貧乏人は医者にかかるな! 医師不足が招く医療崩壊 (集英社新書)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087204131

作品紹介・あらすじ

医師不足は単に産科や小児科、また地方の問題ではない!これからは外科をはじめあらゆる科で医師の数は足りなくなる。厚労省が公開しているデータから医師不足の現状と原因を分析、団塊の世代が後期高齢期に向かう今後の日本の医療の進む方向を探る。アメリカ流金持ち優先型か、イギリス流シビアな待機型か、あるいは日本独自の道があるのか。国民が医療難民にならないための自衛策と国を挙げての解決策を提言する。

感想・レビュー・書評

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  • 僕は医者不足が地方だけでなく、都市部でも深刻化しているということに驚いた。戦後、人員配置標準というものを国が設置したが、あくまでもそれはそこに書いてある内容を満たすことができればよくて、医師の数を増やしても良かったのに、現代になってその内容が医者の雇える数の上限という意味になってしまったから医師不足が深刻化してきているのに納得がいった。
    また、入院日数を短くして国民の評価をよくしようとした結果、全ての作業を二倍のペースでこなさなければならなくなったため、逆に医師が足りなくなってしまったのに納得がいった

  • 読んでおいて損はない

  • [ 内容 ]
    医師不足は単に産科や小児科、また地方の問題ではない!
    これからは外科をはじめあらゆる科で医師の数は足りなくなる。
    厚労省が公開しているデータから医師不足の現状と原因を分析、団塊の世代が後期高齢期に向かう今後の日本の医療の進む方向を探る。
    アメリカ流金持ち優先型か、イギリス流シビアな待機型か、あるいは日本独自の道があるのか。
    国民が医療難民にならないための自衛策と国を挙げての解決策を提言する。

    [ 目次 ]
    第1章 表面化する医師不足
    第2章 医師不足は現実である
    第3章 なぜ医師は不足したのか
    第4章 医療訴訟が医師不足を加速する
    第5章 二〇二五年の真実
    第6章 イギリスの惨状
    第7章 日本が採り得る医師不足対策
    第8章 医師不足時代を生きる

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 498.021||Na

  • 5年以上も前の本で色あせるかなと思って読んだが、そうでもなく今でもほぼ通じる。自分の意見も著者の視点と重なり、違和感はない。
    ただ論説として、データ・政府発表などからだけでは突き上げてくる力強さがない。主張は間違いないと思うのだが。
    もう少しフィールドワークや事例を出して、匿名でも良いので紹介できたらもっと説得力があったのにと。
    海外医療、とりわけイギリス医療には長じてられているようでして大変勉強になりました。
    書名のタイトルは著者が主張している訳ではない。政府の医療施策をえん曲的に表現している。う~ん、何かもったいない感じがした。

  • 一見傲慢で乱暴なタイトルだが、内容は日本の危機的な医師不足についてデータを示し誠実に訴えたもの。これまで日本の医療が曲がりなりにもやってこれたのは、人一倍仕事好きで優秀、勤勉な多くの赤ひげ先生がおればこそ。しかし、もはやそれも限界に達しているという。日本を覆う驚愕の現実に警鐘を鳴らす。

  • タイトルは過激ですが、至ってまともな内容です。団塊の世代が後期高齢期(75歳以上)を迎える2025年には、患者数に比べて医師の数が圧倒的に不足するという予想を統計データをもとに論理的に主張されています。まあ普通に考えても、これから高齢者が増えて患者数は増加し、少子化によって医者は減少するわけだから、筆者の主張には納得感があります。今でも産科や小児科をはじめとして医師の不足や過酷な勤務実態がニュースになっていますが、その背景には国が医師不足の現状を認めようとせず、何ら改善を図ってこなかったことがあげられています。医師の増加は医療費の増加を招くから、医師不足とは口が裂けてもいえない状況らしい。
    今後も国の無策が続くなら、いずれやってくる慢性的医師不足時代に備えて自衛手段を持つ必要があります。筆者の言うように、いざというときに満足できる水準の医療サービスを受けられるだけの余剰資金を持つこと、そして何よりもできるだけ医者にかからないですむよう予防すること。あとは、医者とのコネを作っておくとか?
    医療にしても食料にしても、今の日本で当たり前のように与えられているものが決して当たり前のことではないということを自覚しよう。

  • 医師不足こそが,本書のテーマだ.

    【医師は本当に足りないのか】
    ・厚生労働省が主催する検討会「医師の需給に関する検討会」が2005年から06年にかけて開かれた.その最終報告書の内容は,「医師の勤務時間を週48時間とすると,04年において,医療施設に従事する医師数が25.7万人であるのに対して,医療施設に従事する必要医師数は26.6万人と推計される」というもの.厚生労働省は,口が裂けても「9000人不足」とは言わない.また,現場の医療機関の感覚では,数万人足りていない.
    ・厚生労働省にしてみれば,医師数を増やしたほうが,自分たちの影響力が強まる,つまり省益を拡大できる.それにもかかわらず,これまでの検討会で医師の削減が盛り込まれてきたのは,高騰する医療費を抑制したいという政府・財界の基本方針があったからだ.医療経済学のドグマのひとつに,「医師の増加が国民医療費の増加を招く」というものがある.80年代は,自らの既得権益を守るのに都合が良いため,さらに医師不足が顕在化していなかったために医学会も反発しなかった.

    【なぜ医師は不足したのか】
    ・昔は結核に代表されるように患者を寝かせておく以外に有効な治療方法がなかった.
    ・医療訴訟

    【医師不足対策】
    ①医学部の定員を増やす.
    ②国外から医師を輸入する.
    ③患者を国外に輸出する.

  • 医師不足の深刻さも勿論伝わったが、それよりむしろ現場の実情や諸外国のレジームも知らずに(或いは無視して)、「国民の声」と称して医療費の負担増に反対意見を唱えるマスコミや所謂「文化人」と言われる人たちの浅はかさを感じずにはいられなかった。

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著者プロフィール

1959年、東京都に生まれる。長浜バイオ大学メディカルバイオサイエンス学科教授・学科長。1985年、筑波大学理工学研究科修士課程修了(理学修士)。オリンパス光学工業株式会社(現・オリンパス株式会社)、株式会社KDDI研究所、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授などを経て、2009年より現職。専門は医療情報学・医療経済学。2005年、東京医科歯科大学から博士(医学)を授与される。『販売員も知らない医療保険の確率』(光文社ペーパーバックスBusiness)など著書多数。


「2019年 『いらない保険 生命保険会社が知られたくない「本当の話」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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