時間はどこで生まれるのか (集英社新書)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 99
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087203738

作品紹介・あらすじ

なぜ時間は過去から未来に流れるのか。なぜ過去は定まっているのに、未来は未知なのか。相対性理論や量子論などの物理学を踏まえたうえで、こうした素朴な疑問に答える時間論は、これまで殆どなかった。現代物理学の知見を考慮しなかったり、日常の感覚を無視して議論していたためである。本書は、科学が明らかにした時間と空間の本質を基本としながらも、人間が日常的に感じる時間の性質を解き明かそうと試みる。人間的時間と物理学的時間を統合する、目からウロコの画期的な時間論。

感想・レビュー・書評

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  • 無知ゆえに終始興奮しながら読んだ。時空論、面白すぎるだろ。
    まず時間のA系列、B系列、C系列って整理も知らなかった、
    ミクロ(C系列)では時間は実在※しないって説も当然初耳、
    マクロでは、時間の経過=エントロピーの増大説も初耳。
    そいで秩序が保たれてるのは「意思」のおかげ説もほんと?と思いつつ(疑ってるというより、ほんとかどうかわからない)ワクワクが止まらない。
    学生の時に読んでたら血迷って「理学部で時空論やりたい」とか言い始めてたかも。

    必ずもう一度読む。

    ※この本では「色は実在しない←電磁波を脳が感じとる現象であるから」「温度は実在しない←大量の原子が運動することで結果を観測してるので一個の原子には温度はない」のように「実在」という言葉を使っていた。賛否はともかくわかりやすい例で有難い。 

  • 紙のノートにまとめながら読書。185ページだがあっという間に読めた。
    前半は相対論・量子論のミクロの説明で、ミクロの世界に時間はないとのこと。
    後半はエントロピーの増大による不可逆現象を時間とする。確率的に元の秩序だった状態にもどれない。だがこの時間は一覧表のようなもので、そこにまだ流れはない。
    では時間の流れを生み出したのは何なのか、というと、エントロピーが増大する中で秩序を保とうとする生命が、その一瞬一瞬の中秩序だった未来を選ぼうと選択する意思である。
    意思の積み重ねが記録となりその判断をする未来予想が未来を生む。こうして過去・現在・未来ができる。
    時間とは生命が生きるために生み出した概念なのだった。
    後半のエントロピーの増大と生命の意思の下りはSF小説を読んでいるかのような興奮があった。
     
    しかし本書は人間的な時間に触れていないので、そのあたりは他の本をあたること。

  • 時間とあるが、時空を前提としている上での時間なのでサイエンスの香りがして心強い。

    内容についてはほんとうにわかりやすくまとまっていて、エントロピーの説明をほとんどしていないにも関わらず、特に「時空」についての知識がなくともスラスラと読めてしまうのではないかとおもう。

    ただし主観的な時間について触れていればよかったとは感じる。それでも時間(時空)についてはまずはこの一冊といった感じであっという間に読み終えてしまったものの読み応えを感じた一冊。

  • [第7刷]2007年10月29日

  • 筆者は予備校講師も勤め、物理の授業が非常にわかりやすいと受験生に絶大な人気を誇っていたという。本書は物理や数学の知識がないと大半がちんぷんかんぷんだが、登場する数式の数々を読み飛ばして行けば確かに、そこそこわかりやすい。

    時間、空間と考えていくと宇宙や「考えている自分」といった哲学や、宗教感の領域に入っていくもののようだ。膨張し続ける宇宙のその先に何があるのか、ビッグバンが始まる前の宇宙はどこにあったのか、時間を遡ることはできるのか、など。

    読み進めているとほぼ哲学書のような印象を受けるが、著者は哲学は門外漢で、哲学論的な記述が多々でてくるのは「時間概念を取り入れた本格的な哲学的時間論を誰かに書いてほしい」という思いからだと言っている。なんだかややこしい言い方ではあるが、本書で語られていることの本質がこの言葉にあることは伝わってきた。

  • 少し前に読んだ同著者の内容に重複する部分が多いため飛ばしながら読んだ。

    相対論と量子論から時間とは何かを考察している一冊。

    量子論からミクロ世界では時間を始めとした物理的な値は存在せず、時間は断続的な瞬間を並べた一覧表のようなもの(c系列)となる。この時間軸では時間の流れは存在せず、時間の逆行も可能である。
    ここに、生命の持つ生きる意思が加わることで時間の流れが生まれる。

    生きる意思とは、秩序を崩させまいとする力である。全てのものはエントロピー増大の法則に従って動いており、生物でないものはいともたやすく無秩序になってしまう。生命は生きる意思によって努力をし、秩序を崩そうとするエントロピー増大の法則にあらがい続ける。

    まとまってない気もするけど、だいたいこんなおはなし。
    推測の域を出ないものではあるが、こんなものは実験でどうにかなるものでもないし、しょうがないと思う。
    納得できる部分も多いので、楽しく読めました。

  • 先日読んだ「時空と生命」の基となる時間に関しての内容が、よりわかりやすくまとめられている。
    特に反粒子は時間を逆行する粒子という解釈が何の矛盾もなく成り立つというところでは目からうろこ。
    時間論が中心で、生命の関わりはあるものの、時間とはマクタガードのC系列(ただそこに並んだもの)であるという事が説得力を持って、結論付けられている。
    そのC系列をどういう順序で読むのか(どうして特定の方向にしか読めないのか)は生命の意思であるという主旨は「時空と生命」に先だって同じように盛り込まれているが、見方を変えれば決定論ともとれてしまうか。
    先日の本がなければ読むことがなかったかもしれない本。
    本も人も出会ったタイミングを大切に、そして感謝したい。

  • 最新の物理学的成果に基づくと、「時間は実在しない」のだそうだ。
    ただ、と著者は第一章でいう、

    「一流の物理学者というのは忙しいものだから、時間の非実在性などということを一般の人にわかる言葉で説明している暇がないのである」。

    いいねぇ、知的啓蒙書っていうのはそれに明快に答えてくれるものでなくっちゃね!と思っていると、ページを繰ったとたんに次のような記述に出くわす。

    「(空間と時間の関係を座標軸で描くとき、)「時間は実数、空間は虚数」なのである」。

    いきなりダメでーす。
    バッターアウーツっ。
    結局、著者も忙しい物理学者の一人ではないのか・・・(ハードSFも書いているらしいが)。

    でも昼飯一回分くらいのお金を出したんだから、一応最後まで読みました。
    まぁ結局、物理学は相対論とか量子論とか言って、不可視な原理を可視化してきたわけだけど、そうやって掘り下げていくとまた不可視な部分が見えてくる(←「現れないのが透明人間♪」論法)、そんな「因果」な世界に我々は生きている、ということなのでしょうね。

    というわけで、昼飯一回分の価値は充分にある一書でした。
    (どういうわけなんだよ…)

  • 39066

  • 198円購入2018-07-05

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