、彼らによって抹殺された-。信長研究に新風を吹きこんできた注目の研究者が、この驚愕の結論を本書で導きだした。信長が使用した印章「天下布武」印と「スカラベ」型の古代エジプトの印章の類似性、覇業をささえた「天下布武」という言葉の意味、信長上洛に暗躍した要人たちの人脈研究、当時の数多くの日記の分析等から、従来の研究では考慮されることがなかった信長の全国制覇と南欧グローバリゼーションの密接な関係を浮き彫りにする画期的論考。
感想・レビュー・書評
-
これはいけない。自分は真面目な著書に対して低い評価はあまりつけないのだが、こうした謀略「史観?」が結論とは少し情けないのではないか?
真面目な分析でこのようなハリウッド的SFパロディが生まれるとは、現代視点に囚われてしまったが故の歴史の陥穽か。
三職推任問題では実証研究に根ざした結論で、歴史論壇を盛り上げた著者だっただけにとても残念だ。
個々の妄想の域を出ない論理の飛躍にいたっては、ジョーク以外の何物でもない。それならそうと最初から「物語」と言ってほしい。(笑)というか、これは「物語」なんだな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
立花京子氏は、情熱あるお婆ちゃんなのである(失礼)。桶狭間の戦いにしろ、鉄砲を使った長篠の戦にしろ、どうも歴史素人ながらうまく出来すぎていて、いかに信長が「異能」の持ち主であったにしろ、異能の持ち主が、全国の制覇を出来る十分条件にはならないし、また、ほかの多くの戦国大名が群雄割拠しているにもかかわらず、弱小の国家の尾張藩の大名が全国の制覇をなすという偉業を、達成できるとは、相当な偉人という評価になるのだろうと見ていた。■しかし、どこか腑に落ちない違和感を持っていた。だが、本能寺の変の怪奇な現象まで、イエズス会という当時のヨーロッパ?の化け物による歴史的演出であるとする引用根拠のある推測には、納得がいった。■当時のポルトガル、スペインは、周知のように南米諸国中心に布教を名目下に植民政策を展開している。
■信長の権力の背景には、もっと大きな、当世風に言い換えればグローバルな力が存在した。それによって、比叡山焼き討ち、・・・などの一向宗弾圧が、論理的に「説明」できることになる。■「天下布武」の理念を掲げた信長像は、その天才性によって全国制覇したのではなく、また「強運」という偶然性によったものでもない。ポルトガル商人やイエズス会という「南欧勢力」の様々な「緒力」を背景にした信長の武将としての矜持と胆力によって、「全国制覇」が達成される。「本能寺の変」という事件は、「南欧勢力」の取り巻き、細川藤孝(ほそかわふじたか)、京都吉田神社、吉田兼見(よしだかねみ)神祇官代として祭祀を担当、高山右近(たかやまうこん)、津田宗及(つだそうきゅう)織豊時代の茶人、などのイエズス会の黒幕を演じた者どもと朝廷の陰謀が絡まりあってなされた歴史であるとする。■本能寺の変は、信長に冷や飯食わされた朝廷の関与はあるが、さらにおきなグローバルな世界支配に向けていたイエズス会のシナリオに沿った「変」であり、実行した光秀と秀吉もそのグローバルなシナリオに沿って「動かされた」ことにもなる。
■この解釈によって、「変」後の光秀の三日天下の解釈、光秀の「誤算」とする要素還元的な、歴史を総体として解釈できない「説」は、とることにいささか 躊躇することになる。どだい人間一個人に、「誤算」もない、「神」の能力などありはしないのだ。この点で、歴史の英雄伝説は、読了後の爽快感はあっても「詰まらない」物が多すぎる。苦言をあえて呈すると、「彼ら」の「哲学」いや、論理学の不勉強が起因している。実体と本質、実体とその機能についての、思考とその適応が、なされていないから「知」としてもなんらの迫力も無い、また歴史上の人物像としても、知識だけによる「解釈」に終わってしまうのだ。■もしこれが為されていないとすると、いささか古く、死語ともなった「小林秀雄」の「直感」―――ベルグソンの純粋時間を背景とする―――による歴史の読み方が、唯一正当かつ面白い「歴史」の読み方になってしまうことだろう。■最後に、立花京子氏は、珍奇な新説を思いつきで言っているわけではなく、実体ある人物の行動を、歴史資料と知識を超えた歴史的な根底的な推測によって結論付けている。決して、いまどきのTV出演に躍起となる「似非」学者にありがちな邪な意思を、持っていないと思う。 -
信長と十字架 立花京子 集英社新書
題名にひかれて手にとってみたものの
その出だしはつまらない文章だった
自分の説を語ればいいものを
他人を引き合いに出して
貶める必要などないだろう
とは言え
飾らない文章でわかりやすくもある
天下布武の意味を「七徳の武」に求めて
今で言うところの「抑止力」だろうか?
