やめるときも、すこやかなるときも (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087440447

作品紹介・あらすじ

大切な人の死を忘れられない男と、恋の仕方を知らない女。

欠けた心を抱えたふたりが出会い、お互いを知らないまま、少しずつ歩み寄っていく道のり。
変化し続ける人生のなかで、他者と共に生きることの温かみに触れる長編小説。

【著者着歴】
窪美澄(くぼ・みすみ)
1965年東京生まれ。フリーの編集ライターを経て、2009年「ミクマリ」で女による女のためのR18文学賞大賞を受賞。受賞作を所収したデビュー作『ふがいない僕は空を見た』で山本周五郎賞を受賞。12年『晴天の迷いクジラ』で山田風太郎賞を受賞。他の著書に『さよならニルヴァーナ』『アカガミ』『すみなれたからだで』『トリニティ』『いるいないみらい』など。

感想・レビュー・書評

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  • 初読みキャンペーン!
    初めて読む作家さん。窪さんのどれを初読みにするか、書店ウロウロ&ブグログチェックしながら、コチラに決定★

    とっても良かった。久しぶりの読後感。
    男女それぞれの視点で、章ごとに語られていく。

    毎年同じ月に声が出なくなる過去からの事情を抱えている壱晴32才と、実家に住んでいるが昔裕福だったが父の事業失敗で家を経済的にも支えてる恋愛下手な桜子32才。

    壱晴がどんな秘密を抱えているのか?しばらく明かされないので気になり気になりどんどん読み進め文庫で430頁程の作品なのですが、1日で読み切ってしまいました。

    桜子の嫉妬深さなどにイライラする事もあったけど、自分も20代前半の頃は当時の彼の元彼女のことを考えて嫉妬めいた気持ちになったりもしたかもだなと。今だからそんな事、え?と思っても生きてきた経験などにより、時々の考えや気持ちは変わるのだろうなと改めて。


    それにしても酒乱で暴力振るう男性、蹴り飛ばしたくなりますね。柔道技で1本!!とりたいくらい腹たちますね、どの小説にも、こゆ人出てきますが。

    結婚相手の家族は大事、結婚の決め手にも。
    結婚って他人から親族になるから。
    配偶者も元々他人だし。。なんて言うと、ドライすぎるのだろうか……。
    他人をどこまで許せて寄り添えて、それぞれ違う価値観があることを許容できるか、など考えさせられたシーンもあり。

    桜子の妹は桃子というのですが、天真爛漫。
    やっぱり長女って、しっかりしなきゃ感が刻まれるものなのですかねー


    窪さんってたくさん色んな作品出されているのですね、、あと数冊は追購入予定です!
    初読みの作品をコチラにして良かった!

    解説は、山本文緒さんでした^^
    「自転しながら公転する」山本さんのこちらを好きな方は、窪さんの当作品も好きかもしれません。
    感覚です、根拠はありません笑


  • 主人公2人の関係性がどのように進展していくのか、ワクワクしながら本作を楽しむことが出来たと思います。特に各章の終わりが、これから先の展開を予感させるような引きがあって、思わず作品にのめり込んでしまいました。

    本作は家具職人である壱春と、制作会社に勤める桜子の2人が主人公の物語。2人はそれぞれに大きな問題を抱えているのですが、ひょんなことから一夜を共にしてしまい…というような導入。

    好き嫌いは別れるとは思うのですが、個人的にはこの2人のキャラが刺さりました。壱春の持つ弱さとか、桜子の突拍子もない無鉄砲な感じとか、応援したくなるような純真さが感じられ、凄く心が洗われるようでした。

    この作品は大人っぽい関係性を匂わせながらも、大人のピュアな恋愛を描いており、凄く爽やかな印象を受けた作品だったように思います。

  • 「やめるときも、すこやかなるときも」

    1.購読動機
    タイトルです。
    こころを落ち着かせることができそうな、良いエンドロールを予感したからです。

    結論は、、、
    ぜひ、手にとってみてください。

    2.主人公
    建築学科を卒業するも、大手の建築会社はイメージできない男性です。
    展示会で出会えた木工椅子に惹かれて、その工場に弟子入りをします。

    短大を卒業するも、就職は難しく、なんとか就職できた中小の印刷会社で働く女性です。

    ふたりは、知人の結婚式で出会い、仕事を通じて再会します。

    3.内容
    「気になる存在。
    好きかはわからないが気になる存在。
    だから、なんとかして、窮地から救い出したい。」

    恋愛よりも、まず、ひととして関係の模索が始まります。

    「相手がどう想ってくれるのか?も大切ですが、
     私がどうしたいのか?」
    その心が壊れ、再生していく描写は、強く美しいです。

    4.読み終えて
    愛するという言葉は、主語がわたしです。
    そう、わたしはどうしたいのか?、どう生きたいのか?
    突きつけられました。

  • 人を信じること、愛すること。
    それがとても自然に書かれています。美しい、とも言えます。

    背景には椅子を作り続ける職人のこだわり、生き方が出てきます。
    ある意味、芸術家でもある職人さんは、最初はどうしても食べていけません。
    その葛藤、ひとつの作品へのこだわり。

