- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087207637
作品紹介・あらすじ
農業、食、教育、金融の領域を蝕んできた「1%の超富裕層」たちによる国家解体ゲーム。その最終章は、人類の生存と幸福に直結する「医療」の分野だった! 稀代のアメリカ・ウォッチャーの最新作。
感想・レビュー・書評
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2017.2.14 2/28読了 3/1返却
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沈みゆく大国 アメリカ
著:堤 未果
集英社新書
なんという欺瞞、オバマケアの真相
■被保険者の実態
もともと、アメリカでは、医療保険は、自己責任、
①雇用主を通じて医療保険に入る
②失業すれば、高額な医療保険を自己負担で加入しなければならない
⇒ 自己負担金は、125万で、免責は、50万 なんという高額
⇒ 全米50州のうち45州は、保険市場の50%以上が、1,2社で独占されている ⇒ つまり競争が起こらない
⇒ オバマケアのせいで、今までよりずっと条件の悪い保険に加入せざるをえなくなった
補助金は、65000ドルの年間所得があるともらえない
一生つかうことのない、妊婦医療・避妊薬・薬物中毒カウンセリングがついている
メディケア:65歳以上の高齢者と障害者・末期腎疾患患者のための公的医療保険
メディケイド:最低所得層向けの公的医療保険
そして、オバマケア
⇒ アメリカの医療保険は恐ろしく複雑 ⇒ 一般の人には理解できない
⇒ 政府が薬価交渉権をもっていないので、製薬会社は言い値で、薬を販売している ⇒ おそろしく薬が高い
⇒ オバマケア導入後、保険を加入させないために、フルタイムからパートタイムへ、そのために、労組の加入率が低下
⇒ メディケイドは、加入条件は非常に厳しい
■医療従事者の実態
肝心のオバマケアを扱う医師がみあたらない ⇒ アメリカでは病院が公的保険を拒否することができる
オバマケアを適用するためには、膨大な事務が必要 ⇒ 医療事務が膨大に増える ⇒ 医師の66%がオバマケアのネットワークにははいらない
⇒ 専門職の中で自殺率がいちばん高いのが医師 ⇒ ここでも、高額な訴訟保険 2000万の収入で、訴訟保険料が 1750万 ってありえない
⇒ メディケイドもオバマケアも、彼らを診れば診るほど、病院も、医師も赤字になってしまう
■真の勝者
保険会社
製薬業者
シングルペイヤー案を排除して、巨大な利益が得られるビジネスモデルを作って、全米を支配している
これが、真のオバマケアの実態だ
⇒ これを日本の国民皆保険制度、医療制度に導入しようとしている
<結論> アメリカの理不尽な保険・製薬複合体より、日本を守れ!
目次
はじめに 父の遺言
序章 「一パーセントの超・富裕層」たちの新たなゲーム
第1章 ついに無保険者が保険に入れた!
第2章 アメリカから医師が消える
第3章 リーマンショックからオバマケアへ
第4章 次のターゲットは日本
参考資料
ISBN:9784087207637
出版社:集英社
判型:新書
ページ数:208ページ
定価:720円(本体)
発行年月日:2014年11月
発売日:2014年11月19日第1刷
発売日:2015年02月24日第5刷 -
「5大銀行が国内デリバティブの約94パーセントを抱え、四半期だけで279兆ドルの利益をうる状態になっている」とのこと
279兆ドルは資産残高。これが全て利益になり得るだってさ。
これが、自称国際ジャーナリストのクオリティです。
https://seisenudoku.seesaa.net/article/486689733.html -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/64682 -
もう7年も前の本だけど、これも宿題で頑張って電車と昼休みに、読みました。大国アメリカの医療制度の深刻さ、私は全然わかっていなかったな。アメリカに住む友達が日本に里帰りしたら病院めぐりしてる意味もわかった。日本の皆保険制度、問題もあるけどやっぱりかなりすごい。なんとか守れるか…これから続編読みます。
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米国の医療制度を知りたくて手にした一冊。オバマケアとは日本の国民皆保険制度と似たようなものだと思っていたが大違い。ウォール街が狙うマネーゲームの戦場であることを知り衝撃的であった。堤さんのもう1つの書籍を読みつつ、次は肯定派の書籍も読んでみたい。
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高すぎる医療費と保険料・そして貧富の格差によって国民の15%以上が保険に入れないアメリカ。そんな惨状から弱者を救い、国民皆保険(かいほけん)の実現を目指したのが「オバマケア」だ。しかし2014年からその施行が始まると、保険会社は財源確保のために保険料を値上げし、医師の負担は急増して医療の崩壊が加速化。正社員の保険料を削減したい企業側はリストラを進め非正規労働者が激増と、アメリカの歴史で類を見ない悪法と呼ばれる結果となった。保険会社と製薬会社・そして大企業と大手投資家だけが儲かって国民にそのツケを回すというこの現象は、サブプライムローンで貧困層を借金漬けにした金融政策がリーマンショックという大事件を招いた2008年の状況と似ていると分析するのは、『ルポ貧困大国アメリカ』などのベストセラーで知られる米国在住のジャーナリスト・堤未果。国民の1%を占める「スーパーリッチ」が意図的に進めたこの「国家解体ゲーム」が次のターゲットとするのは日本なのか?1961年に始まってから半世紀以上、国民の誰もが保険証1枚で医療を受けられる、日本が世界に誇る「国民皆保険制度」がアメリカによって破壊されると警告する。
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オバマケアについて。ちょっと読んだのが遅かったかな。リアルタイムで読めば面白かったかも。
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アメリカの医療費がとんでもなく高いことは駐在しているときに実感した。出産と病気が同時期に重なると破産するとも聞いていたし、この本に書かれている人々が直面している命にも関わる問題は実際にあったことだろうと素直に思う。一方、民主党か共和党かにかかわらず政治家が国家を解体しようしているとか、ウォール街、保険会社、製薬会社の陰謀説とかという扇情的なストーリーは、ウケるためには必要なのかなあとは思うが、まるで週刊誌や夕刊紙位の質感だ。とは言え、機能不全のセクターを民営化していくことの功罪を問うていると思えば、この本の存在価値は十分ある。折角、悪役を設定して面白く書いたのだから、幅広く読まれて欲しい。
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今回のテーマは「オバマケア」に焦点を絞ってのレポート。米国における国民皆保険制度の難しさを考えさせられる。無知であることの恐ろしさに警鐘を鳴らしている。