梟の一族 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 49
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  • Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087443523

作品紹介・あらすじ

少女よ、長い夜を戦い抜け!
〈梟〉の一族は眠らない。たとえ最後のひとりになっても――。
サイエンス×忍者アクションエンターテインメント

「異なる存在をただ認めるだけで、生きる喜びが広がることもあるのだと、本書は史奈の姿を通して見せてくれるのだ」
北大路公子さん推薦!

の一族――。誰ともなくそう呼びならわされた人々には秘密があった。限界集落で身を隠すように生活している彼らは眠らないことに加えて、生まれつき常人離れした身体能力を持っているのだ。それゆえに歴史の影で大きな役割を果たし続けてきたのだった。
榊史奈は一族の末裔中、唯一の十代として期待を一身に背負いながらも、平和に暮らしていた。集落が何者かにより襲撃され、一名が死亡し、その他全員が彼女を残して消えてしまうまでは……。
敵の目的とは一体何なのか。単身で逃亡生活に追いやられた史奈は、一族の生存を信じて、また己のルーツに関する真実を知るため、戦い続ける。
なぜ一族は外の人間とは距離を置くのか?
奇病・シラカミが発病する者としないものの差は何か?
なぜ里を守らねばならないのか?
母と父は一体どこで何をしているのか?
そして、なぜ、こんなにも孤独なのか――?

は、死を恐れない。

【著者略歴】
福田和代(ふくだ・かずよ)
一九六七年神戸市生まれ。神戸大学工学部卒業後、システムエンジニアとなる。二〇〇七年、航空謀略サスペンス『ヴィズ・ゼロ』でデビュー。大藪春彦賞候補となったクライシス小説『ハイ・アラート』、テレビドラマ化され話題となった『怪物』など、緻密な取材に裏付けされた、骨太でリーダビリティ溢れる作品を次々に上梓。「航空自衛隊航空中央音楽隊ノート」シリーズ、『緑衣のメトセラ』、『星星の火』、『黄金の代償』、『堕天使たちの夜会』など著書多数。

感想・レビュー・書評

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  • 滋賀県の山奥に甲賀忍者と縁ある小さな集落があった。その地を知る人は眠らない一族が住む「梟の里」と呼び、一族最後の末裔とされる高校1年生の榊史奈によって物語は紡がれる。

    福田和代さん初読みの本作『梟の一族』の感想になります。

    想像以上の緊迫感とエンタメ性が高い本作は、主軸となる榊史奈のカリスマ性に私は惚れ込んでしまい、読了を前に続編にあたる『梟の胎動』を早々に買い、今月17日発売予定の『梟の好敵手』まで購入予約してしまうほど、本作の世界観にハマってしまいました。

    高野和明さんの『ジェノサイド』の作風が好きな方に是非オススメしたくなるほど、テンポの良さやSF要素の散りばめ方がとても似ていて飽きさせません。本作のような壮大な作品を書かれる作家さんは本当に尊敬しますね。

    本作を始めとした『梟の一族』シリーズも今後追いかけていきたい候補になりました♪

  • 今度も初読みの作者さん。
    フォローしている方々のレビューに惹かれて買ってきたが、皆さんのお陰で今まで知らなかった作者さんに会えるのはありがたい。
    この本もとても面白かった。

    冒頭、滋賀の山里の集落が襲われ、いきなり巻き込まれ型逃亡劇が始まる。この“いきなり”“巻き込まれ”で話が動きだすというのがいいねえ。
    そこからは、当事者だけでなく警察や記者も入り乱れ、敵味方の見分けもつかない中、〈梟〉の一族という特殊な集団の中で育ったとはいえ普通の高校生だった主人公・史奈が見聞き体験することに一緒に翻弄される。
    真相に近づいていけば、今度はその一族が持つ特異な体質に対する遺伝情報を巡るサイエンスミステリーの体。
    怪しげな研究所や警備会社が跋扈して、睡眠のメカニズムが語られたり、〈カクレ〉や〈シラカミ〉が現れたり、ここでもまた何が正解か分からず、話の行き先を図りかねる展開に惹き込まれる。
    最後は再び山里での忍者もものかわのアクション劇。
    滋賀県に住んでいたことがあるが「河内風穴」のことは全く聞いたことがなかった。ネットで写真を見ただけだが確かにそれらしく凄そうなところだなあ。
    一族の持つ身体能力が出し尽くされたようには見えなかったのがやや不満だが、最後まで次から次へと楽しむことは出来た。
    読み終えて見れば、普通の高校生だった史奈が一族をまとめる統領になるまでの成長譚になっていて、終章の儀式の場面はなかなかに厳か。

