公平・無料・国営を貫く 英国の医療改革 (集英社新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087205022

作品紹介・あらすじ

無料で公平な医療を全国民に-この理想を掲げて一九四八年、英国の医療システム(NHS)は誕生した。以来英国民はこの制度を誇りにしてきたが、九〇年代には患者の手術待ちが数カ月に及ぶなど、種々の問題が表面化して崩壊の危機に陥った。この事態に果敢に立ち向かい、二〇〇一年から一〇年計画で劇的な改革へと導いたのがブレア以降の労働党政権である。効率化と患者中心の医療の実現など、英国の医療改革の全貌を紹介するとともに、やはり医療の崩壊が叫ばれて久しい日本の制度改革へ向けた具体策を提言する。

感想・レビュー・書評

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  • 患者中心、地域中心の医療。
    ゲートキーパーとしての、General Practitioner(家庭医)。
    大石さんが言っていたことが少し分かってきた。

  • 医療政策の勉強会に向けて読了。

  • 2010/02/26

  • ここ10年の英国の医療制度改革を紹介する本です。バリバリの国営医療システムであった英国でも提供体制部分に民間を導入し、成果報酬的な支払を導入して効率を高めようとしております。特徴的なのは、患者・国民の医療リテラシーを高める政策がとても参考になりました。ただ、あえてそうしてるのかなとも思いますが、日本の医療改革への示唆の部分の記述が抽象的で薄く、もう少しリスクをとって踏み込んでほしかったと感じました。

  • この国と同じように医療崩壊の危機から立ち直りつつあるという英国の医療改革について書かれている本。

    医療機関と医師がサービスを供給する、そのサービスは保険者が購入する、患者は需要者としてサービスを受ける、という大原則。

    そこは変えずに、その枠組みの中で質の高い医療を実現するための、大胆な改革手法が次々に登場してくる様が活き活きと描かれていてかなり面白かったです。

    中でも目からウロコだったのが、「医師の報酬は原則として担当している住民の数がベースとなる。つまり、どれだけの回数、患者を診るかではなく、そもそも担当している住民の数に応じて収入を得る。だから住民の健康管理を徹底し、病気(来院回数)を減らし、収入を変えずに医師の負担を減らすという動機付けが働く。」という部分。

    サービスを多く提供することが良いことではない、「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」とは決して言えない、というこの業界を進歩させていくためには、こういう視点がすごく大事なんだと改めて思いました。

  • 供給者サイド(医療提供体制)、購入者サイド(保険者)、需要者サイド(患者)という視点で改革を論じている点が興味深いです。
    ただし、全体として医療給付についての議論が大半を占めています。改革成功の要因の一つとされる財源増については、好景気による税収増や国民の負担増への理解があったという感じで触れられていますが、わが国では医療費負担の公平性を確保しつつ財源をいかに捻出するのかという議論こそが大切なように思います。

  • 「医療崩壊」が言われ、医療改革の必要性が論議されている今日この頃。
    この本は同じく医療崩壊の危機から立ち直りつつある英国のケースを紹介する事で、日本の医療を立て直すための参考にしてもらえればという目的で書かれている。

    様々な立場の思惑が絡んでくるので、改革といっても簡単にはいかないだろう。だが、医療は生活に欠かせないものであり、誰もがある程度満足できるものにしなければならないと思う。そのためにも診療側だけでなく、受ける側の事も考えるべきだろう。また、必要以上の医療を受ける事のないような施策も立てていく必要があるだろう。過剰な医療は負担の増大にもつながるからだ。

    日本と英国では医療に対する意識や制度の違いがいろいろあるから、そのまま導入というのは無理だろうけど、参考になるものは多々あると思う。そうしたものが制度の改革に役に立てるといいんだけどね。

  • [ 内容 ]
    英国の医療改革から日本が学ぶべきこととは。
    崩壊寸前だった英国の医療はなぜ蘇ることが出来たのか!?
    ブレア政権下で行われた制度改革の全容を明らかにすることで、日本の医療制度改革へ向けて、ひとつの道筋を提示する。

    [ 目次 ]
    第1章 今、日本の医療に何が求められているのか
    第2章 英国医療改革とは何か-NHSの果敢なる挑戦(NHSとは-「公平・無料・国営」の揺るぎない理念 英国医療改革の鳥瞰図-決断・戦略・実行)
    第3章 医療改革に何が必要か-英国医療改革の実像(「政治の力」-信念とリーダーシップ 「患者中心」-患者の納得と参加 「地域」-医療の地方分権 「公平」-健康「格差」への目配り 「医療従事者」-クオリティの高いサービスを提供できる医師の確保 「プライマリケア」-「かかりつけ医」という安心 「医療の可視化」-「質」と「効率」の二兎を追う 「医療の効率化」-限りある資源の有効活用)
    第4章 英国医療改革は何を成し遂げたか-残された課題とNHSの未来(英国医療改革の成果と課題 日本の医療改革へのヒント)

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    [ 参考となる書評 ]

  • 英国の医療システム(NHS)の仕組みや、医療改革によってどのような道をNHSが辿っているかを綴った一冊。
    医療環境のみならず公的サービス全般に影響を与えるまでに再生したNHS。
    改革の光と影にも言及。

  • 無料で公平な医療を全国民に―この理想を掲げて一九四八年、英国の医療システム(NHS)は誕生した。効率化と患者中心の医療の実現など、英国の医療改革の全貌を紹介するとともに、やはり医療の崩壊が叫ばれて久しい日本の制度改革へ向けた具体策を提言する。

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