蝦夷太平記 十三の海鳴り (集英社文庫)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (608ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087444407

作品紹介・あらすじ

ときは鎌倉末期。
蝦夷管領、安藤又太郎季長の三男として生を受けた新九郎は、出羽の叛乱を鎮圧せよと命じられた。出陣を前に、叛乱について調査をした新九郎は、ことの首謀者が叔父の安藤五郎季久であることを突き止める。
天皇方と手を組み討幕を目論む父・季長。あくまで幕府方を標榜する叔父・季久。二人の間で揺れる新九郎だったが、やがて大きな時代の流れは押し寄せ、北朝と南朝に分かれて争いを続ける都と連動する形で、東北にも大規模な戦の影が迫る。
アイヌとの行き来、交易などにも着目し、当時の東北のひとびとがどのように考え、動いていたのかを新たな目線で読み解く。
鎌倉時代から南北朝時代にかけて、日本列島全体でどのような騒乱が起きていたのか、これまでの歴史解釈に大きな一石を投じる本格歴史小説。


【著者略歴】
安部龍太郎(あべ・りゅうたろう)
一九五五年福岡県黒木町(現八女市)生まれ。久留米高専卒。東京都大田区役所で図書館司書を務めながら小説家を志し、九〇年『血の日本史』でデビュー。二〇〇五年『天馬、翔ける』で第十一回中山義秀文学賞、一三年『等伯』で第一四八回直木賞を、一六年第五回歴史時代作家クラブ賞実績功労賞を受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 安部流太平記、第三弾。
    いままでの太平記ど真ん中でじゃなく、十三湊の安藤家のお話。個人的にアイヌが活躍するのでとてもうれしい作品でした。
    お話しは前二作に比べれば、ちょっと派手さはないけれど主人公の新九郎が格好いいです。

  • 「道誉と正成」、「義貞の旗」に続く安部龍太郎版太平記三部作の三作目。
    津軽で起きた、鎌倉幕府滅亡につながったといわれる「安藤氏の大乱」の物語。蝦夷管領の三男、身長190cmの青年武将、安藤新九郎季兼が主人公。

    歴史小説は、結末が分かっていながら読むのだが、恥ずかしながら「安藤氏の大乱」を知らずに読んだため、「どんな展開になるんだろう?」と最後まで楽しく読むことが出来た。
    津軽海峡を船で航行する場面は、とてもスリリングに描かれており、難所なんだなぁと思った。

    文庫本とはいえ、一冊600ページを片手に持って読むのは少々難儀だった。

  • 鎌倉時代末期の陸奥の安藤氏を描いた歴史小説。陸奥には和人とアイヌが共に住んでいた。アイヌ対和人というより、アイヌの中でも和人の中でも対立があり、それぞれ同盟関係になっている。
    護良親王は超自然的な能力を持った人物として描かれる。これは同じ著者の『婆娑羅太平記 道誉と正成』『義貞の旗』と重なる。
    主人公は政略結婚するが、家同士が対立する。『ロミオとジュリエット』のように家が対立しても愛を貫く展開にはならない。家同士が戦う中で愛を貫くならば一方が家を捨てることになる。相手にとっては御都合主義である。

  • 戦の場面が数多く出てきたのに、主人公が一度も刀を使わなかったのには、驚いた。鎌倉時代の末という戦乱の時代に、こうゆう武将もいたというのは驚きだった。

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著者プロフィール

作家。1955年福岡県生まれ。久留米工業高等専門学校卒。東京の図書館司書を経て本格的な執筆活動に入る。1990年、『血の日本史』(新潮社)で単行本デビュー。『彷徨える帝』『関ヶ原連判状』『下天を謀る』(いずれも新潮社)、『信長燃ゆ』(日本経済新聞社)、『レオン氏郷』(PHP研究所)、『おんなの城』(文藝春秋)等、歴史小説の大作を次々に発表。2015年から徳川家康の一代記となる長編『家康』を連載開始。2005年に『天馬、翔ける』(新潮社)で中山義秀文学賞、2013年に『等伯』(日本経済新聞社)で直木賞を受賞。

「2023年 『司馬遼太郎『覇王の家』 2023年8月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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