文化のための追及権 ――日本人の知らない著作権 (集英社新書)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 69
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087206128

作品紹介・あらすじ

絵画や彫刻を作る芸術家は、日本では一度作品を売却した後は、オークションなどによっていくら作品の価格が上昇しても、一切収入を得ることが出来ない。これではアーティストはなかなか育たないだろう。実はこれは日本の文化的貧困につながる大問題である。ヨーロッパやアメリカの一部では「追及(利益配当)権」という著作権の保護システムによって、作者の利益がそうした場合においても保証されるシステムが作られている。本作では、著作権についてわかりやすく解説しつつ、その一部としての追及権について日本で初めてくわしく紹介する。

感想・レビュー・書評

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  • 著作権、文化追及権について全くの知識ゼロで読んでいったがスラスラと読めた。非常にわかりやすく書かれているのでお勧め!

  • 「日本人の知らない著作権」というサブタイトルの通り、確かに知らなかった。勉強になった。

  • 非常に面白い視点.
    芸術家の育成や創作モチベーション維持のための新しい考えを提案している.
    本筋の追求権の方は十分に理解できていないのだが,その前提としての著作権(権利の束)の説明が今までみたどの本よりももっとも理解しやすかった.
    授業での解説にも使わせてもらおう.

  • [ 内容 ]
    絵画や彫刻を作る芸術家は、日本では一度作品を売却した後は、オークションなどによっていくら作品の価格が上昇しても、一切収入を得ることが出来ない。
    これではアーティストはなかなか育たないだろう。
    実はこれは日本の文化的貧困につながる大問題である。
    ヨーロッパやアメリカの一部では「追及(利益配当)権」という著作権の保護システムによって、作者の利益がそうした場合においても保証されるシステムが作られている。
    本作では、著作権についてわかりやすく解説しつつ、その一部としての追及権について日本で初めてくわしく紹介する。

    [ 目次 ]
    第1章 芸術家は貧しいのか―La Boh`emeの登場人物は、その後も貧乏なままなのか?
    第2章 芸術家と著作財産権
    第3章 芸術家と著作者人格権
    第4章 追及権の始まりと今
    第5章 追及権と制限規定のバランス
    第6章 追及権は芸術家を救えるのか?

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 著作権の基本を非常にわかりやすくかいている

  • 本や音楽は複製された商品が多額の印税を作者にもたらすが、家画や彫刻家は作品を1回売ればそれっきり。その後の値上がりの恩恵にあずかることもできず、赤の他人が転売益を得るのを横目で見ながら自らは貧しいまま(かもしれない)。そんな不条理を救うルールが追及権。転売の際の売価の一定パーセンテージ(数パーセント)を作者に遡って払い続けるというルール。ヨーロッパの多くの国で制定されている。アメリカでは州によって違う。日本はなし。さまざまな事例を紹介しつつ、各国のルールや運用の実際を説き、芸術家の保護(ひいては芸術の健全な発展)のために国際的な法整備が必要と訴える本。学術論文を新書に盛りつけ直した本なのでやや堅苦しい気もするが、大事な一冊ではないかと思う。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784087206128

  • 不勉強にもヨーロッパ諸国ではこのような権利があることを本書で初めて知りました。頭脳ならぬ文化流出を防ぐためにも、このような権利の法整備は急がなければならないのではないかと思う反面、いろいろしがらみに縛られてトントンと進むことはないかも知れないとも思います。またオーストラリア、ニュージーランドの先住民の事例などは、権利問題の難しさを考えさせられます。いずせにせよ、本書は新書コーナーだけでなく、書店の美術、芸術のコーナーにも置かれるべき本でしょう。

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著者プロフィール

1972年、愛知県生まれ。名古屋大学大学院情報学研究科准教授。著書に『デジタル・ストーリーテリング――声なき想いに物語を』(リベルタ出版)、 共著に『日本のコミュニティ放送――理想と現実の間で』『コミュニティメディアの未来――新しい声を伝える経路』(ともに晃洋書房)、『よくわかるメディア・スタディーズ』(ミネルヴァ書房)、論文に「ハイパーローカルジャーナリズムを支援する」(「放送レポート」第299号)、「多様化するコミュニティFMの運営形態――社会福祉法人と一般財団法人」(「放送レポート」第297号)など。

「2024年 『ケアする声のメディア』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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