    そして抱える過去。
    自分に置き換えて、もしそのような過去があったなら。
    小説ではなくて、現実だったら、と立ち止まって考えてみると怖いです。
    考えてしまいます。

    なぜここまで美しく、清らかに描かれれているのか。
    最後まで読んでわかりました。

    取材協力に「家具デザイン研究所、ARTCRAFT、…氏に大変お世話になりました」とあります。
    背景となる世界をよく取材されているからこそできた作品であると思います。

    +++

    あまりによかったので、ドラマも観てみようと、探してみました。ドラマ化されていますね。配役を見て躊躇せざるを得ませんでした。家具職人の生きざまを理解して演じることを期待できるような配役には到底思えません。

  • 映像化して欲しいと思ったら、もうすでにしてた…
    キャストが想像した人と違いすぎた。

    すごい長かった…
    普段、読書しない人がオススメされて読んでも絶対読みきれないと思うくらい長かった。
    字が小さくていっぱい…
    ちょっと、端折ってもいいんのでは?ってとこもあった気がするが…

    主人公の桜子
    すごいいい子なんだろーけど苦手なタイプ。

    幸せになれてよかった

    真織ちゃんが気の毒すぎ
    桃子は、とてもいい妹

    最後の方に登場した
    真織ちゃんは、幻⁉︎

  • 俯瞰してみると、ままある展開のラブストーリーで、細部をみると、人の卑しさとか稚さみたいな断片で積み重ねられた稀有なラブストーリー。

  • 家具職人の壱晴は、高校生の頃に、恋人、真織を目の前で亡くした過去があり、そのために毎年その頃には声が出なくなってしまう。
    そんな壱晴と桜子との出会いは、結婚式の2次会。その後、仕事を通じて再会し、強くひかれあっていくが、壱晴の過去の恋愛に引っ張られ、お互いうまく気持ちを伝えられずにやきもきする。
    壱晴の師匠の哲さんが、死期迫るなかで壱晴の背中を押してくれたこともあり、最後は無事(?)に一緒に暮らし始める。

    恋愛小説としても心打たれるが、大切な人の死や、生まれた環境によっては、子どもが理不尽に辛い暮らしを強いられるという現実なども考えさせられる、なかなか深い話。

  • やっと読めました
    3年前に50ページ読んでやめちゃった作品です。
    けど読み終えて、久しぶりに優しい気持ちになれた
    切なくもあり、未練もありの複雑な感じ、でもそれが整う日が来るんだ…

  • すこやかなるときはいい、やめるとき、どれだけ連れ合いと向き合えるか。
    結婚式でたいてい誓うはずだ。みな、はい誓います、と言う。生きていれば、病めるときもある。壱晴は大切な人を亡くした、という心の傷を抱え、桜子は仕事は順調だが恋愛に不器用で恋人がおらず(重いのだ)、家庭環境に問題を抱える。
    壱晴は、恋人との過去が原因で声がでなくなってしまうことがある。相手を大切にするためには自分を大切にせねばと訴えてくる。
    連れ合いに寄り添いたい自分(わたし)がいて、どこかで必要とされたがっている自分がいる。

  • なかなかストレートな純愛小説でした。
    純愛小説ってあんまり読まなかったので、半分くらいまで、なんか大どんでん返しとかあるのかと思って、余計なことばかり考えてしまった。

    30歳すぎて、実家暮らしで、男性経験がほとんどない桜子と、同じく30過ぎて、過去に辛い経験を抱え、結婚するつもりがない家具職人の壱晴。二人が出会って、色々とかけひき?らしきことがあって、互いを知り合っていく過程が描かれている。
    二人ともかなり変な人だし、全然うまくいきそうにないところが、この小説の醍醐味かな。あと、家具を作る仕事が丁寧に描かれていて興味深かった。

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著者プロフィール

1965年東京生まれ。2009年『ミクマリ』で、「女による女のためのR-18文学賞大賞」を受賞。11年、受賞作を収録した『ふがいない僕は空を見た』が、「本の雑誌が選ぶ2010年度ベスト10」第1位、「本屋大賞」第2位に選ばれる。12年『晴天の迷いクジラ』で「山田風太郎賞」を受賞。19年『トリニティ』で「織田作之助賞」、22年『夜に星を放つ』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『アニバーサリー』『よるのふくらみ』『水やりはいつも深夜だけど』『やめるときも、すこやかなるときも』『じっと手を見る』『夜空に浮かぶ欠けた月たち』『私は女になりたい』『ははのれんあい』『朔が満ちる』等がある。

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