    いったん収束を見た話だが、史奈の偽物の正体やお堂の中の書物の読み解きなどまだまだ奥は深そうで、続きが楽しみ。

    • ニセ人事課長さん
      マメムさん

      こんばんは。お久しぶりにコメントいただけて嬉しいです。

      この本もマメムさんの「梟の胎動」のレビューを読んで惹かれるところがあ...
      マメムさん

      こんばんは。お久しぶりにコメントいただけて嬉しいです。

      この本もマメムさんの「梟の胎動」のレビューを読んで惹かれるところがあり、そこに『前作の「梟の一族」を読了しておくことを推奨します』とあったので、こちらから手にしたところです。
      この本のレビューにも『読了を前に続編「梟の胎動」を早々に買い、発売予定の「梟の好敵手」まで購入予約してしまうほど』と書かれてありましたが、そのお気持ちよく分かりました。
      私も早速「梟の胎動」を手に入れたいと思います。
      2024/01/13
    • マメムさん
      ニセ人事課長さん、こちらこそお返事ありがとうございます。

      レビューを参考にして頂き、ありがとうございます^_^
      ただ本作と続編の『胎動』『...
      ニセ人事課長さん、こちらこそお返事ありがとうございます。

      レビューを参考にして頂き、ありがとうございます^_^
      ただ本作と続編の『胎動』『好敵手』は印象が異なるかも知れませんので、番外編?外伝?のような作品だと受け止めるのが良いと思います(^_^;)
      2024/01/13
    • ニセ人事課長さん
      マメムさん、おはようございます。

      ご助言ありがとうございます。了解です!

      今年も宜しくお願いします。
      マメムさん、おはようございます。

      ご助言ありがとうございます。了解です!

      今年も宜しくお願いします。
      2024/01/14
  • 表紙買い!

    寝んでも生きられるって事は、その分、長生きしてる事になるのか…
    あっ!平日もいっぱい本読める(^-^)v

    梟の一族。
    元は忍者稼業とかで、一族の能力を使い闇を制覇というんかな。
    身体能力も高そうやけど、基本は眠らないのが一番なんかな。その分、普通の人より鍛えられるし。

    里が滅んで、色々な事件があって、
    今までは、封建的な感じの一族やったけど、時代も変われば人も変わる!

    新たに選ばれた、ツキ(まぁ、酋長のようなもんか)のもと、新体制でこれからも一族を繁栄させて〜




    でも、二度寝の楽しみとか、色々、寝るのも楽しいで!
    さぁ、寝よ!寝よ! (-_-)zzz

    • ultraman719さん
      ゆーき本さん

      こんばんは!
      コメントありがとうございます!

      眠らなくてよければ、自動的に3分の1余計に楽しめますしね!
      こんな時間に帰っ...
      ゆーき本さん

      こんばんは!
      コメントありがとうございます!

      眠らなくてよければ、自動的に3分の1余計に楽しめますしね!
      こんな時間に帰ってたら(今、電車の中)、平日、本、あんまり読めないですし…

      徹夜…最近してないですね。出来ない気がします。
      遊びならともかく、仕事ではやりたくないですね。
      2023/03/10
    • ゆーき本さん
      お疲れ様です( .ˬ.)"
      ゆっくり休んでくださいね〜
      お疲れ様です( .ˬ.)"
      ゆっくり休んでくださいね〜
      2023/03/10
    • ultraman719さん
      ありがとうございます!
      ありがとうございます!
      2023/03/10
  • 読み始めたら止まらない!
    わずか7日間の物語
    サイエンス✖️忍者アクションエンターテイメント
    とある

    滋賀の山間に暮らす、ふくろう、と呼ばれる人々。
    忍者の末裔とされる村が、ある夜襲撃に遭い、1人残された16歳の高校生少女が、持てる力を全て使い戦う。彼等は眠らないのだ。

    解説によれば作者の福田和代さんは実に多くのジャンルを書く作家さんだとか。
    多くのジャンル小説の名手といえば宮部みゆきさん!
    福田和代さんを「現代のエンタテインメント小説界きっての剛腕の持ち主」と評している。

    はじめのシーンからワクワク、あっと言う間にその世界に入り込んでしまう。
    とにかく面白くてとまらない!