核抑止というのは
軍拡競争に陥る愚策でしかないわけで
究極の全体観を浸透させることで
無駄な分裂と闘争を脱ぎ捨てることでしか
満たされた関係を創造できないことを
悟る必要があるのだろう
肝心のキリシタンの場面になると
俄然面白くなる
-
陰謀論と言えば立花京子(南欧勢力と朝廷)
本文にある「天皇権威が地に堕ちた当時」には異論あり。
将軍権威の低下で相対的に浮上していますよ(個人の意見)
初期キリシタン(藤孝・その従兄弟清原等)義輝認可と正親町天皇排除とかの基礎事実提示は為になる。
また、イエズス会の悪行こそ、当時あった日本の脅威だったことを忘れてはいけないね。氏は朝廷黒幕説だったと思い込んでいたが関与説かな?イエズス会主体の様でした。
氏は三職推任問題では丹念な研究で評価が高く素晴らしいと思うが、日本史や甲陽軍鑑にある記事で都合よいものを手放さないので胡散臭くなる。 -
ざっと読み返してみた。
前回は、難物だと思って読んだが、今回、結末だけをある程度じっくり読んでみて、ほかはパラパラと見て、要旨だけをりかいするようにした。で、陰謀論のたぐいではないかと言う気がした。
初見の感想を読み返してみると、「難しい、よみづらい。レベル高すぎる」との印象。しかし、レベルうんぬんは置いておいて、あやしい気がしたのでアマゾンみると、やはり、疑問を呈している人が多い。
麻野の今の感想として、「そういう捉え方もできる」という程度にとどめておく。 -
信長の天下布武の裏側や能寺の変の黒幕はイエズス会だったという大胆な自説を、多様な史料を引きながら証明している。史料の引き出し方が妙に細かく、その割に結論付ける論理に飛躍があったりと、ちょっとご都合主義的な証明かもしれない。いろんな意味で読み進めるのに苦労した一冊だった。このテーマなら、論考としてより小説として記されたほうが、相当面白い。
-
大学のゼミにて反面教師として読んだ本。
物語として読むには面白いが、論文としては???
展開が強引かつ、あり得ない誤記もある。 -
読み物としてとても面白いし、史料の使い方に説得力があるけど、論の展開のさせ方に先入観に基づく強引さを感じる部分もあり、全面的に賛同は出来ない。
-
[ 内容 ]
「天下布武」の理念を掲げて、ポルトガル商人やイエズス会をはじめとする南欧勢力のために立ちあがった信長は、彼らによって抹殺された-。
信長研究に新風を吹きこんできた注目の研究者が、この驚愕の結論を本書で導きだした。
信長が使用した印章「天下布武」印と「スカラベ」型の古代エジプトの印章の類似性、覇業をささえた「天下布武」という言葉の意味、信長上洛に暗躍した要人たちの人脈研究、当時の数多くの日記の分析等から、従来の研究では考慮されることがなかった信長の全国制覇と南欧グローバリゼーションの密接な関係を浮き彫りにする画期的論考。
[ 目次 ]
第1章 「天下布武」前史
第2章 「天下布武」の誕生
第3章 「天下布武」と決勝綸旨
第4章 「天下布武」の出発
第5章 「天下布武」と南欧勢力
第6章 「天下布武」の破滅
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]