論争する宇宙 ―「アインシュタイン最大の失敗」が甦る (集英社新書)
- 集英社 (2006年1月17日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087203271
作品紹介・あらすじ
アインシュタインだけではなく、数多くの天才たちが独創し、迷い、激しく論争しながら創り上げてきた「宇宙」の像。その途方もないスケールと気の遠くなる時間の中で、宇宙の果て、始まり、終わりを観測するとは、いったいどういうことだろう。そして、他ならぬアインシュタイン自身が「生涯最大の失敗」として否定した「宇宙定数」は、どうして甦ったか。自分たちの研究専用に自力で「すばる」に次ぐ日本第二の望遠鏡を作ってしまった銀河物理学者の案内でめぐる。好奇心満開、宇宙論の最先端。
感想・レビュー・書評
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机上の仮説だけなら、物理学者や科学者でもある程度の理論的構想は可能だが、その仮説が正しいかどうかはやはり実存するデータで証明するしか方法はありません。
そこで活躍するのが望遠鏡を覗く天文学者たちです。
彼らは、ある仮説のもとにデータ収集を行いますが、それは仮説のないデータ収集は際限がなさすぎるからです。
そうした天文学者の地道な努力によって、宇宙を構成する理論の数々が取捨選択されており、今もなおその過程であるわけです。
現時点では、アインシュタインが後悔した「宇宙定数」は正しかったという説が主流を占めています
そして、本書による宇宙の構成は、銀河などの通常物質が4%、CDM(質量的に重いとされる冷たいダークマター)23%、宇宙定数(ダークエネルギー)73%だそうです。
今もなお膨張し続ける宇宙、そして理論的にはその膨張が止まれば消えてなくなるとされる宇宙に我々は住んでいます。
宇宙論では、かなりわかりやすい良書です。(それでも十分難解ですが・・)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
20世紀初頭からの宇宙論の変遷を辿るとともに著者の進める研究の過程までも詳述した著作。研究の資金集めの苦労も描かれていて貴重な報告である。
その一方、宇宙論の話は数字が大きすぎて頭が破裂しそうな気がする。 -
宇宙論で繰り広げられてきた論争について、理論と観測の歴史から、わかりやすく解説。著者自身が関わり作ったマグナム望遠鏡の苦労話も興味深く読めた。
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膨張し続けるのか、いつか止まるのか、収縮するのかという、宇宙の終焉についての論争史。そして、先人議論の延長として、著者が直接携わった望遠鏡設置プロジェクト。「マネージング・サイエンティスト」という言葉が印象的だった。現代までの宇宙論のまとめ(非常に解りやすく書かれている)と、プロジェクトX的な秘話奮闘記の両方が楽しめる一冊。
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科学なのに。
純文系人間としては、理系の世界が我々には不可触な聖域/理想郷のように思われて、さぞかし理路整然と静謐に世界が回ってるんだろうなぁ、と半ば敬遠してました。食わず嫌い。
それを打ち破らせてくれました。
成果としての科学は理路整然としてるかもしれない。けどそれに取り組むのは人間であって、人間が絡むからには科学ではどうにもならない要素が入ってしまう。それが愉しい。
科学なのに、思いこみがある。
科学なのに、勘違いがある。
科学なのに、いがみあいがある。
科学なのに、ロマンがある。 -
入山 章栄が影響を受けた本
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[ 内容 ]
アインシュタインだけではなく、数多くの天才たちが独創し、迷い、激しく論争しながら創り上げてきた「宇宙」の像。
その途方もないスケールと気の遠くなる時間の中で、宇宙の果て、始まり、終わりを観測するとは、いったいどういうことだろう。
そして、他ならぬアインシュタイン自身が「生涯最大の失敗」として否定した「宇宙定数」は、どうして甦ったか。
自分たちの研究専用に自力で「すばる」に次ぐ日本第二の望遠鏡を作ってしまった銀河物理学者の案内でめぐる。
好奇心満開、宇宙論の最先端。
[ 目次 ]
第1章 二〇世紀宇宙論の始まり
第2章 宇宙観測の進展
第3章 行き詰まった宇宙論
第4章 宇宙の構造を決めるもの
第5章 よみがえる宇宙定数
第6章 宇宙の最深部を探る
第7章 マグナム・プロジェクト
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
マグナムプロジェクト成功の秘話は、営業マンの方に読んでいただきたいです。もちろん宇宙論もわかりやすい
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読了@2007/10/05
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宇宙がどんなふうに解明されてきたか<br>
ということを述べてあります。<br>
『たとえば宇宙の年齢より古い星が存在する<br>
というような不可解なことも起こっていて、
<br>それは理論が間違っているか、<br>
観測が間違っているかのいずれなのかですが、<br>
そうした問題が起こるたびに論争が始まり、<br>
理論も観測も揺れ動いてきました。<br>
そして現在、何が消え、何が生き残り、<br>
どんな論争が続いているのか。』<br>
理論の解説書というより、紹介本といった感じで、<br>
公式や数字のニガテな僕もわりと理解して読めました♪