  • 忍者と睡眠。どちらも非常に興味深いテーマだ。
    生涯眠らなかった男や、起きている状態こそが異常。といった言葉たちを想起した。物語もスピーディ且つスリリング。そして感動もある。実に楽しめた。

  • 非常に面白かったです。

    梟の一族の里をなにものかに突如襲撃され、家々は焼かれ里の人たちは行方不明に。
    祖母の言い付けで身をひそめ、ただ1人難を逃れた榊史奈が消えた里の人たちを探しにゆく。

    ストーリーのテンポの良さと、視点の切り替わりでわかる事実と新たな疑惑に、読む手を止められず一気読みしました。

    梟が常人でない一族なんだけど、その梟の資質もあろうが、若干16歳の史奈をあれだけの人物に育てた祖母がすごい。

    • マメムさん
      ひろさん、読みたいと思った時に読むのが良いですよ^_^
      読書って、そういう楽しみ方が魅力ですので♪
      ひろさん、読みたいと思った時に読むのが良いですよ^_^
      読書って、そういう楽しみ方が魅力ですので♪
      2023/11/09
    • ひろさん
      マメムさん、言われるとおりです。しかしジェノサイドは気になっている&おすすめとあらば絶対に読破します。ありがとうです♪
      マメムさん、言われるとおりです。しかしジェノサイドは気になっている&おすすめとあらば絶対に読破します。ありがとうです♪
      2023/11/09
    • マメムさん
      ひろさん、では感想を楽しみに待っていますね。ゆったり読書時間を満喫して下さいませ♪
      ひろさん、では感想を楽しみに待っていますね。ゆったり読書時間を満喫して下さいませ♪
      2023/11/09
  • 梟の一族の特性は単純に人生において、知識を得られる可能性が増えると言う点でとても羨ましいです。
    また、野生で生きるにはデメリットになる部分を、何故DNAが受け継いでいるのか興味を持ちました。

    「ひとつずつ、新しくしていこう。」

    • マメムさん
      初コメです。
      装画含めて史奈のファンになりました^_^
      初コメです。
      装画含めて史奈のファンになりました^_^
      2024/01/01
  • 濃い感情が渦巻く『いきぢごく』から目が離せない! - 新刊めったくたガイド|WEB本の雑誌(本の雑誌 2019年6月号掲載)
    https://www.webdoku.jp/mettakuta/kitagami_jiro/20190601150214.html

    『同志少女よ、敵を撃て』セラフィマのイラストで注目 人気イラストレーター・雪下まゆが物語に与える力|Real Sound|リアルサウンド ブック
    https://realsound.jp/book/2022/04/post-1012933.html

    梟の一族/福田 和代 | 集英社 ― SHUEISHA ―
    https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents_amp.html?isbn=978-4-08-744352-3

  •  この作品は、「他の人と違う」という感覚を一度でも持ったことがある人にはとても共感できるのではないだろうか。史奈は他の人とは違うけれど普通の人と同じように見えるよう集団に溶け込んだ。そんな史奈が今回の事件によって自分らしさを発揮する。つまり「梟」として生きる。そのためにも「梟」の真実を、ルーツを知るため、歴史を遡る。ページが進むにつれ謎が溶けていく。
     視点は史奈と結川という史奈を追う警察側の目線が交互に入れ替わる。四面楚歌な状況にあってもその中から味方を探し当て、生き抜く姿が、まさに忍者!
     忍者×サイエンスエンターテイメントという新しいジャンル。ありがちな忍者像ではなく本来の忍者の芯の強さが見えとても魅力的な作品。
     生きづらさを抱える者の葛藤を描いた、絶えない「梟の一族」の物語。

  • 滋賀県の山の中の限界集落にひっそりと暮らす梟の一族。そう聞くと、甲賀の忍?とまず思う。

    梟は、眠らない。睡眠を必要としない一族なのだ。
    梟の一族が住む集落が、ある夜襲われた。
    祖母の指示で風穴に隠れ、たった一人残った梟純血の娘、史奈。
    行方不明となった一族の皆はどこにいるのか?生きているのか?

    現代を生きる忍の、エンターテイメント小説かと思いきや、意外にも梟の一族の謎に迫るサイエンスミステリーでもあり、若い史奈の成長物語でもあるように思えた。

    最後まで、先が気になり一気読み。
    少しごちゃついた部分もあったけれど、勢いで楽しく読み切った。
    出来たら、これからの史奈たち梟の一族を見てみたい気がする。

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著者プロフィール

福田和代一九六七年、兵庫県生まれ。金融機関のシステムエンジニアとしての勤務を経て、二〇〇七年、航空謀略サスペンス『ヴィズ・ゼロ』でデビュー。主な著作に『TOKYO BLACKOUT』『ハイ・アラート』『怪物』『迎撃せよ』『潜航せよ』『生還せよ』『繭の季節が始まる』『梟の一族』など。

「2022年 『ここだけのお金の使いかた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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