スーザン・ソンタグ 「脆さ」にあらがう思想 (集英社新書)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087212846

作品紹介・あらすじ

進歩という名の暴力に対する、「知性」の闘い──クィア批評やメディア論における最重要人物、ついに入門書が誕生!【おもな内容】”反解釈・反写真・反隠喩”で戦争やジェンダーといった多岐にわたる事象を喝破した、批評家スーザン・ソンタグ。あらゆる脆さにあらがう、その「カッコよさ」は、しかし生誕から90年を迎え、忘れかけられている。本書は「《キャンプ》についてのノート」で60年代アメリカの若きカリスマとなったデビューから、「9・11事件」への発言で強烈なバッシングの対象になった晩年までの生涯とともに、ソンタグという知性がなぜ読者を挑発し続けるのかを鮮やかに描き出す。自身のマイノリティ性や病にあらがい到達した思想の本質とは。【目次】はじめに第1章 誰がソンタグを叩くのか第2章 「キャンプ」と利己的な批評家第3章 ソンタグの生涯はどのように語られるべきか第4章 暴かれるソンタグの過去第5章 『写真論』とヴァルネラビリティ第6章 意志の強さとファシストの美学第7章 反隠喩は言葉狩りだったのか第8章 ソンタグの肖像と履歴第9章 「ソンタグの苦痛」へのまなざし第10章 故人のセクシュアリティとは何か第11章 ソンタグの誕生終章 脆さへの思想おわりに【著者略歴】波戸岡景太(はとおか・けいた)1977年、神奈川県生まれ。専門はアメリカ文学・文化。博士(文学)〈慶應義塾大学〉。現在、明治大学教授。著書にThomas Pynchon’s Animal Tales: Fables for Ecocriticism(Lexington Books)、『映画ノベライゼーションの世界』(小鳥遊書房)、『ラノベのなかの現代日本』(講談社現代新書)など。訳書にスーザン・ソンタグ『ラディカルな意志のスタイルズ[完全版]』(管啓次郎との共訳、河出書房新社)など。

感想・レビュー・書評

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  • keitaHATOOKA.blogspot.com: 【予告】新書の目次と内容紹介が公開されました。
    https://keitahatooka.blogspot.com/2023/09/blog-post_16.html

    ソンタグの日記 恐怖や利己心、作家も人間だ 作家・小野正嗣〈朝日新聞文芸時評20年2月〉|好書好日(2020.03.07)
    https://book.asahi.com/article/13180384

    スーザン・ソンタグの“新刊”は、女性であることの政治的意味を明らかにする | WIRED.jp(2023.09.05)
    https://wired.jp/membership/2023/09/05/what-susan-sontag-wanted-for-women/

    スーザン・ソンタグ 「脆さ」にあらがう思想/波戸岡 景太 | 集英社 ― SHUEISHA ―
    https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-08-721284-6

  • 自分には少し難しかった!!

  • ソンタグの写真についての考え方を知りたいというきっかけで手に取った。

    ソンタグの生き方とその時々の思想を知るには有用な本だと思う。ただその思想を現代社会を批評する目的で援用できるかというと「?」と思ってしまった。マイナスの意味ではなく、彼女の思想を読めばなおさら。
    故人を過去に閉じ込めたまま借り物にしてああだこうだと言うよりも、純粋にソンタグならこの状況を何というか知りたい、という感じ。

    ただ写真のところはよく理解できなかった。写真=「他者のヴァルネラビリティへな関与をやめない暴力的なツール」とあるが、その当否は被写体と撮影者の関係性によるのでは?写真がそれを固定してしまうということならまだ納得がいくが...とか思ってしまった。ので原典を読んでみようと思います

  • スーザン・ソンタグは、小説は読んでないが、翻訳された批評集は多分全部読んでいると思う。

    ソンタグの言っていることは、時期によって論調が変わって、以前とは矛盾することを書いていたりするのだが、それも彼女が無理やりの自己一致の連続性を維持することよりも、自分の変化をそのまま表現する誠実さのようなものだと思っていた。

