- Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087451238
作品紹介・あらすじ
16、17世紀のヨーロッパを支配した王たち。現代に残る絵画や財宝にみることができる華やかさとは裏腹に、王朝を存続させるため政略結婚した王や王妃が歩んだ激動の人生とは!?(解説/原田マハ)
感想・レビュー・書評
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ヨーロッパは地続きなんだな。と、改めて思う。
戦国時代の大名が家の繁栄や安泰のために、息子や娘に政略結婚させたように、国を越えてそれをやっていた。
だから王族、皇族は海外の王族、皇族と親戚になっていて、名前も似たりよったりでややこしい。
何度も系譜に戻って確認した。
以前読んだ小説と映画では、アン・ブーリンは自分から仕組んでヘンリー8世に近づいたように描かれていたけど、本書ではヘンリー8世のゴリ押しで仕方なく結婚したようになっている。どちらが正しいのかはわからないが、当時の王様はやりたい放題、男尊女卑な世界だった事がうかがえる。 -
読書録「残酷な王と悲しみの王妃」3
著者 中野京子
出版 集英社
p38より引用
“ これまでのいきさつ上、死んだ息子の嫁
をカトリーヌが優遇するなどありえなかった。
メアリーがもう少し知恵を働かせ、姑に対し
て慎重な言動をとっていれば状況は違ってい
たかもしれないが、今となっては「子なきは
去る」しか道はない。”
目次より抜粋引用
“メアリー・スチュアート
マルガリータ・テレサ
イワン雷帝の七人の妃
ゾフィア・ドロテア
アン・ブーリン”
独文学・欧州史に明るい著者による、ヨー
ロッパの五人の王と王妃を巡る逸話を取り上
げた一冊。同社刊行作文庫版。
政敵との覇権争いをした者から夫のでたら
めさに振り回された者まで、肖像画とともに
ダイナミックなエピソードが記されています。
上記の引用は、メアリー・スチュアートと
カトリーヌ・ド・メディシスの関係がひっく
り返ったことを記した項での一節。
王妃として我が世の春を謳歌して、姑にも悪
い態度で接していたところ、夫が死に宮廷に
居場所がなくなったそうです。人生はいつ何
時逆転してしまうか、誰にも分からないもの
なのかもしれません。
自分の息子を殴り殺したり、自分の妻を斬
首にしたりと、ロクなやつがいません。しか
し、現代のニュースを見ていても、同じよう
な事件が後を絶たないのを見るに、人は思っ
た程進歩していないのではないかと感じてし
まいます。自分がそうならないためにも、歴
史を学ぶことには意義があるのではないでしょ
うか。
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説明が分かりやすく歯切れの良い文章なので相変わらず読みやすいです。
この本では王妃の薄幸さが語られていますが『怖い絵』で知った『イワン雷帝とその息子』のイワン雷帝の婚歴のすごさと行いに特に驚かされました。
ロシアのことわざがDV過ぎて恐ろしいです…。 -
「その点で、女は男ほど情に流されやすくはない。愛してくれる相手を可愛く思うようになる、というのは男性特有の不思議な優しさであり、たいていの女性は嫌なものは嫌なまま」
だから男の人は浮気しやすいのかなあ。
でもこの心理を知って、強気で押す女の人と流される男の人って組み合わせはなんとなく醜くて嫌いかも。本人たちが幸せなら尚のこと。
中野京子さんの本は10年近く読んでいる気がするけれど、前は、小説より奇なる史実や、少し残虐なものをみたい好奇心だけで読んでました。
これからは、女性が虐げられてきた時代を終わらせよう、というか、男も女も自分らしくいられない相手といる必要なんてないんだよって時代なんだよ、みたいな、なんだろ、SDGsっていうの?な読まれ方がするのかなあなんて思いました。
どうして人間は残虐なものを見たがるんでしょうね。目を覆う手の隙間から覗く、どきどきがほしいのか、狩猟民族時代の暴力性の名残か、農耕民族だって土地拡大=豊かさから連なる暴力性を秘めている、だからこそ商人こそが平和の象徴として資本主義社会を導き出したのか。
むしろ避けることのできない残虐さを隠してもらっている、ありがたみを、確認したいのか。
眠いので文章が長いです。
ほんとはあんまり何も考えずに読みました。 -
絵はただ鑑賞するもので背景までは気にしてませんでした。
でも背景や時代背景を知ると辛いし怖くもありますね。
まさに女性がモノ扱い。
やっぱり中野さんの本はおもしろいなぁ。 -
なんと再読だった。
気が付かなかった… -
中野京子さんの本は、膨大な歴史と芸術に関する知識をテーマ縛りで解説してくれるので大変わかりやすく面白い。
この本も、王と女王の関係をテーマにオムニバス形式でまとめられている。
プリンセスと聞いてディズニー映画を想像したらとんでもない。
ハプスブルク家の血縁結婚、幽閉される王女、イワン大帝の顔の見えない妻達など
どれもこれも女性の視点から見ると、今の感覚では到底許されない人権侵害が必須条件としてまかり通っている世界。ホラーです。
同時にそうまでして血を繋がなければならなかった王の側の苦しみもあったんだろうなと。
当時のヨーロッパ王族が血縁を駆使して国の存続や領土拡大という国家事業をやっていたというグロテスクな現実にドン引きするとともに、この本では彼らの人間的な感情を想像し共感することもできる。
それは肖像画や歴史画の存在が大きい。
とくに印象に残ったのは、ベラスケスの才能によって生きているように描かれた肖像画達や、のちの時代に資料と画家の想像を交えて描かれた「イワン大帝とその息子」の衝撃的な姿。
単に歴史を知る為だけでなく、生身の人間を通して現代と共通する部分を見出す力が絵画にはあるのだと改めて思った。