婆娑羅太平記 道誉と正成 (集英社文庫)

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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087440201

感想・レビュー・書評

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  • 佐々木道誉と楠木正成が主人公である。南北朝時代は敵味方で戦うことになったが、貨幣経済の発展を背景とした商業重視の立場は共通する。それに応えられない後醍醐天皇の政治には正成も批判的視点を持ち、心の中で絶望していた。『道誉と正成』では新田義貞はパッとしない。しかし、千早城の戦いでは叙述がオーバーラップする。『義貞の旗』も『道誉と正成』も護良親王が理想を語る人物に描かれている点は共通する。

  • 佐々木道誉の野望と戦略。他の安部作品と比べると小品な印象。

  • 南北朝期について教科書に毛が生えたくらいの知識しかなかったけれど、非常に面白く読みました。「天皇」とは、物流の利権、など、読み返してもう少し自分のうちにおとし込みたい。

  • 悪党の意味がわかって面白かった

  • 佐々木道誉は知っていたけど楠木正成と同格の評価をしてるんだな。
    後醍醐天皇が出しゃばらずに任せていれば南北朝時代は無かったというかな。
    足利直義は悪役で北畠顕家は誠実、ともに極端に描かれているな。

  • 敵対する陣営に在る者同士として出会う道誉と正成は、やがて手を携え、そして袂を分かって行くが…その両者を軸に描かれる『太平記』の世界が非常に面白い!少し夢中になった…
    鎌倉幕府の時代の末期、建武新政、そして室町幕府が起こる南北朝時代の始まりというような時期は戦乱が相次いだ。そういう時代の群像を代表するような人物として、本作では佐々木道誉と楠木正成とを取上げて主要視点人物に据えている。

    作中の佐々木道誉や楠木正成は、知行地や縁者の知行地等を結ぶ流通経路や商業に大きな影響力を持って、徴税権を行使して財力を蓄え、それを背景に味方への物資補給を行いながら軍勢を動かす勢力として描かれる。土地の産物を動かす、それに徴税する権利を有するに留まらず、流通商業に影響力を行使する勢力が伸びるという構図が、鎌倉時代末期には既に勃興していたとする訳である。
    作中の「戦い」の描写が面白い。合戦そのものは、新旧様々な戦術が出て来て興味深いのだが、佐々木道誉の陣営も楠木正成の陣営も諜報活動を担う“忍者”に相当する配下を擁している。更に、足利陣営に在って本作では謀略を担っている足利直義は、筆跡を巧みに真似て文書を偽造する者まで擁している…
    臣下や様々な層の関係者に慕われる人格者で、大塔宮護良親王に心酔して義を貫こうとする楠木正成…剛勇を誇る名門出身の武人であり、用兵の駆け引きに巧みで、大胆な謀略を駆使してでも、自由に流通・商業を起こして安寧な領国経営をしながら全国に影響力を行使しようとする野心家の佐々木道誉…作中の2人の中心的視点人物は何れも魅力的だ!
    更に、作中の“新政”の時代だが…主流に立った者ばかりが色々な意味で有利になり、様々な利害が余り顧みられず、何やら混乱が深まる様…何処となく「現代」を想起させた…
    “時代モノ”の背景になる時代として、この時代のモノは相対的に少ないかもしれないが、かなり興味深い。御薦め!!

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著者プロフィール

作家。1955年福岡県生まれ。久留米工業高等専門学校卒。東京の図書館司書を経て本格的な執筆活動に入る。1990年、『血の日本史』(新潮社)で単行本デビュー。『彷徨える帝』『関ヶ原連判状』『下天を謀る』(いずれも新潮社)、『信長燃ゆ』(日本経済新聞社)、『レオン氏郷』(PHP研究所)、『おんなの城』(文藝春秋)等、歴史小説の大作を次々に発表。2015年から徳川家康の一代記となる長編『家康』を連載開始。2005年に『天馬、翔ける』(新潮社)で中山義秀文学賞、2013年に『等伯』(日本経済新聞社)で直木賞を受賞。

「2023年 『司馬遼太郎『覇王の家』 2023年8月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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