フランス反骨変人列伝 (集英社新書)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087203370

感想・レビュー・書評

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  • ラスネールは澁澤龍彦氏の小ロマン派の記述で知っていて、
    もうちょっと詳しい事が知りたいなぁと、手に取った本。
    いや、これは面白かった!
    他にネー元帥やモンテスパン侯爵、六代目サンソンと、
    反骨溢れる、信念を曲げられない不器用な生き方の
    人物の生涯がわかりやすく綴られている。
    この著者の他の著作も読みたくなってしまいました。

  • タイトル買したんだよな、この本って。私が思い浮かべる反骨の人と
    言えば、宮武外骨、桐生悠々なのだ。だから、このふたりに似たような
    フランス版のミニ評伝なのだろうと思った。

    読んだ結果…。本書で取り上げられている4人は、誰も反骨でも変人
    でもなかったよ~。シクシク。

    強いてあげれば最初に出て来るモンテスパン公爵だろうか。この時代の
    貴族にしては異例の恋愛結婚で結ばれた美しい妻を、太陽王・ルイ14世
    に寝取られた男。

    この時代、人妻が国王の寵姫となることは珍しくない。夫は妻と引き換えに
    宮廷や軍での出世を約束されるのだから。

    でも、モンテスパン公爵はそれをよしとはしなかった。妻を取り戻そうとして
    失敗すると、葬送の馬車を仕立てて領地へ戻り妻の葬儀までしちゃうのだ。

    国王とナポレオンの間でふらふらと揺れ動いたネー元帥なんて、ただの
    優柔不断だし、犯罪者であり獄中で文才を認められたラスネールに
    至っては自分の不運をすべて世の中のせいにしているだけだもの。

    最終章で取り上げられている、パリの公式処刑人・サンソンも反骨で括る
    には大いに疑問だ。ただ、家業が処刑人という一家に生まれた6代目の
    苦悩や死刑制度への懐疑的な思いは興味深かった。

    タイトルにこだわらずに読めば、歴史に埋もれた人たちの生き方として
    楽しめるかも。

  • やはり、読みやすく面白く読み終えた。

  • タイトルが良くないと思う。なんとなく敬遠していたけど、パラ見したところ面白そうだったので。■モンテスパン侯爵、ネー元帥、詩人ラスネール、死刑執行人サンソンの4人を取り上げている。大きな歴史の中の傍流にいた人たち。不器用ながら魅力的。以前読んだ「死刑執行人サンソン」に続き、この著者の本は面白い。

  • 4087203379 226p 2006・4・19 1刷

  • フランスの正史にはめったに登場しない魅力的な奇人・変人のエピソードを集めた裏歴史の教科書★逸脱した人生は様々。共通しているのは、自分自身の生き方に徹した反骨の精神。自分の志を貫き通した強さが伺えたりするのですよ。

  • ルイ14世に嫁さん寝取られて歯向かったり、死刑上等で名前を売ったりとか、この本に出てくる人って今の時代からすると、大した変人ではない。
    裏を返せば変わるのは「常識」だけで、人間は変わらないのかもしれない。

  • [ 内容 ]
    フランスの歴史を注意深くひもとくと、正史にはめったに登場しない魅力的な奇人・変人に出会うことが出来る。
    国王、国家、法制度等への反逆であったり、その逆に忠誠であったりと、その逸脱した人生は様々だが、彼らに共通しているのは、自分自身の生き方に徹した反骨の精神である。
    そして、世間に逆らって自分を貫いた人間たちには、どこかしら時代を超えた普遍性が感じられる。
    本書は、その中でも極めつきの、それでいて日本ではほとんど紹介されていない四人の人物、モンテスパン侯爵、ネー元帥、犯罪者詩人ラスネール、死刑執行人・六代目サンソンを取り上げる。

    [ 目次 ]
    第1章 モンテスパン侯爵(「公式寵姫」制度;戦場に届いた噂 ほか)
    第2章 ネー元帥の悲劇(革命が栄光の道を開く;新国王との出会い ほか)
    第3章 犯罪者詩人、ラスネール(パリ重罪裁判所法廷;詩人に生まれた少年 ほか)
    第4章 六代目サンソン(十五歳のときに家業を知る;父との対話/死刑執行の前夜 ほか)

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 「歴史モノ」しかも新書で夢中になって読むなんて滅多に無かった。仏史研究家安達正勝が他の人物の研究中に「遭遇」した四人の男たちを生き生きと描いている。彼らはモンテスパン侯爵、ネー元帥、詩人ラスネール、そして死刑執行人アンリ・サンソン。わたしはどの名前も聞いたことがなかったのですが、ブルボン王朝全盛期からフランス革命、ナポレオンの台頭を背景としてあくまで一人の人間としてそれぞれの人生、苦しみや幸せが目の前に広がっていく。
    とりわけ、死刑執行人の家系サンソン家の章はすごい。処刑を生業とする家に生まれたばかりに、人を殺すという「仕事」を継がない限り家系が断絶してしまう、そういった後継者の苦悩はいかがばかりのものだったか。物語ではなく史実なだけに一層凄みがある。時代背景と共に移り変わっていく世俗の価値観のために、当時は「変人」と指された人間たちをピックアップし鮮やかに復活させる筆力もすごい。
    筆者は元々は仏文学者だったが、研究しているうちに興味が歴史の方にシフトしていったという。「人間中心の歴史というか、歴史の中の人間というか、歴史と人間の関わりというか、そういうことを中心に据えている」と筆者があとがきで書いているが、この「人ありき」の興味の方向性が魅力的な著作群に繋がっているのだろう。ドイツ史でこういう研究家はいないかなー

  • 死刑執行人サンソンの著者が、フランス史で光の当たらない人物たちにあえて光を当てた一冊です。最初に著者が言っていたとおり、この本に登場する4人はあまりにも不器用で変人で、それでもどこか愛すべきところを持ったとても魅力的な人たちです。その中でもやっぱり六代目サンソンの話(『死刑執行人サンソン』は四代目)が一番面白かったかなーと思います。

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著者プロフィール

フランス文学者。1944年岩手県盛岡市生まれ。東京大学文学部仏文科卒業、同大学院修士課程修了。フランス政府給費留学生として渡仏、パリ大学等に遊学。執筆活動の傍ら、大学で講師も務めた。著書に『物語 フランス革命』『マリー・アントワネット』など。

「2020年 『サンソン回想録』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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