    そんなことを思いながら、本書を読んでみた。

    目から鱗がたくさん落ちた。

    そう、ソンタグは、「カッコ良い」のだ。だから、つい読んでしまうのだ。そして、そのカッコよさは、時代が変化する中で、主流の言説がどのようなものかによって、それに抗う形でなされる批評は変わっていくのだ。その切り口の鋭さが、「カッコいい」というわけだ。

    とは言っても、彼女は、時代の変化の中で、カッコいいことを言えば良いと思っている物書きではない。

    その中心にあるのは、「脆さ」(ヴァルナラビリティ)にあがらうということだ。なるほど、ジュディス・バトラーの議論につながっていたのか。

    さて、わたしは、ソンタグは本を読むだけなので、ソンタグへのバッシングについては、初めて知った。2001年のテロに際しての「カッコいい」コメントが、アメリカでは反感を買うだろうことはそうだろうと思うが、それだけでなく、死後に私生活や性的な関係性などでスキャンダラスの話しが掘り起こされて、大変になっていたことは知らなかった。

    でも、読んでみれば、そういうこともあるだろうと思う話しで、どうしてそこまで大問題になってしまうのだろうか?

    つまり、「カッコいいこと」で批判された、批判されたと思った人が、本人の死後に批判をし始めたということなのかな?

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/803361

  • 波戸岡景太「スーザン・ソンタグ『脆さ』にあらがう思想」
    https://shinsho.shueisha.co.jp/kikan/1184-c/
    1/3くらいまでは、またうっかり新書へ手を出してしまった…と悔やんだけれどその後の追い込みがすごかった
    前にソンタグを読んだときは、感動する一方で、でも結局は大国の国際権力の傘の下にいる知識層の余裕のなせる業じゃんとも思ったけど(わたしは何様でしょうか)、そのあたりも反知性主義の主張でちゃんと回収されていたことをこの解説書で知った(それはそう) 半生や晩年のあれこれも知り、ソンタグの思想と人物との両方の入門書として平易でとてもよかった
    ソンタグかっこいいなー 積読になってる数冊をいつか読みたいと思いながら重くてなかなか気分が出ない

  • スーザン・ソンタグ入門。
    「脆さ(ヴァルネラビリティ)」をキーワードにソンタグ的なスタイル(キャンプ〜反解釈)でソンタグのスタイルを解説する。
    数々のアフォリズムにあるようなキレのよさとそれを裏支えする白と黒のあいだのモヤモヤの中での足掻き、その両方があってこその"カッコよさ"。都合が悪いことを切り捨てるんじゃなくて、複雑さや曖昧さを引き受けて発されるものこそがシンプルなんだな。

  • 一番好きな批評家(思想家でもある?)

    自分の中にある複数のアイデンティティの間にある脆さに争う気持ちは少しわかる

  • 231119-5-2

  • わかるようなわからないようなところが面白い。ディコンストラクションとかフェミニズムとか、ときどき自分の解毒のように読むのだが、同じようなものを感じた。ソンタグ、読んでみようかな。

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著者プロフィール

1977年生まれ。千葉大学卒、慶應義塾大学大学院後期博士課程修了。博士(文学)。現在、明治大学教授。研究領域は、日米の現代小説と表象文化。主著に『映画原作派のためのアダプテーション入門――フィッツジェラルドからピンチョンまで』(彩流社)、『ラノベのなかの現代日本――ポップ/ぼっち/ノスタルジア』(講談社現代新書)、『ピンチョンの動物園』(水声社)、『オープンスペース・アメリカ――荒野から始まる環境表象文化論』(左右社)など。翻訳に、スーザン・ソンタグ『ラディカルな意志のスタイルズ[完全版]』(管啓次郎との共訳、河出書房新社)がある。

「2020年 『映画ノベライゼーションの世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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